バカと天才よりもブスとイケメンの方が紙一重なのだ。
3 《バカと天才よりもブスとイケメンの方が紙一重なのだ。》
記憶に鮮明に残る女の子と出会ったと思ったら席が1番前という幸不幸の強烈なマシンガンジャブをメンタルに乱打された俺はショックから始業式がはじまるまで机に張り付いていた。
30人いる同じクラスの生徒達はほとんど登校している様子だった。
だがこうしてクラスの喧騒の中で目を瞑り無心でいる時間は不思議と嫌いじゃない、少しうるさめの生活音にあちこちから聞こえてくる息の合っていないぎこちない会話、なーんか落ち着くんだよなぁ。
そんなことを考えながらぼーっとしていると カツカツと徐々にハイヒールの音が廊下から響いてきた。
ガラガラ.... ゆっくりと教室の戸があいた。
「皆さ~ん、ちゃんと揃ってますかぁ。」
かなり若い声だ。かなりと言うか若すぎる、ラノベ原作の深夜アニメでしか聞かない超王道なロリ声だ。
その完成されたロリ声に声優まで浮かんでくる。
まさか髪の毛の色はピンクか、だが.....悪くない‼︎
我慢の限界を迎えふと顔をあげるとそこには 160cm程の背丈 着慣れた少しよれたスーツ 適度に整えられた黒髪 フェイスラインに沿ったような清潔感あふれるショートヘア 日々の疲れが抜けきれていない少しよれた顔 まさしく絵に描いたような社会人女性が黒板前の教壇に立っていた。
これは驚いたな、人は見かけによらないとは言うがここまでとは。
「え〜っと、点呼とりますねぇ。まずお休みの生徒は2人ですかぁ、えっとぉ佐藤さんと椿さん もう始業式の日からお休みとは困ったものですねぇ...」
どうやら先生の声に妄想を膨らませテンションが上がっているのはこのクラスで俺だけらしい。
今後地雷になる要素は気をつけておこう。
「はいみなさん注目ですよぉ‼︎ まずは軽く自己紹介しますねぇ、私は 鳳 夏菜子 といいます皆んな1年間よろしくねぇ。」 オオトリ カナコ
「私の事はみんな気軽に夏菜子先生って呼んでねぇ。」
鳳.....かなり珍しい名字だな。
やはりこの先生...ラノベから出てきたんじゃないのか。
「夏菜子ちゃ〜ん‼︎ 俺も自己紹介させてもらっていいっすか??」
突如後ろから聞こえたチャラすぎる声と喋り方に振り返ると、推定180cm 整った顔 金寄りの茶髪 第2ボタンまであけざっくり開いた胸元 その胸元から見え隠れするヨレヨレの黒T 腰には溢れかえる程の大量のカナビラ(全ての鍵でも所有してんのかよ)を付けた色々と眩しすぎる陽キャが机に腰をかけ夏菜子先生に手を振っていた。
こ...これは俺も噂でしか聞いたことがなかったがあの伝説の"ギャル男"だ。
絶滅危惧種じゃ無かったのかすげぇ....,。
いきなりの生徒からのタメ口と失礼な態度に表情1つ変えずに夏菜子先生はいつも通りの口調で喋り始めた。
「あらぁ、元気な生徒さんねぇ..あと少しなら時間もあるから全然大丈夫だよぉ。でも始業式にも行かなくちゃ行けないから手短にねぇ。」
そう言うと教壇の横に立てかけてあった折りたたみ式の椅子を持って教壇の前に座り軽く微笑みながら頬杖をついた。
何故だかは分からない当たり前の事なのかもしれないが夏菜子先生の失礼な生徒にも全く動じない大人の余裕に少しの寂しさと恐怖を感じた。
「夏菜子ちゃんあざーっす‼︎じゃあさっそく俺の名前は 桜井 竜司 お前らも気軽に竜司って呼んでくれ」
「身長は182⁇くらいで好きなタイプは巨乳で顔は昔アイドルやってた米花 千聖⁇みたいな感じ‼︎とりまよろしくな!!」
「もう竜司キモいんだけどぉウケる」
「夏菜子先生困ってんじゃんw」
「おい竜司周り引いてんじゃねぇかよw」
桜井の近くにいた恐らく1年生の頃からの友達の男女3人に楽しそうにからかわれていた、何を見せられているのか全く分からなかったが自己紹介を聞いた感じ分かったことはバカでデリカシーが無さそうな巨乳好きといったところだ、典型的なルックスだけで生きてきた人間って感じだ。
「はぁい、桜井君ありがとうねぇ。みんなも気が向いたら仲良くしてあげてねぇ。」
(気が向いたらって何なんだよ‼︎
もうちょっと我慢できなくて刺しにいってんじゃん。
さっきは大人だなって感心してたのに‼︎‼︎)
「じゃあそろそろ時間だねぇ、みんな廊下に出て各自 体育館に向かってねぇ。」
そんなこんなでギャル男の自己満すぎる自己紹介を書いたところで俺たちはクラスを出て体育館へと向かった。
初登場したキャラ紹介
・鳳 夏菜子 オオトリ カナコ 32歳 綺のクラスの担任 160cm
・桜井 竜司 サクライ リュウジ 16歳 綺のクラスメイト 181cm