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宿命の果てに

 ゼノ=ヴァルトの消失によって、戦場には一時的な静寂が訪れた。フィリアは息を整えながらも、心の中で確信していた。


 「これで終わったわけではない。まだ、何かが残っている」


 セリーネがその予感を感じ取ったのか、ゆっくりと歩み寄ってきた。


「フィリア、君の戦いは終わったわけではない。ゼノが消えたことで、契約の力が解けたかのように見えるが、まだ完全ではない」


 フィリアは眉をひそめながらも、その言葉に耳を傾ける。


「どういうことだ?」


「ゼノの力を受け継いだ者が、すぐに契約から解放されるわけではない。彼のように、契約を操る者が存在する限り、その影響は残り続ける。君が解放されるには、最終的な儀式が必要なの」


 その言葉にフィリアは疑念を抱く。


「儀式? それは一体、どうすれば……」


「それを行うためには、最も強い誓いが必要だ」


セリーネの目が鋭く光る。


「そして、その誓いを全うする覚悟を持たなければならない」


 フィリアは胸の奥で、父の言葉を思い出す。


 「誓いを守ることこそが、真の力だ」


 「でも……私には何ができるのか?」


 「君にはできる。君が持っている力は、単なる契約の力ではない。君の誓いが、その力の根源だということを忘れてはならない」


 その言葉に、フィリアは少しずつ納得していく。今まで、彼女は契約の力に頼ってきた。しかし、今やその力に縛られず、自分自身の力で戦う時が来たのだ。


 「わかってきた……私が、父さんの誓いを守るために、戦わなくちゃならないんだ」


 セリーネは頷く。


「その通り。君が心からその誓いを全うすることで、契約は本当に解放される。そして、君が新たな力を手に入れる時、その力こそが最も強いものとなる」


 その言葉を聞いたフィリアは、すべてを受け入れる決意を固める。


 「私の誓い、私の力――私が守り抜くべきものを、絶対に失わない」


 その瞬間、フィリアの体を包むように白い光が満ち、彼女の内に秘めた力が覚醒する。


 「これが、私の力だ」


 光が収束し、フィリアの手に新たな剣が現れた。それは、父の残した剣ではない。まるでフィリア自身の意志が形となったかのような、純白の剣だ。


「これが……私の力」


 フィリアは剣を握りしめ、再びセリーネを見つめる。


「次は、どうすればいい?」


「君がその誓いを立てた時、最も重要な儀式が完了した。しかし、まだ残るものがある。それは――」


 その時、遠くから奇妙な音が響き渡った。まるで大地が震えるような、激しい音だ。


「――何だ? あの音は!」


 セリーネは冷静に振り返ると、その方向を指さす。


「何かが動き出している。最も厄介なものが、再び現れる時が来たようだ」


 フィリアはその言葉に急かされるように、剣を構え、足を踏み出した。


 「それが何であれ、私が終わらせる!」


 その瞬間、空が暗く沈み、再び魔力が渦巻くような気配が漂い始める。セリーネが振り向き、何かを見つけたように目を細める。


「来た……あれは、ゼノが最後に召喚したもの、契約者の真の力を引き出す闇の王だ」


 フィリアはその言葉を聞き、心の中で決意を新たにする。


「闇の王? それを倒すのは、私だ!」


 そして、闇の王が姿を現す。


 それは、恐怖をもたらす存在、深淵のように黒く、広がるようにして現れる魔王のような姿をしていた。


「――私を倒せると思っているのか、フィリア?」


 その声は、まるで地獄から響くように低く、耳に残る。


 フィリアは剣を高く掲げ、目を見開いてその魔王に向かって突進した。


「――これで、終わらせる!」


 闇の王との戦いが、今、始まる。


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