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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
『狐と変態と髪飾り』
12/75

思い出の髪飾り

12月25日18:55


「それでの、この街に散らばったなんでも願いを叶えるというなんたらボールとやら集めて欲しいんじゃ。」

「嘘だろ、そんなのアニメや漫画の世界にしか無いはず....」

「ならば、お主は目の前の存在を見ては嘘だと思うのかや?」


(そ、そうだよ....普通獣耳と尻尾の生えた俺好みの巨乳の女が存在するわけが無い....ましてや神様だと言っている....

それが目の前にいるんだ...ならそんな願いを叶えてくれるというボールもきっと....)


「嘘じゃ。」

「嘘かよ!!じゃあ、何で某人気漫画のネタを山暮らしのキツネッティが知ってるんだよ!!」

「この山の守り神である狐のユキエを()めるでないぞ。

これでも毎日、この山で一番高い針葉樹の先の上で立ちながら人間を観察しておるからな。」


腰に両手をあて、その大きい胸を揺らして胸を張った。


自分はそのまま両手を胸の方に伸ばしながらツッコミを入れた


「お前はどこぞの仙人か!?…ってイテッ!」


扇子で両手を叩き落とされた。


(っち、心を読まれてるとバレるか....)


「再び愚かな真似をしようとすればその両腕をへし折るぞ。」


(こわ...だがこんなので諦めてたまるか。)


「こんな巨乳、一生に2度と無いチャンス!!

なら腕の一本や二本…」

「その首でもよいぞ」

「はい、以後気を付けませぬ」

「...お主に何言っても無駄のようじゃ..」

「諦めたらそこで試合しゅ」

「では話しを戻すぞ。」


(お前からボケたくせに俺のボケはスルーかよ.....

!?...睨まれた...けどそんな顔も可愛らしい...あ、俺何考えてるんだ?)


「はぁ…」

「溜め息つかなくてもいいだろ!!

あれ、顔が赤いぞ。まさか照れて..」

「と、とりあえずお願いを聞いて欲しいのじゃ。」


(お、誤魔化そうとしたぞ。ニヤニヤ)


「か、からかうでない!」

「悪い悪い。で、お願いってなんだ?」

「髪飾りを探して欲しいのじゃ」

「お店とかで売ってるやつでいいのか?」

「ちがうわ。昔、ある少女から貰った大事な髪飾りじゃ」


(昔ってまさか数百年前とかじゃないよな。見た目は若い子、中身はオバサンみたいなパターンか…?

話し方とかもそれっぽいな)


「昔っていつなんだ?」

「ワシはただの狐じゃから100年も生きられんからぬわ。

昔と言っても3、4年ほど前の話じゃ。」


「昔」という言葉は人によって短かったり長かったりするものなんだな....


「3、4年前かよ。じゃあお前は何歳だよ?」

「人間換算じゃと16、7歳じゃ」

「若い!!

年上だとは思ってたけど...

じゃあ、なんでそんなしゃべり方をしてるんだよ。」

「それは、彼女がの...い、いや。と、とりあえずその2年前の話をしてやるから聞きなされ!!」


「あ、ああ」


「あれは3、4年前の春のことかのう」



丁度ワシが以前の守り神からその座を譲られて数週間の頃じゃった。


するとこの森の愚かなものどもはまだ幼いワシからその座を奪おうと襲いかかってくる時があるのじゃ。


やはりまだ慣れとらんワシは(いのしし)の輩に突進をくらってしまい深い傷を負ってしまっての、何とか茂みに隠れて逃げ切れたのじゃがそのまま気絶してしまったようなのじゃ。



「はいはい、ちょっと質問!」

「なんじゃよ」


呆れたような声で返事されてしまった。


「それって、人間の姿でいたの?」

「いや、人間に化けられるようになったのはついこの間のことじゃ。」

「え、まさか一昨日のこの光が降り始めた時か!?」

「察しが良いようじゃな。」


(能力(スキル)って人間以外にも適用されるものなのか?

それじゃあ、能力が二つも持っているってことなのか?)


