『君はこのサイコロに何を求めるのか』
ここにサイコロがある。君はこのサイコロに何を求めるんだろうか。答えはわかってる。金だ。金だろ? 君は金が欲しいんだ。だからここに訪れた。
いいだろう。賭けに勝てば私は君に金をやる。これは約束だ。だがな、一つ忠告しておく。負ければ、君は私に莫大な借金を負う事になる。これも約束だ、あとでイカサマだとか抜かしてもこの約束は変わらないからな。それを承知でサイコロを振ってくれ。
よし、理解してくれて嬉しいよ。確か、君は偶数を選んだよな。よし、わかった。さぁ、振るんだ。
3。
ふははは! 私の勝ちだ。残念だっ……な、何だ。やめろ! どこから出した。警備員! 警備員はどこだ! 待て、撃つな。金ならやる。だから撃つな。
やめてくれ、せめてここでは殺さないでくれ。私には家族がいる。家族は私を善良な会社員だと思っているんだ。私がここで死んでいたら、家族に私が悪徳ギャンブラーだとばれてしまう。頼む。殺すなら外で……。
そうだ。サイコロを振ろう。偶数ならここで殺してくれて構わない。奇数なら、外で殺してくれ。私は腐ってもギャンブラーだ。自分の運命もサイコロで決めさせてくれ。
ありがとう。じゃあ、振るぞ……
5。
よし、奇数。だから外で……な、イカサマなどしてはいな……
――バン。
――End――