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85.『時の記念日』脅迫事件

両校に脅迫状が届いている。『学校の記念日に爆破』してやる』、と予備校のホームページに届いた。それで、相談を受けている。

 ========= この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部[江角]総子ふさこ・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・総子の夫。南部興信所所長。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。


 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。走るのが速い。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。


 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。


 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった(EITOガーディアンズ)。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。


 大前[白井]紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。


 神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。呼び名は他のメンバーと違い、あだ名の「小町」で通っている。


 芦屋一美ひとみ警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。アパートに住んでいる。

 用賀[芦屋]二美ふたみ二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー(EITOガーディアンズ)。総子の上の階に住んでいたが、用賀と結婚して転居した。

 芦屋三美みつみ・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


 小柳圭祐警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。


 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレだったが、二美と結婚した。EITOガーディアンズ。


 真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。

 今奈良リン・・・大阪府警巡査。EITO大阪支部に出向になった。

 佐々一郎・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部補。


 下谷葉子・下谷愛子・・・予備校経営者。境遇が似ているせいか、芦屋姉妹と親しい。


 =====================================

 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 == EITOガーディアンズとは、EITOの後方支援部隊のことである ==


 午後1時。EITO大阪支部。司令室。

 小柳警視正がマルチディスプレイに映っている。

「大前君、チーフ。ヘラ予備校を覚えているかね?」

「下谷さんとこの予備校ですか?住吉区杭全と鶴見区放出にありますね。また、何かありましたか?」

「うむ。両校に脅迫状が届いている。『学校の記念日に爆破』してやる』、と予備校のホームページに届いた。それで、相談を受けている。あの時は、ナイフガンナイフにナイフが似ている、ということでEITO大阪支部に要請したんだが・・・。」

「下谷姉妹、美人ですものね。」「色っぽい人に言われたら、鼻の下伸びるわよね。」

 真壁と一美が、無遠慮に言った。

 小柳は二人と二股不倫していたことがばれてから、部下に頭が上がらない。

「いや、そういう訳じゃない。『民事不介入だから』・・・。」

 口籠もる小柳に、大前が助け船を出した。

「記念日、っていつですか。普通は創立記念日かオープンの日のことやと思うが。」

「第一予備校のオープンの日は5月6日、第二予備校のオープンの日は5月12日。先代が経営していた頃の学習塾のスタートの日が4月1日、だ。」

「全部、過ぎてますやん。警視正。因みに、脅迫状届いたんは、いつですか?」

 総子も、思わず助け船を出した。

「5月21日だ。これももう過ぎている。」

「あのー。」今奈良が遠慮がちに手を挙げた。

「なんや、リン。言うてみ。」総子が優しく言った。

「時の記念日が6月10日ですよね。お婆ちゃんの誕生日なので、よく覚えているんですけど。」

「それやわ。リンちゃん、お手柄やで。コマンダー。本人は、フルの名前で言っている積もりで略しているってことありますよね?」と、小町が振り返って大前に言った。

「ああ。それは、あるなあ。つーかーの仲間内やったら通じるけど、第三者に通じずにきょとんとする場面って、あるよな。今日は・・・。」

 言いかけた大前に紀子が言った。

「明後日の火曜日が『時の記念日』です。」

「よっしゃ、まだ時間があるな。総子、手分けして、両校の経営者の下谷姉妹、それに通学している学生に『時の記念日』ってキーワードに心当たりがないか聞いてくれ。それと、メールの犯人は、案外『打ち損なった』んかも知れんな。気持ちは、『時の記念日』のままで。出す前に確認せんと、な。」

