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91.消えたアニマル

「やあ、みんな。カレーはスキかな?」

「似合わない。」「体操のお兄さんみたいな言い方。」

真壁と一美が口々に言った。

「確かに。」

画面のこちら側の皆は言った。


 ========= この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部[江角]総子ふさこ・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・総子の夫。南部興信所所長。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。


 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。走るのが速い。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。


 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。


 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった(EITOガーディアンズ)。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。


 大前[白井]紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。


 神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。呼び名は他のメンバーと違い、あだ名の「小町」で通っている。


 芦屋一美ひとみ警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

 用賀[芦屋]二美ふたみ二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

 芦屋三美みつみ・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


 小柳圭祐警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。


 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。EITOガーディアンズ。


 今奈良リン・・・大阪府警巡査。EITO大阪支部に出向になった。


 友田知子・・・南部家家政婦。芦屋グループ社員。


 門田もんでん警視・・・大阪府警副本部長。小柳警視正の姉。


 津川正彦・・・天王寺動物園園長。

 真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。

 佐々一郎・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部補。


 =====================================

 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 == EITOガーディアンズとは、EITOの後方支援部隊のことである ==



 午後1時。EITO大阪支部。会議室。

 マルチディスプレイの前には、小柳警視正が映っている。

「やあ、みんな。カレーはスキかな?」

「似合わない。」「体操のお兄さんみたいな言い方。」

 真壁と一美が口々に言った。

「確かに。」

 画面のこちら側の皆は言った。

「今のはね。天王寺署生活安全課に配属になった、アリ巡査の交通安全教室の台詞。真似しても意味ないからって、圭祐に言ったのに。」と、横から門田が言った。

「ははあ。アリ巡査の『つかみ』やな。」と、総子は言った。

『つかみ』とは、お笑い芸人がよく使う言葉で、話の最初で初笑いを醸し出す為の技またはネタのことである。

「名前からすると、インド系の巡査?時代は変わって行くのね。」と、小町が言うと、「小町の台詞とは思えんな。それ、おれの台詞やで。」と、大前が言った。

「朝から、漫才の練習?変な組織ね。リン、アパート、慣れた?」と、三美が入って来た。

「はい。」

「交通安全教室の話ですか?今日は。誰かに狙われているとか。」と、弥生が尋ねた。

「いや、狙われているのは、カレーフェスだ。姉さん、あれを。」と、小柳は門田に振り返った。

「送ったわよ、先に。ヘレンちゃん、画面に出して。」と、門田はヘレンに猫なで声で言った。

 マルチディスプレイの中央に『脅迫状』が出てきた。


『おおさかかれーふぇすでしにんがでる。』


「へったくそな字イ。」と、稽古が言った。

「滲み方からして、口紅ちゃいます?」と、珍しく紀子が口を挟んだ。

「すると、被疑者はおんな、か?」と、大前は口を挟んだ。

「小柳さん。証拠物件から少し採取して送って貰えます?系列の口紅研究者に調べさせればメーカーが分かるかも知れない。」と、三美が言った。

「グループでは、口紅も扱っているんですか?」と小柳は呆れた。

「いいえ、傘下にあるのは口紅研究所。製品会社じゃないんです。」

「分かりました。送らせます。」と、門田が三美に答えた。

「大阪カレーフェスって、19日から21日。天王寺ですね。会場は天王寺公園『てんしば』。時間は、10時から18時。」

 静かに調べていた、いずみがPCから顔を上げて言った。

「決まりやな。詳しいことは、被疑者から聞こうや。総子、班分けしてくれ。」

「はいよ。」

 珍しく、素直なチームワークを見せた大前と総子だった。

「小柳さん、筆跡鑑定は?」「今、やらせてる。以前のように子供が書いたモノでも、書かせたモノでも鑑定は必要だ。」小柳は小町の問いに即答した。

 以前と言うのは、大前の幼なじみが被疑者だった事件だ。

 子供が書いても、自分の意思で書いたとは思いにくい。特に、文面が脅迫状めいていれば。

 7月19日。天王寺区。天王寺公園。『てんしば』。

 一口に、天王寺公園と言えど、結構広い。

 今回は、『大阪カレーフェス』というキーワードがあるため、EITOエンジェルズに所縁のある天王寺動物園、河底池等は考慮せず、『てんしば』エリアの店の近くに総子はメンバーを配置した。

