000-プロローグ
それは遠い昔のこと。
ここヒーズル国では、かつて魔法世界ロクエティアと次元を超えた交易があった。
ヒーズルは鉱物資源や貴金属を、ロクエティアは魔法技術にすぐれた魔術師を派遣し、互いに成長してきた。
ロクエティアからもたらされた魔法技術は、クリスタルを用いて訓練を積めば、誰でも奇跡の力を使えるというもの。
多くの人々が使えたため、ヒーズルは小国から近隣諸国を統合する大国へと発展していった。
この功績により、ヒーズルの人々は魔術師を神と崇めはじめ、いつしか魔術師は“魔神”、彼らを招き入れることを“魔神召喚”と呼ばれるようになっていた。
しかし、国の発展に尽くしてくれる者もいれば、その逆も存在する。
良好な関係を保ってきた両国だが、悪しき心を持った魔神と召喚士により、時のヒーズル国王が殺害されると言う歴史に残る大事件が起きてしまった。
これにより、何百年と続いてきた国交は断絶してしまい、魔神召喚は禁術として封印された――。
当時の国王が死去して約400年後。
魔神は歴史上の存在となり果てた頃、突如、封印が解除される。
そして、再び魔神が召喚された。
その魔神は邪な心を持っており、ヒーズルの西方にある、辺境の小さな集落を消滅させたあと、姿をくらましてしまう。
なぜ姿を消したのか、この魔神の目的は分からない。
ただ、1つ言えることは国の危機がゆっくりと訪れていること……。
このような事態による影響か、第三の世界から1人の青年がヒーズルへ迷い込んでしまった。
青年の名前は、クシード・シュラクス。