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106.消えた正月

「あ。今日は休みです。」と、大前が応え、真知子が司令室から、「ヘレン、出しまーす。」と言って、画面に脅迫状らしき手紙を表示した。

『消えた正月を忘れるな。』


 

 ========= この物語はあくまでもフィクションです =========

 =====================================

 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 == EITOガーディアンズとは、EITOの後方支援部隊のことである ==


 1月1日。午後1時。EITO大阪支部。会議室。

 マルチディスプレイに、小柳警視正と門田警視が並んでいる。

「あけましておめでとうございます。」2人と一美と真壁が挨拶すると、

「あけましておめでとうございます。」と、大前とEITOエンジェルズが挨拶を交わした。

「実は、マスコミには伏せてあるが、府警宛に、こんな郵便が来た。ヘレン君。」

「あ。今日は休みです。」と、大前が応え、真知子が司令室から、「ヘレン、出しまーす。」と言って、画面に脅迫状らしき手紙を表示した。

『消えた正月を忘れるな。』

 関西では、『消えた正月』と言われた時が2度ある、1つ目は昭和天皇の崩御であり、2つ目は、阪神淡路大震災である。

 正確には、正月気分が消えた、というべきか。特に後者は。

 犯人が暗喩しているのは、恐らく後者のことだろう。

 だが、地震は人工的に起こしたり止めたりはできない。

「指紋は検出されなかったわ。知事に問い合わせたけど、府庁には届いていないの、メールの類いもね。」と、門田は言った。

「被災者の恨み辛みですかね。でも、被害は兵庫県の方が甚大な筈やが。」と大前が呟くと、「兵庫県警や県庁にも問い合わせたんだが、似た様な文書は知らないそうだ。」と、小柳が応えた。

「被災者で、大阪・京都に通勤していた人も大勢いると思いますが、コマンダー。」と、小町が言った。

「もし、震災関係で復讐しようとしているなら、犯行予告やな、兄ちゃん。」と総子は大前に確認した。

「俺も、そう思う。もし『2便』が無かったら、震災前後の日は要注意やな。」

「私もそう判断して、今すぐは、何も出来ないが心しておくように職員に伝えておいた。」と、小柳警視正が言い、画面は消えた。

「ま、そういう事やな。皆も初詣とか行ってもええが、他府県は自重してくれ。いざという時の為にな。ほな、解散。今の内に休め。真知子。通信は、東京本部に自動転送するように切り替えておいてくれ。」「了解。」

「コマンダー。東京は、年中無休ですか?」

「ああ。事務だけは、河野さんの替わりは警視庁から来る。心配か?小町。」

「はい。向こうは定番の敵ですから。あ、でも事実上停戦状態でしたね。」

「どの程度か分からんが、内紛あったら、兵隊は集められへんわな。」


 午後4時。総子のマンション。

 悩殺的なネグリジェで総子が寝室を出入りしている。

「他人には見せられへんな。」「せやけど、寅次郎、タネ、まだあるやん。」

「下品なこと言うなよ、所長夫人。」「ハタケは・・・。」

「もうええ。一服しょうや。」

 そう言って、南部は新聞に目を通し始めた。

「住吉さん、どうやった?リンちゃん、連れて行ってやったんやろ?」

 実は、総子は出勤前にリンを連れ、両親と初詣に行っていた。

 前妻を祀った小さな仏壇の上方に、破魔矢が乗っている。

「凄い感激してた。あの子、里帰りもせんと偉いな。まあ、EITOエンジェルズは片親多いけど。ヘレンも今日は親孝行や。」

「ヘレンちゃんは、天下茶屋やったかな。」

「お母さんがな。ヘレンは、EITOに嫁にやりました、なんて言うてた。」

「ああ。頑張ってるな。興信所と通信繋がった時くらいしか見てないけど、明るなったな。」

 興信所も3が日休みで、知子も休みだ。芦屋グループ自体が三が日は休みだ。

「そや、三美さんて、相手おるん?」

「おるよ。仕事。今時分、家で仕事やな。」

「鬼やな。」「鬼やで。」

「大前さんも勝てんもんな。」「勝てんな。」

「二美さんだけか、所帯持ちは。」

「あ。倉持君。初めて、の正月やのに。留守番か。」

「門田さん、出てるのん?」

「登庁してたで。途中で帰ったかどうか知らんけど。」

「倉持な・・・。」

 そっと、南部は写真を総子に見せた。

「幸田が、こっそりコピーしたんや。」

「似てる。」「似てるやろ。」

「運命やな。」「運命やで、あの二人。」

 門田の持っていた、亡き夫の写真も倉持に似ていた。

 2人の『夫婦漫才』は、いつ終るともなく続いた。


 ―完―



 ============== ただ今の出演 ================

 南部[江角]総子ふさこ・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・総子の夫。南部興信所所長。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。


 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。走るのが速い。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。


 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。


 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった(EITOガーディアンズ)。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。


 大前[白井]紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。


 神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。呼び名は他のメンバーと違い、あだ名の「小町」で通っている。


 芦屋一美ひとみ警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

 用賀[芦屋]二美ふたみ二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

 芦屋三美みつみ・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


 門田奈穂美もんでんなおみ警視・・・大阪府警副本部長。小柳警視正の姉。


 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。EITOガーディアンズ。


 今奈良リン・・・大阪府警巡査。EITO大阪支部に出向になった。






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