17.雨ヶ谷 千萌
愛乃の顔を見ると、彼女は何か考えているようだ。
……多分、そのラブレターのためだろう。
「そっ、その、颯太様」
突然、愛乃は僕を呼んだ。
「このラブレターを読んでもいいですか?」
「いいよ」
愛乃が封筒を開けてその手紙を読み始めると、僕の心がドキドキし始めた。
彼女はどう思うだろう?
と思ったら、紗夜は僕に「安心してください」と言うような笑みを向けた。
今でも紗夜のことを不思議に思っている。彼女は自分を精霊と称し、それだけの強い力を持っている。
けど、紗夜の今朝の言葉を聞いてみると、彼女は昔の僕のことを知っていたようだ。
それになんだか、紗夜は何か隠していることがあるようだ。
……もう紗夜はいったい何者なのかがますますわからなくなってきた。
「てっ、手紙には颯太様のことを先輩と呼んでいるけど、彼女は一年生ですよね。でっ、でも署名がないので、誰が書いたかわかりません」
「そうだな……」
「もっ、もし彼女が本当に颯太様のことを好きならば、ぜひ彼女の告白を受け入れてください!」
「えっ?」
愛乃が同意したなんて驚いた。
「いやいや、そんなことをすれば僕はクズ男になるかも」
「なっ、なぜ颯太様はクズ男になりますか?」
「えっ?」
と、僕はまた驚いてしまった。
「どっ、どうしましたか、颯太様?」
「いいや、なんでもない」
紗夜の能力のために世界が変わったが、正直僕はまだこの世界に慣れていない。いきなり僕にハーレムを作らせるなんて。
しかし、今の日本はすでに一夫多妻制となり、その制度に対する考え方はすべての人の心に深く入り込んでいるようだ。さすが紗夜……。
「わかった。彼女が本当に僕のことを好きなら、告白を受け入れるよ」
愛乃の意思を確認して安堵した。
「さて、早く昼ごはんを食べないと、冷めてしまうぞ」
「そっ、そうですね。そっ、颯太様、あーん」
頬を紅潮させる愛乃は天ぷらを箸で挟んで僕に食べさせようとしてきた。これはまったく思いがけない振る舞いだ。
「愛乃様はずるい!わたくしも!お兄様、あーん」
紗夜も天ぷらを箸で挟んで僕に食べさせようとしてきた。
愛乃と紗夜二人は、「僕に食べてほしい」というような目で見つめている。
初めて『あーん』されるので、ちょっと恥ずかしかった……。
急いで二つの天ぷらを口いっぱいに頬張ると、彼女たちは満足したように微笑んだ。
◇◆◇◆◇
ついに放課後の鐘が鳴り、少し緊張してきた。カバンを取って肩にかけ、すぐに学校の屋上に行かなければ。
紗夜から聞いて、ラブレターを送ってきたのは雨ヶ谷 千萌という一年生の同級生だ。しかし、僕は彼女のことをまったく知らない。彼女はどんな人だろう?
すぐに屋上に来たが、誰もいなかった。僕は早く来すぎたようだ。
突然ドアが開き、一人の少女が慌ててやってきた。
「すみません、先輩。大変お待たせしました」
目の前にいる少女は、綺麗な紫色のツインテールと澄んだ瞳、健康的な白い肌に背はそれほど高くないが、スラッとした長い足が際立っている。
性格は活発で明るいように見える。とても可愛らしい、まったく僕が好きなタイプだ。
「いっ、いいえ、僕も今来たところだ」
やべえ、動悸が止まらない。
「それはよかったです」
「こっ、このラブレターは君が書いたの?」
「はい。突然ラブレターを送って、驚かせて申し訳ありません。でも、先輩は私の手紙を読んでくれたのですね。とても嬉しいです」
彼女の可愛い笑顔は胸をキュンとさせた。
「私は松岡先輩のことが好きです!だから付き合ってください!」
と、いきなり彼女は頭を下げて告白してきた。
告白のことは予想していたけど、それでも思わず恥ずかしく感じた。
「けっ、けど、僕にはもう彼女がいるよ」
「わかっています。私は二番目の女でいいです!」
「……っ」
しっかりとした眼差しと泣きそうな顔を見て、彼女は本当に僕が好きなようだ。
彼女が本当に僕を好きなら受け入れる、これは愛乃の意思だ。それに計画である以上……。
「それじゃ、よろしく」
「やりました!」
告白に同意したために彼女は僕に抱きついた。
まずい、彼女の胸!
柔らかいけど、僕に当たっている。
「では、自己紹介をします。私は一年5組の雨ヶ谷 千萌です。よければ、私のことを千萌と呼んでください。私、先輩の彼女として頑張ります!」
「わっ、わかった、千萌……」
「先輩に呼び捨てにされるなんて……嬉しいです」
一瞬に千萌の頬が赤く染まった。
やべえ、その顔も可愛い。
「おめでとうございます、お兄様」
紗夜と愛乃も屋上にやってきた。
「あの、先輩、彼女たちは?」
「紹介するよ、彼女たちは妹の紗夜と彼女の愛乃だ」
「そうですか。その、私は一年5組の雨ヶ谷 千萌です。松岡先輩と付き合ったばかりですけど、よろしくお願いします。よければ、私のことを千萌と呼んでください」
千萌はぺこりとお辞儀をして改めて自己紹介をした。
「わたくしは松岡 紗夜です。よければ、わたくしのことも紗夜と呼んでください」
「わっ、私の名前は梅本 愛乃です。よろしければ、私のことも愛乃と呼んでください。そっ、それにこちらこそよろしくお願いします!」
二人もお辞儀をした。
「それでは、紗夜先輩と愛乃先輩ですね」
「そうですよ、千萌様」
「いっ、一緒に頑張りましょう、千萌さん」
「はい!」
二番目の彼女ができて本当にハーレムが出来上がった。でも、彼女たちの嬉しそうな姿を見て僕も嬉しくなった。
まぁいい、今やりたいのは彼女たちの笑顔を守ることだから。
「とても面白い!」
「読み続けたい!」
「更新を期待です!」
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白皇 コスノ 拝啓




