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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
#2 夢渡とカンナと香月
19/75

#2 一年の終わりに....

12月31日午後4:10


「やっぱり変わらないね。」


居間の中に入りあたりを見渡して思ったことをそのまま言った。


姉ちゃんも辺りを見渡して応えた

「そうわね~

けどテレビは地デジ対応のに変えたみたい。」


炬燵(こたつ)のそばに結構大きい液晶テレビが置いてあった。

畳式の部屋にあると凄く目立つ。


(確かに...以前着たときは結構古いアナログテレビだったな~)


「今年のオリンピックを良い映像で見たくてな。」

「そっか。」


12月31日午後6:35


「.....ねえ。」


既に炬燵の中に入って暖まってるカンナが突っ立っていた俺の裾を引っ張ってきた。


「ん、なんだ?」

「....喉乾いた。」

「あら、ごめんなさいね~何か飲み物出すわね。」

「あ、有り難うございます。ほらカンナも!」

「...ありがとう」

「はぁ....まぁいいや...隣座るぞ」

「....」

「そう言えば姉ちゃんは?」

「...おじさんとどっか行った。」


(どこ行ったんだろ)


「カンナ?」

「....何?」

「どうした?」

「...何が?」

「顔が赤いぞ。」

「....」


(あれ?さらに顔が赤くなったぞ...)


「熱でもあるのか?」

「....大丈夫」

「本当に大丈夫か?」


カンナの前髪を左手で上げ、右手でおでこを触れた。


「うん、大丈夫だな....」

「...」


カンナは何も言わず顔を反らした。


「あらあら~、仲良いわねあなたたち。」

「そうだったらいいんだけどね....」


(最近はまともに会話をしてくれない。

それはもとからだな、、

取り合えず以前より親近感がなくなってきたのかな…)


「麦茶で良いかしら?」

「あ、大丈夫です。

ありがとうございます。」

「えーっと、カンナちゃんは?」

「....」


いつのまにか寝ていた。

(電車の中で寝たくせによく寝られるな)


「炬燵が暖かいから眠くなっちゃたのかしら。まるで猫みたいね。」

「猫だもんな。」

「ん?」

「あ、いや。何でもないです。

おいカンナ、風邪引くぞ。」

「...寝てない。」

「なんだよ。」

「...胸がドキドキしてる...」

「ん?何?」

「...何でもない」

「何だよ。」

「...」

「はぁ…」


ため息をついて窓から外を眺めた。


空は真っ赤に染めきって、東側から暗い影が少し見えかけていた。


(もう今年も終わりか....)


そんな事を考えてたら窓に突然人の顔が....


「うおお!」

「なんだ?幽霊でも見たかのような顔をしやがって。」

「いや、マジで幽霊だと思ったから!!」

「ははは、わりぃ。で、何で黄昏てるんだ。」

「何でもない。」

「....パクらないで。」

「自分のネタみたいにするな!?てか、今度こそ寝てる!?」

「仲良いな~」

(お前に言われたくない…)


「ただいま~。」

「あら、お帰りなさい。」

「おじいちゃんは?」

「夢渡くんをからかってるわ。あの人のあんな所が好きになっちゃったのかしらねぇ~。」

「はぁ。」


「園花も帰ってきたみてえだな。」

「そうだね。で、どこいってたの?」

「お前にはまだ早いところだ。あんなことやこんなこと....」

「冗談はいいからさ。」

「はははは」

(笑ってごまかしやがった!)

「で、カンナちゃんは?

.....ああ。」


俺の隣で寝てるのを確認して納得してくれた。

(.....寝言か...?

一体どんな夢見とるんだよ...)


「で、どこまでやったんだ?」

「何を?」

「あれだよあれ。Aとか。Cまでいったのか?」


孫になんてこと聞いてるんだよ。

一応血は繋がってないが義妹(きょうだい)っていう設定になってるんだろ....


