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Game of Death  作者: 沖方 紳
2/3

同盟相手

「おーい!いおりーん!」


やべぇ、もう来てしまった………


「来るな!今死体処理中だ!お前ら死体みたら気絶するだろ!」


「雪ちゃん、海斗君がまだ来ちゃダメだって」


「えー、久し振りなのにー」


「いいからそこにいてくれ!」


あと5分くらいかな……さっさと処理班来いよ。遅いんだよ!


「早く血を拭かないと剣とサバイバルナイフが錆びる………二人に行ってきて貰うか…………」


いや、止めておこう。ここは《樹海エリア》だから簡単にトラップを作れる。しかもトラップは威力が半端ない。トラップで何人も殺した俺が言うんだから絶対にそうだ


ブロロロロロ


ヘリの音が聞こえてきた。これはこの馬鹿げたデスゲームを行ったクソヤロウ……運営のヘリだ


「お疲れ様です。これで残り人数は3481人です」


運営が言ってきた


「そんなのどうでもいいよ。あの戦闘狂と変態は何人殺したんです?」


戦闘狂と変態というのはキルランキングが俺より上の二人だ


影山集(かげやましゅう)さんと加藤稚尋(かとうちひろ)さんですね。ちょっと待っていてください」


何やら携帯みたいなものを操作した。なぜこいつが俺に対して敬語、情報の提供をするのかは取引に応じてくれたからだ。どんな取引かというと『生き残った時に渡される100億をあげる』だ。それからというものこいつは俺を生き残らせようと必死だ


「二位から言いますと加藤稚尋さんは688人、一位の影山集さんは3862人です」


………断トツか…………アイツの武器は最弱だった。なのに断トツで一位か………


「ありがとうございます。後は任せますんで」


そう言って仲間の方へ行った。あの時に俺が殺してやればよかったか……あいつ……影山は俺とバッタリ会っても殺さずに「最後のデザートだ」と言ってスルーする。しかも通りすぎる時に俺のポケットに罠を張っている場所を記した地図まで入れる。強者の余裕だろう………あいつは早めに殺させなければな…………






「二人とも久し振り、まだ殺されてなくて安心したよ。もし殺されていたらあの時俺が殺さなかったのを後悔していたよ」


と、一言原村雪(はらむら ゆき)奥村栞(おくむら しおり)に言った。


この二人は今は同盟を組んではいるが、自分のために大勢を殺したという罪悪感を感じていた頃の標的だった二人組だ。殺そうとして剣で刺そうとした時に躊躇い、その瞬間罪悪感に圧し潰された。だがなぜかランキング三位である俺を殺すチャンスなのに武器をとらず慰めるという意味不明な行動に出て、それのお陰で俺は立ち直れた。そしてそのお礼として同盟を組んだ。これを狙った二人はかなりの策士といえるだろうが狙ってやった訳じゃないらしい。本人曰く


「可哀想だったし、その時はもう生き残るのを諦めたから君のような優しい人に殺された方がいいな」


らしい。俺のどこが優しいのかは分からないがあの時の二人は俺に殺されると思っていたらしい。俺が「同盟を組まないか」と言ったときのキョトンとした顔は今でも思い出せる


「こっちもいおりんが生きていて安心したよ。あの時に慰めてよかった」


こちらは原村雪、雪のように色白く今にも消えそうだ。髪は金髪のロング。だけど見た目に反してかなりアクティビティな美少女


「ふふ、雪ちゃんは毎日毎日海斗君が殺されたりしていないか心配しているのよ。だって雪ちゃん、海斗君のことを…………」


今話したのが奥村栞。この中でお姉さん的なポジションであり、時々意味のわからない言葉を発する。髪が藍色のセミロングで美人。そもそも、この《game of death》と呼ばれるデスゲームに参加させられている女子はみんな美しかったり綺麗だったりする。きっと、色仕掛けによる生存ができる可能性のある者を選んでいるのだろう……


「あー! ストップ!!! それ以上はダメ! 絶対!」


と、雪が言ったが何がダメなのかはわからない…


「そんなことよりさ、さっき銃取ったから護身用に持っていてくれ。二人には生きてほしいからな。ま、俺は使い方知らないってとこもあるだろうけど」


本当にこの二人には生きてほしい。この二人はいわゆる俺の命の恩人だ。恩人には生き残っていてほしい。ま、自分の命優先だけど


「もしかしてまた行っちゃうの?」


雪が寂しそうに、そして心配そうに俺に言う。本来、俺は一人の方が光る。そして、非情になれる。だから普段はずっと一人で参加者を殺しまくっている


「ああ、もうそろそろ加藤千尋、影山集の討伐を行わなければならないし………なぁに、心配するなよ。俺は自分が生き残ることしか考えていないよ。ま、生きていたらまた会おう」