「取り敢えず話しを戻すぞ。」



目が覚めた時には、身体中に包帯が巻かれており、目の前には見知らぬ少女がおってな、それはもう心配そうな顔をしてこちらを見つめていたのじゃ。


様子からして、彼女はワシを助けてくれたと察したのじゃよ。


「大丈夫?」


少女はまるで人間に話しかけているように声を掛けたきたのじゃ。


「大丈夫だ。」

「ふぅ〜よかった~...って、ええ!!狐が喋った!?」

「私はただの狐ではない。」




(あれ、お前さっき自分で自分のことをただの狐って...)


「細かいことは気にしてはいかんぞ若者。」

「お前とはたった1、2歳差じゃん。」


再び語り始めた。



「じゃあ、どんな狐なの?」

「この山を守る神のような狐だ。」

「だから人間と喋れるんだ。」

「そうだ、この地球上の生き物と会話できなくては、この山を守ることはできないから。」

「なるほど」


(...おいおい、普通なこんなんで納得するか?)

「いいじゃろ、まだ小学生じゃぞ。」



「しかし、なぜお前のような子供がここで一人でいるんだ?」

「子供じゃないよ!来年から中学生だよ!」

「だからなんでこんなところにいる?」

「ちょっと...一人になりたくて散歩してたの...」

「はぁ…小学校でいじめられてて、中学校に上がっても友達ができるか不安だって?」


ワシの自分の力を使って彼女が悩んでることをズバリ言い当てた。


「え!?あ!?」

「しょうがない、助けてもらったお礼に話しを聞いてやろうか。」

「え、なんで分かるの!?」

「そういう力も持ってるから。」

「守り神ってすごいね!」

「まぁな」


その後、彼女はよくこの山に来てはワシと話をしたりするようになったのじゃが....


19:20


「すまぬ、ワシから語り始めといてなんだが....」


突然悲しい顔を見せられてはこちらも無理に聞こうとは思えなかった。


「要するに、その髪飾りはその彼女から貰った物だということでいいんだな。」

「そうじゃ、それにこの着物も彼女から貰ったものなのじゃというより、取ったと言うべきじゃろうかの....」

「取ったってお前、神のくせに。」

「別にいいじゃろ!ちゃんと彼女から許可は得ておるし、大事にしておるぞ!」

「なおさら、そんな大事なもの着ちゃっていていいのか?」

「着るものがなくて困ってしまったものでの。」

「じゃあ、今すぐ脱いでもいいんだぜ!」

「下心まるみえじゃ。」


もちろんばれてしまう。


「というわけで髪飾りは彼女との大事な宝物なのじゃ。だから探して欲しいのじゃ。」


「この山の主ならこの山のこと知ってるだろ?

なら自分ですぐに無つけられるはずじゃ....」

「この山は動物一同でくまなく探したのじゃが、見つからなかったのじゃ。」


それじゃあ、こに山ではなく山の周りの町に落としたってことになるのだろう。

もしくは、誰かに拾われてしまっているのかもしれない....


「え、じゃあこの広い町から探し出さなきゃいけないのか!?」

「大丈夫じゃ、ある程度心あたりがあるから、ワシもついていくぞよ。」

「確かにお前の力が必要だけど、その姿で町をうろついたらいろいろまずいって。」


特になにも行事が無いのにちょっと派手な着物を着て町をあるくのも少し変だし、ましてやこのケモナー歓喜の姿。


けどそれなら、まだ誤魔化せるが問題はそこじゃ無い。


「大丈夫じゃ、お主のカバンにでも隠れておればよい」

「いや、守り神であるお前がこの山から離れたらまずいのでは…」

「一日や二日くらいいなくても大丈夫じゃろう。」

「なら...いいが…俺との約束、忘れてないよな?」

「大丈夫じゃ」

「見つけたら、お前の体を俺の者にす…ぉおおい!うぁああ!」


ドスン


(ともえ)投げをされて、木に激突した。


(イテテテテ。なんでそんなわざつかえる

んだよ…)


「だから言ったじゃろ。ワシにケンカを売る愚か者がおるのじゃから、ある程度の武術は身につけておるのじゃ。」

「狐の姿でどうやって使うんだよ...」

「狐専用の武術もあるぞ…試してみるか?」

「いや、結構です。」


ただでさえこんな力があるのに、狐の姿で妙な技食らった一体なにが起こるか分かりやしない。


「それで、協力してくれるんじゃな?」

「ああ、わかったよ。」

「あとお主、お前ではなくユキエって読んでくれぬか?

いつまでも「お前」呼ばわりは気分が悪いぞ。」

「そうか、わかった。」




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