「やってるわけないでしょ!」

「....嘘よ....私の奪った.....」

「よくやった夢!」

「変なこと言うな!!って、寝言じゃねえかよ...」


(自分の物を取られた夢でも見てるのかよ…)


「なんだよ、つまんねえな。」

「まぁ、一緒に寝たことはあるみたいだけど....」

「せっかくのチャンスじゃねえか!」

「はなからやるつもりないんだけど!」


(昇もいたら会話がもっと盛り上がってたのかな~。まぁ、カンナのこと知られたら大変だからな。)


午後9:50


その後炬燵で夕飯を食べ、

受験やら家のことなどで会話を繋げ、就寝時間になった。


自分はおじいちゃんと客間で、カンナ姉ちゃんお婆ちゃんは寝室で寝ることになった。


いつもは深夜までテレビを見るのだが、地域が地域なのでチャンネルが違い、放送される曜日・時間が異なるので見たいものを見ることができない。

それに年末年始だから番組編成も変わっている。

けど大晦日アニメまつりがやってるっけ?....

しょうがない....帰ってからビデオで見るとするか....


(けどそれにしても眠れない....)


普段夜遅くまで起きてる自分はみんなと時間のサイクルが違う。

それに....

隣で寝てるおじいちゃんのイビキがうるさい....


(ぼーっとしてればそのうち寝れる....)



午後11:12


....目を瞑ったがなかなか眠りに入れない。

(あれからどのくらい経ったんだろう?

除夜の鐘が聞こえないからまで年は明けていないんだろうけど....)


襖の向こうから音がした....


(だ、だれだ!?

....そう言えば....)


三年前にここに来たとき似たようなことがあった。

おじいちゃんにその事を話したらある事を話してくれた。


「俺のお父さんから聞いた話だが、この土地に住む前、ここの女の住人が男との事で自殺をしたらしい。

そして夜な夜な現れることがあるってよ。」


それを思い出した背筋が凍った。


(やばい.....)


足音はまだ聞こえる。


その会話の続きを思い出した。

「おじいちゃんは平気なの?」

「まぁな。その霊は姿が見られなきゃ悪い事はしねえらしいぞ。

それに俺は歳も歳だからすぐ寝むっちまうんだよな~

取り合えず、すぐ寝るか寝たふりでもしていれば大丈夫みたいだ。」


(そうだ!寝たふり....ふりだ!)


「....」

(やばい...緊張して呼吸が落ち着かない....

落ち着け....深呼吸...深呼吸。そして体をリラックス。。。

絶対目を開けたらだめだ....)


足音はなかなか消えず、むしろ近づいて来てる。


.....


突然足音が止んだ。

(いなくなった....か?)

安堵した所で突然襖が開く音が微かにした。



「ッ!?」


(どうなるんだ...!?)



足音が止まない。

さらに近づいてくる。

若干摺り足で畳との摩擦の音も聞こえる。


さらに一歩。


そして再び足音が止んだ。

だが自分の目の前に何かがいる気配がある。


(や、やべえ。。まだ寝たふりすればいいのか....!?)


額から汗が流れ落ちたのが分かる。

今はわからないが布団の中は汗でやばくなってると思う。


「....ッウ...」


突然腰の辺りが何かに押し潰されてるような感覚がした。


(これは金縛りってやつなのか!?

けどここで動けば寝てないってばれる....

我慢だ....)


しかしなかなか腰の重みも消えない...


パシッ!


「イテッ!」


頬を叩かれ確実に目を開けてしまった。

(まぶた)を開いたら先には顔が血だらけの女がいるわけではなかった。


この一週間毎日顔を合わせてるカンナの顔だ。

しかし、何か様子が変だ。

いつもなら無表情で話しかけてくるのだが、今回は頬が少し赤く染まっており恥ずかしそうな顔をしていた。


「....人生相談があるの」

「お前はどこの可愛い訳がない妹だよ!?」

小声でつっこんだ。

「....眠れないの。」

「寝すぎたお前が悪いだろ!!」

「....寝かせてくれなかった責任をとってもらうわ。」

「それはどう言う意味で責任をとらせるんだ!?」

「...子育てよ。」

「はっきり言うな!!」

「...今日は寝かせてほしいの。」

「いつも好きなように寝かせてるよね!?」

「....眠れない。」


振りだしに戻った...


