表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第1話

ここは、私立天龍高校。○×地区でも有名な進学校であり、様々な才能を持つ生徒が入学してくる。


だが、そこは嫉妬や見下しなども多く蔓延る学校。

残念なことに、イジメも少なくないものだ。









奈那子「ねぇーえ、聡。今日も放課後は屋上ね。」

聡『・・・うん。』


ここは2年A組。

学年の中でも、かなり成績のいい生徒が集まる。




彼、喰代(ほうじろ) (そう)は、クラスの中でもトップ5に入るくらいには学力があった。


だが、そのことはあまり知られていない。それくらいには、彼は地味な少年であった。




彼は奈那子に声をかけられ、頬の絆創膏をポリポリと触りながらそう頷く。


その青い瞳は、暗く濁っていた。




________________________________________





先生「さようなら!」

生徒「「「「さようならー!」」」」





「今日どこ行くー?」

「あそこのクレープ屋さん行こう!」

「やべー、明日の小テストの勉強してねー!」

「奇遇だな、俺もw」



聡『・・・。』



彼は楽しそうなクラスメイトを横目に、カツカツと屋上への階段を上がっていく。


やはりその目は濁っており、猫背であった。



奈那子「やっっと来たわね。」

快斗「おせえよ、マジで。」

悠真「ほら、とっとと始めるぞ。」

聡『・・・・・・。』


































ボカッ!バキッ!グシャリ!


奈那子「あー、マジでうざw」

悠真「おら!もっと声出せよ!」

快斗「こいつずっと声出さねえよなー。」

聡『・・・・・・。』

彼は横たわったまま殴られるが、悲鳴の一言も出す気配がない。




奈那子「ねぇ、今日は()()使おうと思うんだけどさw」


その手には、カッターナイフが握られていた。





奈那子「ほら!!!」


ザシュリ!


聡『・・・・・・。』

それでも、彼は一言も話さない。


快斗「はあーあ、つまんない奴。」

悠真「俺たちが遊んでやっているってのによ。」


彼らは暴力を再開した。

彼はうめき声も出さずに、ただただ体に傷がついていく。






奈那子「今日はこれくらいにしといてやるわ。」

ドガッ!


最後に一蹴り入れた後、彼らは去っていった。

床には血がしたたっていた。


聡『・・・・・・。』

彼はスクッと起き上がり、まるで何事もなかったかのように階段をおりていった。

聡『帰るか。』





________________________________________










聡『ただいm』

母「おそい!!!」


カァンッ!


扉を開いた途端、彼は酒の瓶を投げつけられる。


聡『ごめん、また遅くなっちゃった。』

母「言い訳はよしなさい!」

父「ほら、今日もおしおきだ。」


ドガッ!ガッ!ゴッ!


挨拶代わりと言わんばかりに、拳が入れられる。

彼はまた、黙ってそれを受け入れていた。




母「ほら、今日のよ。」


終わった後、彼女は菓子パンを一個だけ乱暴に投げつけた。


聡『・・・ありがとう。』

彼はそれを受け取った後、自分の部屋へ入った。




________________________________________




聡『・・・・・・。』


彼はパンを少しずつ食べながら、明日の分の宿題を進めていた。

聡『・・・終わり。』


そして終わるな否や、彼はピアノへ体を向けた。

かつて母親が使っていたものだった。


聡『・・・・・・♪』


彼は小さく鼻歌を歌いながら、自身のオリジナルの旋律を弾いていく。




この時間だけが彼の安息だということを、彼は全く認識していなかった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