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参上88.小柳包囲網

マルチディスプレイに、小柳警視正が何とも言えない顔で映っている・・・のが通常の光景だが。

マルチディスプレイの前には、門田警視が映っている。


 ========= この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部[江角]総子ふさこ・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・総子の夫。南部興信所所長。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。


 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。走るのが速い。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。


 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。


 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった(EITOガーディアンズ)。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。


 大前[白井]紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。


 神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。呼び名は他のメンバーと違い、あだ名の「小町」で通っている。


 芦屋一美ひとみ警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

 用賀[芦屋]二美ふたみ二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

 芦屋三美みつみ・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


 小柳圭祐警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。


 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。EITOガーディアンズ。


 藤島ワコ・・・藤島病院看護師。

 今奈良リン・・・大阪府警巡査。EITO大阪支部に出向になった。


 友田知子・・・南部家家政婦。芦屋グループ社員。


 門田もんでん警視・・・大阪府警副本部長。小柳警視正の姉。


 =====================================

 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 == EITOガーディアンズとは、EITOの後方支援部隊のことである ==



 午後1時。EITO大阪支部。会議室。

 マルチディスプレイに、小柳警視正が何とも言えない顔で映っている・・・のが通常の光景だが。

 マルチディスプレイの前には、門田警視が映っている。

 皆が驚いていると、門田は大前を見た。

「圭祐、いやテロ対策室室長は、数日間休みを取ります。所謂人間ドックに入りました。よろしくね、大前管理官、じゃないか。コマンダー。それと、チーフ。それと、暴れん坊小町。それと、今奈良巡査。もう、慣れた?」

 最後はリンに向かって、優しく言った。

「はい。全ての先輩が私の指導者です。」

「よく出来ました。昇進試験、頑張りなさい。大前コマンダーの指導があれば、すぐに巡査部長になれます。その後は、その後。」

「副本部長・・・今日は、ご挨拶に?」

「そんな訳はない。事件が起きてから動くのが警察、それは、昔のセオリー。新しい事件の予兆があれば動く時代。だからこそ、テロ対策室が出来た。とは言え、まだまだ融通が利かない。そこで、いつもEITO大阪支部にはお世話になっている。いつもありがとう、大前さん。あ、ご懐妊だって?無事生を受けたら、私にも抱かせてね。さて、本題。んんん。」

 咳払いをして、副本部長は続けた。

「2つの事件が続けて起こった。1つは、高槻市で25日の朝、集合住宅で頭から血を流していた男性が発見された事件。発見者は、宅配便配達員。男性は配達員が速やかに110番してくれたお陰で、まだ生きているが意識不明。もう1つの事件は、大阪市西成区で24日の朝、集合住宅で背中や首に刺し傷があった女性が殺されていた事件。こちらは、発見者ではなく『親戚の者だが施錠されていて応答がない。』と通報してきた男性がいる。同居人の夫とは連絡がつかない。」

「副本部長。順当に考えて、2つ目の事件、時系列から言うと、先に起こった事件は、夫が犯人で警察に発見させて逃亡した、ということになりそうですが。」

 小町が推理を述べると、「流石、警視。慧眼だな。マスコミには伏せてあるが、夫は『重要参考人』であり、被疑者候補だ。慧眼ついでに、共通点は見つかったか?」

「早朝ということと、集合住宅、ということですか。」

「集合住宅って、早い話、アパートやマンションのことですね。」と用賀が言った。

「おお。男前ね。二美二曹が不倫して懲らしめたけど、『焼けぼっくいに火が点いてゴールイン』したって?」

「ど、どうして、それを?」二美が慌てた。

「あんたの、尻と口が軽い姉妹から聞いたよ。余計な情報だったかな?ヘレンちゃん。後で会議録音から消しておいて。やり方、分かるよね。」

「・・・はい。」と、ヘレンの声が司令室から聞こえた。

「集合住宅の不動産会社が、何か怪しいんですね。」

 総子が言うと、「流石、興信所所長を夜這いする『熱意』があるだけじゃなく、EITOエンジェルズを纏める能力を買われるだけのことはある。」と、副本部長は嫌味を言った。

「集合住宅の不動産会社は、六甲おろし開発管理。ダサイ名前やな。半グレとの関わりがあるというタレコミがある。第三の事件が起こる前に、『いてまえ!』」

 マルチディスプレイから、副本部長が消えた。

 大前は、司令室に戻り、「ヘレン、今の『いてまえ!』も消せるか?」とヘレンに尋ねた。

「出来ます!!」と、憤慨したヘレンの声が聞こえた。

「実はな、みんな。会議の録音データは、東京本部と府警にコピー送ることになってるんや。」大前は、皆に『業務連絡』をした。

「小柳さんが、病院に逃げる筈やな。」と、ジュンが言い、「大した『お姉様』やな」と、ぎんが言った。

 リンが一生懸命メモしているのを見て、二美が慌てて、何カ所かを赤線入れした。

 用賀がくすくすと笑っている。

「総子。三班に分けて確認してきてくれ、救急搬送されたマンションと、死体が見つかったマンション、それとマンション管理会社の本社や。」

「了解。『管理』は大変やな、兄ちゃん。」「今時分、遅いわ。」

 皆は、支度をし、出て行った。

「小柳さん、退院してから大変やな。」「いや・・・病院は『見張り』付いてるかもな。」「地獄ヤン。」夫婦で意気投合して、馬鹿笑いした。

 ヘレンは、この職場が好きだった。

 紀子の後釜に座る、ヘレンの母親には自慢話が多かった。

 午後4時。EITO大阪支部。司令室。

 西成区に言っている、ジュンと小町の班から連絡があった。

「コマンダー。数日前から、夫婦が言い争う姿が目撃されています。地元警察署に寄って、解剖所見を聞きましたが、『弾み』でなく『怨み』で刺したことは間違いないようです。」