「お前は引越した家で住み始めた

猫か!?」

「....みたいね。」

「否定しろよ!!

.....分かった。じゃあ初詣にでも行くか?」

「...出産祈願のお守りを買うのね?」

「なんでそうなる!?てか何か積極的だな!!」

「...そう?....夜だからかしら....」

「自分をあっちのキャラにでもしたいのか?

ってかお前!耳出てるぞ!それに尻尾も!」

「....あら。」

「あらじゃねえよ!」

「...興奮してるからかしら。」

「...危ないこと言うなよ。」

「....精神的に疲れたからだと思う....」

「なるほど....

じゃあ完全な人間でいるには、その精神力を使う能力(スキル)が必要ってことか?」

「....分からない....」

「...またかよ。」

(いつも通りの返事だな。)

「....それより早く行こう.....」

「おう。」


「.....早くしないとおかしくなりそう...」



「何か言った?」

「....何でもないわ....」

「全く何だよ....」



自分はスウェットにジャンパー。

カンナはパジャマに暖かそうなコート、あと何故か家から持ってきていた耳を隠すための帽子をかぶって、静かに家を出た。



午後11:45


3年前の曖昧な記憶で何とか近場の神社についた。


「....人がたくさん....」

「ああ、初詣にきたひとがたくさんいるんだろ。」


ちょっと奇抜な格好で来たので歩いてて恥ずかしくなってきた。


「....」

「この神社は此処等(ここら)じゃ結構大きいし、屋台も祭りの時ほどではないが、意外と多い。」


鼻に意識を向ければわたあめの甘いかおり、焼きそばやたこ焼などのソースの香りが堪能できる。


「....」

「財布持ってきてないから何も買えないぞ?」

「....いらないわ....」


(珍しいな...いつもならヨダレぐらいは垂らしてると思ったんだが....)


「元気がないけどどうしたんだ?」

「....別に....」

「....うむ......よし。

はぐれるなよ!」

「....え?」


カンナの手を掴み、はや歩きで歩き始めた。


(こんなに寒いになんでこんなに暖かいだ?)


カンナの手はまるで太陽のような温もりが感じる。


ガン。


「あ、すみません...?」


いろんなことを考えながら歩いていたため前に気づかず、誰かとすれ違う際に肩を軽くぶつけてしまった。

振り替えって謝ったが肩をぶつけてしまった、子は気にもせず走っていってしまい、後ろ姿も遠くなっていってしまった。

だが、その後ろ姿には見覚えがあった。

こんなに寒いのに薄く白いワンピース一枚。

(丁度一週間前に出会ったあの少女だ!!....と思う....)


カンナはその女後ろ姿をずっと眺めていた。


「知り合いか?」

「....さぁ。」

「何だ。

さっさと行くか!」


屋台の道を進み本殿に続く階段を上り始めた。

しかし階段は長く、途中の踊り場らしき所で休憩をとることにした。


「はぁ...はぁ....疲れた....」

(最近運動してないから体力落ちちゃったか...)

「.....」


カンナは息切れひとつしない....けど顔ちょっと赤くなっている。


「....ねえ....」

「はぁ....はぁ。なんだ?」

「....」


「うわ!何だよ!」


今度は逆に手を引っ張られ、階段の道から外れ茂みの中に入った。


「何だよ!いきなりなんなんだよ!!」

「....」


そのままちょっと走った所で止まり、再び手を引っ張られカンナに抱きつくようなかたちになった。


「....ッう!...な、何!?」

「.....黙って....」

「...あ...あ..」


(な、ななな、何が起きてるんだあああああ!?)


次回は4月25日予定

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