死んだ
そこは真っ白な場所。
何もないのに安心感だけが漠然と存在するは不思議な場所。
「此処?何処?…知らない場所だ。」
「あ…目覚めたんだ。おはよう。」
「おはようございます。」
周りに誰もいないのに何処からか声が聞こえたので、挨拶を返した。
声は発せられている場所すらわからない。まるで、水中の中で聴いているような方向が特定できない。
「まぁ、仕方がないにしても寝過ぎですよ。もう他の子達は準備を進めているみたいだし。」
他の子達?何言ってるんだ?何処から言っているんだ?
「あっ!そうか!まだ、低次元化していないから。そりゃあ、見当違いな方向を見てるわけね。」
方向不明な声がそんな事言うと、上空に僅かな気配を感じた。
「?!天使!」
その姿は物語に出てくる天使そのものだった。いや、それ以上に華麗な姿をしている。
見た瞬間から人ならざる者と分かる人を…自然を超えた美しさをしている。
「まぁ、天使に間違えられるなんて心外だわ。私達とあれを同格に扱わないでね。思わず、消してしまいそうだから。」
そう語る生物を超越した存在は笑顔で言っているが、その笑顔に見惚れる事など出来なかった。
まるで、台風や津波を前にしているような自然界の恐怖を感じた。
「ふふ、そんな怖がらなくて良いんですよ。別に怒っていません。人が私たちを目にしてそう思うことは珍しくないですから。貴方が感じたのはただの私達への勝手なイメージです。」
つまり、この超越者を俺が勝手に台風など自然災害に思ってしまった。だから、今も生きているような感覚にない。
……違うな。俺はもう死んでいる。この感覚は正常だ。
「やはり、貴方は優秀ですね。もう死を受け入れています。それに自分自身で死を認識しています。あまりありませんよ、私達が言う前に自分の死に気づく人は。」
「それで、貴方は何者なんですか?」
「貴方はもう自分で気づいているじゃないですか?」
「確かに当たりは付けているが、確信はない。もう一つ当てはまりそうなのもありますので。」
「それこそ失礼ですよ。もう一つの方の選択肢を思い浮かべるなんて。でも、いいでしょう。貴方のこれからを考えたら慎重なほど良いんですから。お察しの通り、私は神。食を司る神一カワイイ神様だよ☆」
さっきまでの尊大な雰囲気からは想像できないカワイイポーズを決めるこの激かわ生物は神様でした。