 10時を過ぎた。各フェス参加の店や屋台は商売を始めた。

 何も起こらない。

 その時、美智子のスマホに天王寺動物園園長の津川から連絡が入った。

 美智子は、すぐにイヤリングを通じて、大前、ホバーバイクで待機しているEITOガーディアンズ、総子に連絡を執った。

 EITOガーディアンズのイヤホンは、東京本部のエマージェンシーガールズ同様、緊急通信装置になっている。装着者からは一方通行になるが、オスプレイを通じて、大阪支部、各メンバーに連絡が伝わる。

 園長からの連絡は、天王寺動物園のライオン舎、カバ舎、レッサーパンダ舎の檻が壊された、というものだった。

 ホバーバイクとは、民間会社が開発、EITOが採用した『宙に浮くバイク』だった。

 完全に裏をかかれた。陽動だったのだ。

 総子は、EITOの『黒星』だ。

 総子は唇を噛んだ。決心まで数秒もかからなかった。

 大阪支部のEITOガーディアンズ(後方支援部隊)の用賀、二美、いずみ、弥生に先行して現場に急ぐように指示し、皆には・・・皆はもう走り出していた。

 元レディースの彼女達にとって、「庭」みたいな土地だ。


 いない。動物たちがいない。

 オスプレイのデビッドから総子に連絡が入った。

「チーフ。府警からの連絡で、高速道路を全て封鎖しました。Nシステムで通過可能な車両をチェック中。門田警視がヘリで出動しました。芦屋総帥のオスプレイが、こちらに向かっています。それと、EITO東京本部から『体温センサーシステム』をリモートで稼働したそうです。このボタンかな?あ、動いた。」

 大前は、改めて『動物誘拐』トラックを捜索するように、EITOガーディアンズに指示した。

 Nシステムとは、警察が古くから使っている「通過記録システム」だが引っかからなかった。

 詰まり、高速に乗っていない。

 総子は、夫である南部虎之助から教わった「神経集中」を行った。


 そうか。上町筋を通って本町通りまで北上、更に西に向かって、目的地は中之島。


 総子は、進捗を聞きながら、EITOガーディアンズに中之島に向かうように指示を出した。

 総子の前に、ロープが降りて来た。大前から怒鳴る声が聞こえた。

「そのオスプレイに乗れ!!」

 総子がロープを伝いながら登ると、三美が待っていた。

 ロープと総子を回収すると、三美は叫んだ。

「知子、中之島に急行!!」

「はい、総帥。」


 午後2時半。中央区中之島。木津川ほとり。あるホテルの駐車場。

 そこは、民泊で有名な施設で、那珂国人がよく使う場所だった。

 催眠剤で眠らされているのか、3台のトラックから泣き声はしない。

 園長からの報せで、『誘拐』されたのは、ほんの一部で、後は園内で捕獲されたと言う。

 そして、三美の芦屋グループ会社の研究所から、那珂国製の口紅が使われたことが分かった。

「カアカアカアカア。」

 そんな鳴き真似が木霊した。

 何事か、と男女が出てきた。

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと我らを呼ぶ。参上!EITOエンジェルズ。満を持して。」

 総子率いるEITOエンジェルズが勢揃いした。

「無血開城ね。それとも一戦交える?警察は『民事不介入』だけどね。」門田が言うと、皆口々に那珂国語で喚いた。

 小町が那珂国語で何か言うと、大人しくなったので、佐々刑事や真壁達は全員逮捕連行した。


 午後6時半。総子のマンション。

「なあ、所長夫人。幾つか聞いていい?」「3つまでオッケー!!」

「小町は何て言うたんや?」

「今、世界に注目されてるで、って。用賀さんとリンにカメラ持たした。ホバーバイクからフラッシュ焚かした。」

「なんで、中之島や。」

「あの民泊ホテルは以前逮捕者出したけど、借りてる人間は捕まったけど、オーナーは捕まらなかったのはおかしい、って前に新聞見ながら小町が言うてた。」

「で、また犯罪に使われるやろうと。よう覚えてたな。」

「あんたのほくろの場所と数もソラで言えるで。」

「もうエエわ。」

「お後がよろしいようで。」笑いながら、知子は帰った。

「トモちゃん、何でも運転出来るんや、びっくりした。」

「オスプレイは操縦やろ。」

「え?操縦して欲しい?」「安全操縦でお願いします。あ、そや、なんでカレーやねん。単に陽動か?」

「オーナーはカレー嫌い。那珂国人やからか知らんけど、インドが嫌いでカレーが嫌い。」


 ―完―


 ※実際の「大阪カレーフェス」は題材にしましたが、事件はフィクションです。


府警からの連絡で、高速道路を全て封鎖しました。Nシステムで通過可能な車両をチェック中。門田警視がヘリで出動しました。

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