プレゼン
「じゃあ、早速、俺が描いた魔物の説明をするぞ。」
俺はあれから一時間ぐらいかけて考えて魔物を描いた。
ちなみに、残り二つのテーマ内ファーストテーマは絵を描く前に決まった。ダンジョンテーマは出来た後に決まる為、今回の絵には反映されない。
まさか、生態なども考えないといけないとはな。
ほぼそれに時間取られて見た目にはあまりこだわれなかったけど、ある意味見た目重視の審査でなくて良かった。
「ふふ、楽しみ♡」
「それでは、まずこいつはキノコです。」
「これ?キノコなの?」
女神が疑問に思うのも仕方がない。時間がなかった為、まだ菌糸しか描けていない。髪の毛より細く地中や地上に広がるこのキノコである。
「これの最大の特徴は味です。匂いは強くはないが、その旨さからどんな生き物も好きになる味をしている。」
「これがファーストテーマの一つの美味しさね。」
「あぁ、それに誰でも好きになるのは、そういう幻覚を味わうから。こいつ自身は無味である。そして、どんな料理にも合うようにできている。」
「なるほど。」
女神も真剣な表情で審査している。
「さらにこいつは食べられる瞬間と収穫される瞬間に胞子を大量に出す。それにより生息域を広げて繁殖する。」
このキノコは一回の放出で一億個の胞子を撒く。それを生物の体表にくっ付いたり、風に乗ったりして広範囲に広がっていく。
これはこれから作るダンジョンの名物収穫物になる予定だ。
「二つ目のファーストテーマ多いはこれね。そしてこの性能なら最後のファーストテーマ低コストもクリアね。」
ダンジョンに魔物を発生、維持させるにはダンジョンマネーという人間で言うところのお金が必要である。これは生物の侵入や死亡などにより1日に一回、収入が入る仕組みである。
魔物のランクや強さが大きいほど維持費が高くなる。その為、SRの中でも低コストを作らないといけない。
「でも、私のテーマが入っていないんだけど?」
「そう焦らないでください。こいつにはまだ隠された生態があります。こいつの胞子には食べた時とは違う幻覚効果があります。」
「へぇ〜それはどんなの?」
「こいつの幻覚は視覚と聴覚に作用します。そしてこいつのキノコと菌糸には通常とは違う肉食用があります。」
「肉食用?その特別キノコと菌糸には口とかが着いているの?」
「いえ、直接食ったりはしません。こいつは特別キノコを相手の大切な者に見え、その声まで聞こえてくるようになります。そして、大切な者が助けを求めているように見えて聞こえます。それにより後から来た生物や前からいた生物を攻撃対象になるように誘導します。」
「要するに共倒れを狙うわけね。もしも、どっちかしか倒れなくてもまた来た生物とまた戦い最終的には共倒れになるという寸法ね。」
その通りである。そして、血肉を菌糸が吸い取る。キノコは擬似餌である。
「それに加えて、思考を単調にする為、興奮作用もあります。どうですか?これが神テーマカワイイの俺の答えだ!このキノコは相手によって見え方が変わる。誰でも大切な者はカワイイでしょ?」
「…………パーフェクト!!」
女神が歓喜した。
「合格よ!採用!確かにかわいいわ!このキノコ!良い!良い!さいっっっこう!」
女神もご満悦である。