はじめての絵
「なにこれ?」
「紙とペンだけど?」
それは見れば分かる。そうじゃなくて……
「あぁ、それは貴方に今から絵を描いもらうために渡したのよ。」
「はぁ、絵?」
「そう絵よ。これから貴方にまず、ルーレットで絵のテーマを決めて貰います。そしてそれに基づいた絵を描いてもらいます。」
女神は何処からともなくルーレットを空間から出した。
「あぁ、忘れていました。魔物のランクについて話していませんでしたね。」
魔物のランク?
「えぇ、魔物には私達によって作られた基準をもとにランクが付けられます。大体はN、R、SR、SSR、に分けられます。これから作る魔物はSRに分類される魔物にしてもらいます。」
?なるほど、魔物のランクについてはわかった。けど……
「それでは、ルーレットについて説明しますね。このルーレットはテーマルーレットと言われています。貴方がこれから作る魔物は今から選ばれるテーマをもとに描いてくださいね。それ以外はボツですから。」
テーマ……これによって俺のダンジョン経営は結構左右されるな。
「それとテーマには、このファーストテーマと神テーマ、そしてダンジョンテーマの三つがあります。」
ファーストテーマ…神テーマ…ダンジョンテーマ…ね……名前からして何となく分かるな。
「貴方が考えている通り、ファーストテーマはこのルーレットで決められた最初のテーマです。神テーマは神それぞれが定めているテーマです。貴方の場合、私ですね。ダンジョンテーマはこれから貴方の作るダンジョンに成長と共に生み出されるテーマです。」
神テーマ…ね。この女神様からしてテーマも大体予想がつな。たぶん………
「正解です。私のテーマはカワイイ!です。ちなみに私みたいな可愛さはダメです。」
「???どう言う事だ???」
俺は混乱していた。カワイイとはこういう女神のことだろう。それくらい短い人生しか歩んでいない俺にでも分かるし、理解できている。
「つまり、私のような王道カワイイはいらない、評価点に入らないと言うことです。そんなの鏡を見れば良いのですから。」
なるほど、要するに最高の甘い菓子が作れるのにわざわざ他人に似た甘みの菓子を作らせないのと同じだな。
「その通り。なので、貴方には独創的な可愛さを求めます。因みに、私が気にいる程、その個体の能力は高くなるので頑張って考えてください。」
俺、絵そこまで得意じゃないんだかな。
「そこは、大丈夫です。ダンジョンマスター、これから貴方が転生する魔物は元から絵は描けるように出来ています。動物が歩き方や泳ぎ方を元から知っているように慣れれば思い通りに描けます。」
あ、ホントだ。試しに適当に絵を描いてみたら、写真ほどではないにしろ。生前とは比べられない程絵が上手くなっている。
「お話はこれまでにして、時間がありません。早く絵を描いていきましょう。」