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記憶の生えた少年の名はボーセイヌ・ボウセイ

カクヨムに投稿していた『RPGの領主の息子だ』を書き直しをしている作品になります。

じつは、書き直し投稿は二度目になります。

どうしても続かない。けど、書き直したい。ということで、初投稿から三度目の正直です。

タイトルを変更しているのは、書きなおしているからと長めのタイトルへのあこがれでしょうか。

おれは、いつもと変わらないくそみたいな日常を過ごしていた。


いつもと同じように、罵声をあびせた




「貴様はさっさと帰れ。我が領地が陰気臭くなる」




 それが婚約者だろうが関係ない。


 


 婚約者である少女にそう吐き捨てた少年の名はボーセイヌ・ボウセイ。ボウセイ男爵家の嫡男であり、ボウセイ領を継ぐ次期領主になる者であった。


 そして、吐き捨てられた側である少女の名はマーサ・マーメイヌ。マーメイヌ伯爵家の長女であり、ボウセイの婚約者であった。


 この二人の関係性はおおよそ婚約者と呼べるものではなく、例えるなら主人と使用人であった。


 冒頭のように、ボーセイヌのマーサにむける態度は婚約したそのときから一環して変わっておらず、マーサを蔑み、時に頬を叩き、屋敷から追い返す所業を自然に息をするように行っていた。当然のように二人の仲は推して知るところである。


 マーサはそれでも顔に張り付けた笑みをくずすことなく淑女たる振る舞いを別れの間際までみせ続けた。


「ボーセイヌ様。またお会いできる日を心待ちにしております」


 と丁寧な淑女の礼をみせる。たとえそれが、どれほど自身の胸の内と相反する感情であったとしても、だ。 なぜなら、マーサはどのような仕打ちを受けてもボーセイヌの不興を買うことだけは避けなくてはならなかったからだ。


 だからこそ、胸のうちにある心が傷つき、泣きだしそうになっても涙があふれてこないように心を閉ざしておかなくてはならない。


 しかしながらマーサの心情などボーセイヌには一切関係ない。あと、一言、二言はマーサを傷つける言葉を平然と吐くのが、この少年なのだ。




 しかし、ここで一つだけ奇妙な変化が起こる。




 それはマーサが悲壮な決意のもと顔に笑みを張り付けたままお辞儀して、頭を上げたときのことであった。




 「……?」




 そこには、上の空でただ佇むボーセイヌの姿があった。


 マーサは怪訝に思いながら声をかけた。


「あの、どうかされましたか。ボーセイヌ様?」


 しかしながら言葉は返ってこないうえに心あらずな様子のまま。マーサはなんとなく心配におもいもう一度声をかけた。


「ボーセイヌ様……あのぅ」


 マーサは「少し失礼かな」と考えながら肩に触れようと手を伸ばす。


 


 その瞬間、ボーセイヌは反応を示した。




「ん、んん……うん?」 


 


 どこだここは。目の前にいるこの娘はだれだ。おれはなにをしている。


 


 オレは視線を右へ、左へむけてから自分の体を確かめた。そして再び前を向いて目の合った娘は伸ばしていた手をあわててすこし引っ込めた。表情はおびえてように不安げなものを浮かべていた


「あ、あー……と」と記憶をさぐると少女の名前が浮かぶ。


「マーサ、か。どうかしたのか」


「え、あ。いえ。うわの空であられましたので、どうされたのかと心配になっ


て……」




 すごいな。この娘は。ぱっと思いつく限りで相当ひどい行いをしてきたオレの心配をするなど、性根が善良だのだろうな。すぐに謝りたいところだが、いまは頭の整理がついていない。この場は穏便に帰ってもらおう。




「それは心配を掛けたな。もう帰るであろう。またくるといい」


「え……。あっ、はい。それでは失礼します」


 マーサは一瞬困惑、怪訝といった表情をうかべたもののすぐに馬車に乗り込み、走り去っていった。


  馬車の屋根が街路の石畳に消えた頃。


「少し一人になる。だれも部屋にはいってくるな」


 オレは、ボウセイ家の本邸に仕える執事にそう告げると自室に戻った。




 自室の扉を開け、部屋の様子を確認してから、扉を閉める。その後、頭を整理する時間を得ようとふぅと息をついた。うん、これはあれだな、と認識して一言。




「どういうことっ!?」



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