「コマンダー、『出す前に確認せんとな』は自分に言ってるの?」と二美が揶揄い、用賀が慌てた。

「ご明察や、二美探偵。ちょっと時間置いて、予備校と下谷さんとこ行ってくれ。」

 大前は、時計の針を見ながら言った。

「了解。」皆は唱和し、散った。

 皆が出て行った後、紀子は大前に言った。

「時の記念日セールで買うたんよ、英雄さんの時計。」

 すると、司令室方向から総子が来て真似した。

「時の記念日セールで買うたんよ、英雄さんの時計。暑いなあ。」

「まだ、おったんかい!!」と、大前は総子の尻を蹴る真似をし、総子は蹴られた振りをして笑いながら出て行った。

 ヘレンは、必死に笑いを堪えた。

 午後5時半。下谷家。

 一番親しい二美が尋ねた。

「葉子さん。最近、時計を新調した講師の先生は?」

「あるいは、時計が壊れた講師の先生は?」と、用賀が尋ねた。

 葉子は、直ちに杭全第一予備校の副校長の松里源吾に電話をした。

 電話を切った葉子は、二美達に答えた。

「2人います。両方のケースで。神藤先生は、親しい予備校生に新調したオメガの時計を自慢していたようです。蔵前先生は、壊れた時計の代わりのインターネット通販の時計がまだ届いていないようです。」

 午後5時半。鶴見区放出。ヘラ第二予備校。校長室。

 校長の下谷愛子と、副校長の新井照代がいた。

 総子が紹介した後、小町が尋ねた。

「最近、時計を新調した講師の先生または、時計を壊してしまった講師の先生は?」

 新井が答えた。「関先生なら、最近、デジタルより値打ちがあるんだ、ってアナログの時計を自慢していましたわ。ROLEXロレックスだとかで。何だか分からないけど、文字盤の中にまた文字盤があって・・・時間、分かるんですか?って尋ねたら、いや、そういう問題じゃないんです、ってお答えになって。」

 総子と小町が廊下に出ると、ジュン達が待っていた。

「チーフ。多和田って、金持ちの坊ちゃんが、いつもかっこええ時計していた、って証言があったわ。」

「ロレックスとちゃうか?」「え?なんで、それが??」

「決まりやな。」と、小町が頷いた。

 総子は、すぐに校長室に引き返し、確認した。多和田は、昨日今日と休んでいる。ロレックスを無くしてショックだったらしい、と友人が言った。

 翌日。午前9時。EITO大阪支部。会議室。

 ぎんが報告した。

「予備校行く子は、金持ちばっかりやと思ってたら、バイト君が多いから、びっくりしました。で、時計のこと尋ねると、『時間やったら、スマホで分かるし。アラームもあるし。』大抵の子はそう言って。時計を新調した子も壊して困ってる子もいませんでした。神藤先生のことは、完全に『昭和人間』とか言って、アホにしてました。」

「昭和人間・・・。あ、そしたら、ロレックスが本命やな。明日も授業あるんやな。やむを得ん。臨時に休んで貰おう。」

「兄ちゃん。もう頼んどいたから。私ら校舎探すから、予備校の庭とか警察に調べて貰うて。」「よっしゃ、分かった。ほな、明日に備えて午後から帰宅してくれ。授業は午後からの予定やったが、爆発物探しは早朝から行う。」

