第1話
ここは、私立天龍高校。○×地区でも有名な進学校であり、様々な才能を持つ生徒が入学してくる。
だが、そこは嫉妬や見下しなども多く蔓延る学校。
残念なことに、イジメも少なくないものだ。
奈那子「ねぇーえ、聡。今日も放課後は屋上ね。」
聡『・・・うん。』
ここは2年A組。
学年の中でも、かなり成績のいい生徒が集まる。
彼、喰代 聡は、クラスの中でもトップ5に入るくらいには学力があった。
だが、そのことはあまり知られていない。それくらいには、彼は地味な少年であった。
彼は奈那子に声をかけられ、頬の絆創膏をポリポリと触りながらそう頷く。
その青い瞳は、暗く濁っていた。
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先生「さようなら!」
生徒「「「「さようならー!」」」」
「今日どこ行くー?」
「あそこのクレープ屋さん行こう!」
「やべー、明日の小テストの勉強してねー!」
「奇遇だな、俺もw」
聡『・・・。』
彼は楽しそうなクラスメイトを横目に、カツカツと屋上への階段を上がっていく。
やはりその目は濁っており、猫背であった。
奈那子「やっっと来たわね。」
快斗「おせえよ、マジで。」
悠真「ほら、とっとと始めるぞ。」
聡『・・・・・・。』
ボカッ!バキッ!グシャリ!
奈那子「あー、マジでうざw」
悠真「おら!もっと声出せよ!」
快斗「こいつずっと声出さねえよなー。」
聡『・・・・・・。』
彼は横たわったまま殴られるが、悲鳴の一言も出す気配がない。
奈那子「ねぇ、今日はコレ使おうと思うんだけどさw」
その手には、カッターナイフが握られていた。
奈那子「ほら!!!」
ザシュリ!
聡『・・・・・・。』
それでも、彼は一言も話さない。
快斗「はあーあ、つまんない奴。」
悠真「俺たちが遊んでやっているってのによ。」
彼らは暴力を再開した。
彼はうめき声も出さずに、ただただ体に傷がついていく。
奈那子「今日はこれくらいにしといてやるわ。」
ドガッ!
最後に一蹴り入れた後、彼らは去っていった。
床には血がしたたっていた。
聡『・・・・・・。』
彼はスクッと起き上がり、まるで何事もなかったかのように階段をおりていった。
聡『帰るか。』
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聡『ただいm』
母「おそい!!!」
カァンッ!
扉を開いた途端、彼は酒の瓶を投げつけられる。
聡『ごめん、また遅くなっちゃった。』
母「言い訳はよしなさい!」
父「ほら、今日もおしおきだ。」
ドガッ!ガッ!ゴッ!
挨拶代わりと言わんばかりに、拳が入れられる。
彼はまた、黙ってそれを受け入れていた。
母「ほら、今日のよ。」
終わった後、彼女は菓子パンを一個だけ乱暴に投げつけた。
聡『・・・ありがとう。』
彼はそれを受け取った後、自分の部屋へ入った。
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聡『・・・・・・。』
彼はパンを少しずつ食べながら、明日の分の宿題を進めていた。
聡『・・・終わり。』
そして終わるな否や、彼はピアノへ体を向けた。
かつて母親が使っていたものだった。
聡『・・・・・・♪』
彼は小さく鼻歌を歌いながら、自身のオリジナルの旋律を弾いていく。
この時間だけが彼の安息だということを、彼は全く認識していなかった。