軽く死亡フラグ建てちゃったかな?ま、いいや


「私達は足手まといってこと?」


「正直そうだけど………こうして会うだけでも結構救われるよ」


結構恥ずかしいな………俺の顔が若干赤くなっているのを感じる


「いおりん、顔が赤いよ~」


雪が茶化しやがった………全く、こいつらといると本当にデスゲームを行っているのかどうかが分からなくなるな


「雪ちゃん、きっと海斗君はエロいことを考えたのよ」


「んなわけないだろ!………救われるって言ったことが恥ずかしかっただけだ!」


こいつらはどこまでも……


「このデスゲームで性格が変わった人ってどれくらいいるんだろうな……」


ふと、そんな疑問が思い浮かんだ。俺は三回ほど性格が変わった。他人はどうなったんだろうか……


「さぁ?いおりんは………変わっているよね……」


大勢殺せば殺すほど性格が変わっていく……例外は異常な影山集で、ずっと『戦闘狂』のままだ。加藤千尋は全く会わないから分からない


「二人は変わったりした?」


「うーん、心配性になっちゃったかも……」


心配性はいいな……ここで生き抜くに適しているだろう


「私はべつに変わってないと思うよ」


やはり、変わらない人もいるのか………


「ビンゴ!伊織海斗以外にも二人………」


このタイミングで敵が高さが1mほどの崖の上の茂みから出てきた……しかもまた三人……今日のエンカウント率は歴代上位だな………とりあえず……


「二人とも眼を閉じておいて」


二人は言われるがままに眼を閉じてくれた。それを確認した俺は閃光手榴弾を投げ、すぐに敵に背を向けて二人を抱き抱えて走った


「閃光手榴弾!?」


驚いた声が聞こえたし、これで時間は稼げたな……


「二人とも、もう眼を開けていいよ」


眼を開けた二人はとても顔が赤かった………


「胸………胸触られた………………」


雪が落ち込んでいるみたいだが顔が少しにやけている。頭でも打ったのだろうか……


「海斗君、ラッキースケベは結局は犯罪と同じよ」


は?ラッキースケベ?何それ………もしかしてさっきなんかしてしまったのか?


「とりあえず、さっき何をしたの?」


雪がまだ少しにやけている顔で言ってきた


「閃光手榴弾投げて二人を抱えて必死に逃げた」


閃光手榴弾は強力な武器だ。相手の視力を奪うだけでなく、視力を奪われた人の居場所を第三者におしえることになる


「雪、背に背負っているスナイパーライフルを貸してくれ」


雪は何も言わずに貸してくれた


「サンキュー」


スコープを覗き、さっきの人を狙いにきた第三者を探す


「伊織君、こいつら、君の同盟相手?」


後ろから声が聞こえた。声で誰か分かっている。影山だ。俺は振り返った。するとやはり白い制服を着ているイケメン、影山集だった


「そうだ。殺したら今ここでお前を殺す」


「そんな眼で見ないでくれよ。殺さないから安心して標的でも狙いなよ。今、《樹海エリア》にランキング十位全員いるよ。あ、加藤さんはもういないかも……」


!!!?


まさか……それが本当なら来るのは十~五位の誰かだ。四位以上は別にこんな真似をしなくても普通に殺すことができる


「なあ影山、なぜそんなことがわかる」


「これのお陰だよ」


と見せてきたのは携帯のような機械、運営が使用する道具だ


「殺したのか?」


「盗んだんだよ。殺したら毒が流れるだろ?きっと」


「そうだな。俺にプレゼントしたりは?」


「さすがにしないよ。でも良いことを教えてあげる。腕時計の中心、小さく光っていないかい?」


見てみると紫色に光っている


「紫に光っている」


「それは半径100メートルに同盟相手と敵がいるってことを指している。青なら同盟相手だけ、赤なら敵だけ。どちらもいなければ光らない」


「ほう、中々だなぁ。俺も盗もうかな。それ」


そんな有力な情報があるなら欲しいかも


「まぁとにかく、頑張ってね。伊織君の同盟相手さんも頑張ってね」


影山が俺には営業スマイル、二人には見向きもせずに言って去っていった。やはりポケットには罠の位置情報……完全になめられているな………




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