「了解。」

 皆が慌ただしく出て行くと、大前は後ろを見た。

「総ちゃんやったら、今出て行ったやん。パパ。」

「パパ?」ヘレンは目を丸くした。

 翌日。6月10日。時の記念日。午前8時。

 ヘラ第二予備校には、引き続き、ぎんのチームが警察と共に爆発物の捜索に当たった。

 一方、ヘラ第一予備校には、ジュンのチームが警察と共に爆発物の捜索に当たった。

 そして、多和田の家と、関講師の家には、地元署の警邏の人間の応援を得て、南部興信所の面々が見張っていた。

 午前9時。動きがあった。

 多和田はクルマで、関はバイクで出掛けた。

 そして、午前10時。ヘラ第一予備校。

 多和田と関は、校門前で落ち合った。

「反目しているかと思いきや仲間だったとはな。」

 彼らの上空で待ち構えていたのは、ホバーバイクに乗った、二美と用賀だった。

 ホバーバイクとは『宙に浮くバイク』のことで、ある民間会社が開発、どこの会社も相手にしなかったが、EITOが採用、改造して戦闘または運搬に使っている。

 二美と用賀は、『ツインキャッチネット』で難なく2人を『ねずみ取り』した。

「成程な。」大前が多和田の車の中から、あるモノを取り出した。

 総子が、どこかへ電話をした。

 午後5時半。住吉区我孫子。

 ここは、倒産した病院跡。土地は、那珂国が買ったと噂されていた。

 多和田と関が、病院の前に着いた。

 2人は、中から人が出てくると、すぐにどこかに逃げた。

 出てきた連中が不審に思っていると、上空からメガホン越しの声が聞こえた。

「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと我らを呼ぶ。参上!EITOエンジェルズ。満を持して。」

 連中の体にシューター連射が始まった。

 シューターとは、うろこ形の手裏剣で、先端に痺れ薬が塗ってある。

 総子の草案が通り、ガトリング砲のようなもので連射出来るようになった武器である。

「ガトリング砲」と俗に呼ばれるが、「ガトリングガン」である。

 そのため、『ガトリングシューターガン』と既に名付けられている。

 敵に傷を着けることは出来ても殺すことは出来ない。

 EITOは軍隊ではない。飽くまでも、『民間防衛隊』だ。

 敵は、油断もあって、一気に倒れた。

 午後7時。住吉署。取り調べ室。

 大前と総子が立ち会って、佐々ヤンこと佐々刑事、芦屋一美警部、小町が二手に分かれて取り調べを行っている。

 そして、全容が判明した。

 関と多和田は『仮想通貨』で大損をした。そして、組織の厳しい取り立てが始まった。

 世間に公表してもいい、とさえ言われた。

 彼らは、半グレのようにも見えるが、那珂国マフイアの下部組織だ。

 ダークレインボウとは無関係の。

 そして、彼らは、時計で揉めて爆発物を仕掛けた、という筋書きに沿って行動した。だが、関と多和田は、逆転のチャンスをEITOに賭けた。

 それだけ、市民にEITO大阪支部が浸透してきたのだ。

 爆発物を仕掛けた筈の場所に爆発物は見つからない。

 引き揚げた後は、『安全』だ。

 組織は、『安全な隠し場所』を作らせたのだ。覚醒剤の。

 メールをわざと不完全な文章にしたのは、警察を混乱させる為ではなく、組織を油断させる為だった。時計と『時の記念日』を進言したのも彼ら自身だった。

 同じ頃。大阪府警では、マフイア組織の取り調べ室が始まった。

 彼らの前には、小町が進言した、幾つも『自動翻訳機』が置かれた。

 全国の警察官達が、逃げ腰なのは、「外国語が出来ない」からである。

 英語が出来ても、それだけでは不充分なのである。

 どこにでも通訳を配置する訳にはいかない。それならば、『文明の利器』を利用すればいいのである。小町は、EITOに出向する前から、外国人と闘ってきた。

「ワタシ、ニホンゴ、ワカリマセーン。」と言わせたく無ければ、母国語で対応するしか無いのである。

 将来には、『コンピュータ立合い』の取り調べも必要になる。

 午後9時。下谷家。

 下谷姉妹は、警察からの報告を2人の副校長に話した。

「罪は、軽くなるのでしょうか?」新井が心配顔になって言った。

「関先生と多和田君は、言わば『パシリ』『受け子』だから罪は軽い方でしょう。後は経緯を見守りましょう。」

 午後9時。南部家。

 南部は、ソファーで寝入った愛妻に毛布を掛けた。

 ―完―



どこにでも通訳を配置する訳にはいかない。それならば、『文明の利器』を利用すればいいのである。小町は、EITOに出向する前から、外国人と闘ってきた。

「ワタシ、ニホンゴ、ワカリマセーン。」と言わせたく無ければ、母国語で対応するしか無いのである。


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