連れ帰ったら……
まずオレが強引にアミーアを連れ帰ってからしたことは「こいつをオレの奴隷でペットにする」と宣言することであった。
当然のように「こいつは何を言っているんだ」という表情を浮かべた屋敷の使用人たちに、オレは臆面もなくなく言葉を続けた。
「オレのペットが薄汚いままであるのは、我慢ならん。お前たち、こいつをこぎれいにしてから、オレの前に連れてこい」
オレは後ろで肩を落として俯いるアミーアの癖のある髪を掴んで引っ張り出した。
「い、痛っィ」
うぅ……すまないアミーア。オレのスタンスをはじめにはっきりとさせておけば、あとあとは情が移ったってことでどうにかできるんだ。
「さっさといけ。薄鈍が。お前たちも何をしている。さっさと動け」
うん……。オレの日頃の行いのおかげか、獣人族の特徴を備えたアミーアであっても使用人たちが向ける視線に同情や憐憫のような感情が垣間見えたのは、ある種の救いになるもしれない。
そのとき、屋敷の玄関内広間の騒ぎに気付いたのか代理の領主をしている叔父が顔をだしたので、オレはちょうどいいと「こいつを飼うぞ」と告げた。
叔父はアミーアの頭の上についている耳などから種族を察すると興味をなくしたのか「お前の好きにすると良い」と言って戻っていった。
「オレは部屋に戻るぞ。あと言い忘れていたが、そいつは男の恰好をしているが、女だ。扱いには気を付けろ」
そのとき使用人から向けられた「お前が言うな」なんて視線は無視だ、無視。そういう奴なんだよオレは。
そのあと自室に戻ったオレは憂鬱な面持ちでひとり愚痴っていた。
「これでオレの屋敷内での評価はこれまでの最低を更新しただろう。はァ……まあ、それはいい。もとよりそのつもりだったからな。それよりもアミーアのことだ。獣人族だから、やっぱりあれがいるよなァ」
アミーアが獣人族の特徴を隠して少年のような恰好をしていたのは、この国の獣人族の扱いに起因していた。基本な考え方として、獣人族はひとのなりそこないである、と信じらているのだ。それゆえに個人差はあれど、扱い方は奴隷と変わりない場合がほとんど。アミーアが変装していたのは種族を隠すことと、もう一つ。
「どんな世界にもおかしなやつはいるとはいえ……男に変装したほうがまだマシだろうな」
なまじ相手が差別の対象、自分たちより風下の立場というだけ無茶をするのが人間だ。女であることがバレればいらぬ面倒ごとが増えるのも明白だからな。
「だからこそ、オレの所有物だと明確にしておく必要がある、か」
オレは奴隷商を呼ぶよう使用人に申し付けた。