 小町は、警視だ、どこの警察署にも出入り出来る。ジュンには出来ないことだった。

 続いて、高槻市に行っている、総子とぎんの班から連絡があった。

「兄ちゃん。第一発見者を疑え、ってよう言うけど、配達員は『善意の第三者』やな。受け持ち区域やから、そのマンションでよう見かけられている。病院に寄ったけど、薬物反応はなし、頭から出血で動けなくなったんやろうけど、脳梗塞になった病歴があり、寝たきりになる可能性もあるらしい。佐々ヤンが呼んでくれた親族から病気のことは聞いたけど、怨恨の心当たりはないらしい。一人暮らし、早う止めさせれば良かった、って泣いてた。」

 最後は、マンションの管理会社に行っている二美と用賀からだった。

「夜逃げされた。一美にNシステムで高速の出入りチェックするように言っておいたわ。」

「了解。あ、ナンバーは?」「近所の駐車場で情報集めたわよ。所有車は3台。一度に動けば目立つわ。」

 午後6時。豊中市。服部緑地公園近くの『集合住宅』。

 千里中央公園に本拠を置いていた、六甲おろし開発管理は同じ豊中市内で移動しただけだった。それで、古くからある、道路の監視システムのNシステムだけで大まかな移動を確認出来た。それに加えて、小町が京都時代に親しくしていた運送会社システムで、ナンバーの目撃が確認出来た。

 決定的なのは、スピード違反で、白バイに『切符』を切られていた。

 六甲おろし開発管理の入居した前のオフィスビルと違い、自社ビルだった。

 だが、この時間でビル全体が真っ暗なのはおかしい。

 総子は、佐々ヤンの提言に従い、いつもの「おびき出し」は止めて、ジュン達と共に様子を見に行った。

 血の臭いがする、と思った総子と小町が踏み込むと、黒い塊が幾つか見えた。

 佐々ヤンが部下達と、ライトを浴びせ、部屋の電気をつけた。

 方々で、人が死んでいた。今日子が脈を確認して行った。

 1人だけ、部屋の片隅の壁によりかかっていた。

「チーフ!」叫んだのは悦子だった。

 電源ケーブルに触れてしまい、スリープしていたPCが起動していたのだ。

 恐ろしい「ダイイングメッセージ」が読めた。

 午後6時。ある大学病院の病室。

 小柳がスマホでEITO大阪支部をテレビ電話で呼び出した。

「あ、ヘレン君。残業?みんなは?」「捕り物、です。」

 突然、スマホを取り上げられた。

「何、してるんですかあ、小柳さん。夕食の時間です。そういうのは、後にして下さいね。」

 看護師は、スマホの電源を切った。

 午後6時。EITO大阪支部。

 ヘレンと紀子が、首を捻った。

「今の、藤島病院のワコちゃんに似て無かった?」「どこに入院したんやろ、小柳さん。」

 午後7時半。総子のマンション。

「ほな、お先。」と言い、知子は帰って行った。

 今日は赤飯だった。総子には、血の色に見えた。

「詰まり、こういうことか。被疑者の赤穂淳也は、妻の俊子が、六甲おろし開発管理のセールスマンと恋仲になり、欠陥住宅を賃貸した。西成区の殺人者は淳也の犯行。翌日の高槻市の傷害事件の被疑者でもある。ガイシャは、セールスマン斉藤松男、寝たきり入院中。美人局つつもたせ営業させた六甲おろし開発に脅しの電話をかけ、建てたばかりの自社ビルにおびき出して、皆殺し。」

「用賀さんが提案して、自衛隊で赤穂を調べて貰ったら、入隊経験があったらしい。それで、一気に。ドアは開いてた。待ってたんや。ダイイングメッセージに。事件は『お蔵入り』にはならない。警察もEITOもアホやない。念の為、殺人計画を送っておいたけど、って。」

「口上、言う暇無かったな。後は府警の仕事やな。」

 食事を終えた、総子は、すぐに洗い物をし、風呂を沸かした。

 南部は、両手首を揃えて差し出した。

「今日は、往生際がええな。」「痛くしないでね。」

「断る!!」

 大人の時間が始まった。

『無邪気な』大人の。

 ―完―






「用賀さんが提案して、自衛隊で赤穂を調べて貰ったら、入隊経験があったらしい。それで、一気に。ドアは開いてた。待ってたんや。ダイイングメッセージに。事件は『お蔵入り』にはならない。警察もEITOもアホやない。念の為、殺人計画を送っておいたけど、って。」

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