7.本心
僕たちは適当な空き地を見つけレジャーシートを広げて座った。紗夜は僕の右に座り、愛乃は僕の左に座った。
弁当箱を開けると塩おむすびと玉子焼きだ。おいしそう。
「いただきます」と僕は合掌しながら言った。
塩おむすびを手に取ってひと口かじった。うまい!
ただの普通の塩おむすびだが、とてもうまい。ご飯と塩の塩梅がちょうどいい。
やっぱ紗夜は料理が上手だ。
「どうですか、お兄様?」
「すごくおいしいよ、紗夜」
「そうでしょ」と紗夜は嬉しそうに言った。
僕はおむすびを喜んで食べている。「わたくしもいただきます」と紗夜もおむすびを手に取り食べた。
突然、愛乃が自分の弁当箱を僕の前に差し出した。
「そっ、その、颯太様に私が作ったお弁当を味わってほしいです」
愛乃は照れて目を閉じて僕にも彼女自分が作った料理を食べてみて欲しいと言った。
愛乃をうまく攻略するため、答えはもちろんYesだ。
「いいよ」
愛乃の弁当も普通に見えたが、おいしそう。
僕は何も考えずに肉団子を取って食べた。
「うまい。愛乃も料理が上手なんだね」
愛乃の顔は僕の言葉を聞くと、赤くなった。
「あっ、ありがとうございます……」
「では、愛乃様。わたくしたちはお兄様にお弁当を順番に作ってあげましょうか?」
ちょっと決まりが悪く感じる、紗夜の提案は。
僕に弁当を順番に作ってくれるなんて。
「もっ、もし宜しければ、私は一生懸命に颯太様にお弁当を作ってあげます」
愛乃は同意した。
紗夜が僕の攻略を助けようとしていることはわかっているが、ちょっと恥ずかしい。
僕が困惑したような顔をしていると、
「颯太様は嫌いですか?」と愛乃が聞いてきた。
「いいや、そんなことじゃない。なんでそう言うの?」
「だっ、だって、颯太様は先ほど困惑したような顔をしましたから」
「ううん、僕は愛乃に迷惑をかけないかと心配したから」
僕は首を横に振った。
愛乃が料理を作ってくれるのは、いやではない。
ただ言えない気分がある。
それは楽しい?でも、そうじゃないようだ。
じゃ、それはなんの気分?……わからん。
「全然迷惑ではありません。わっ、私は本当に颯太様にお弁当を作ってあげたいのです」
彼女が顔を赤くしながらそう言ったのを聞いて、動悸が速くなった。
まずいと思った。
このままじゃ、攻略されるのは僕の方だ。
何とかしなければならない。この情勢を逆転する。
しかし、僕には恋愛の経験がない。
だから、思い切ってやるしかない。
「ありがとう、愛乃。じゃ、よろしく」
「はっ、はい」
「今日はわたくし、明日は愛乃様ですね」と紗夜が満足そうに微笑んだ。
「そっ、そうですよね。それなら、お楽しみにしてください、颯太様。私は精一杯お弁当を作ります」
「うん、楽しみだ。二人の美少女がなんと僕に弁当を順番に作ってくれるなんて嬉しい限りだ」
キュンと紗夜と愛乃は同時に赤面した。
「わっ、私なんか……びっ、美少女……」
「おっ、お兄様はもう……。口がうまいです」
やった。これで形勢が逆転した。
僕は嬉しくなりもう一度おむすびを手に取り食べた……。
◇◆◇◆◇
「ごちそうさま」と颯太が言った。
颯太は腹を触って満足そうな顔を見せた。
今、紗夜はどうすれば颯太と愛乃を一緒にさせることができるか考えている。
いずれにしても、紗夜は絶対このハーレム計画を成功させるつもりだ。
颯太はハーレム計画を実行した理由が不明だと思ったが、彼はこの計画が目的を達成できると信じている―――吉田 理沙に復讐できる。
「ご主人様と愛乃様はすでに良い関係にり、もし更にもう一歩踏み込んだならきっとご主人様と愛乃様は恋人になるはず」と紗夜は心で思った。
現在、紗夜は一つの方法を思いついたが、愛乃と二人きりで話さなければ。
そこで、紗夜は自分の能力を使い、颯太に尿意を感じさせた。
「僕はちょっとトイレへ」
颯太はその場を離れていった。
今、屋上には紗夜と愛乃だけがいる。
紗夜は自分の聞きたいことを愛乃に尋ねた。
「ねぇ、愛乃様はお兄様が好きでしょ?」
紗夜の言葉を聞いた愛乃は、一瞬にして顔を赤らめた。
「さっ、さっ、紗夜様はなにを言っているのですか?」
愛乃は呂律が回らなくなった。
「やっぱり好きでしょ?」と紗夜は愛乃に問い詰めた。
愛乃の顔は更に赤くなった。
愛乃は自分が颯太に好意を抱いていることをわかっているが、口には出せない。
「わかっています。わたくし、愛乃様とお兄様をカップルにしたいだけです」
紗夜は愛乃に颯太が好きだと言わせようと誘導した。
愛乃もわかっている。口に出さないと、チャンスをなくすかもしれない。
「わっ、私は確かに颯太様が好きです、一目惚れです……」
紗夜は愛乃がそう言うのを聞いて、口もとに微笑を浮かべた。
「でも、颯太様が私のことが好きかどうかわかりません……」
「わたくし、愛乃様から告白するべきだと思いますわ」
「……そっ、そうですか?」
「お兄様は絶対にあなたの思いに応えてくれると思います。もしそうならなければ、わたくし、お兄様をこらしめてやります」
紗夜の言葉は愛乃を安心させた。
「あっ、ありがとうございます、紗夜様。私、自信が湧いてきました」
愛乃は心に決めた。颯太に告白する。
紗夜は次の策を考え始めた。この計画を必ず完成させる。
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白皇 コスノ 拝啓