14.一緒に寝る三人
もう就寝の時間になった。
お風呂場で歯を磨いてパジャマに着替えた。
愛乃の部屋の準備で少し疲れたのか自然にあくびがでた。
自分の部屋に戻り寝ようと思ったが……。
「なんでお前たちが僕の部屋に?」
そう、愛乃と紗夜は僕の部屋にいた。
二人ともパジャマを着ていた。
紗夜のパジャマ姿は可愛いが、愛乃にはちょっとセクシーだ。
パジャマの開いたVネックの部分から、愛乃の白い胸の谷間が見え、思わず恥ずかしくなり目をそらした。
「もちろん、お兄様と一緒に寝たいからです」
紗夜は懇願するような目つきで僕を見ている。
「……っ」
三人が一緒に寝るのは……なんとも具合が悪いと感じる。
僕はわかっている、これが計画だ。
でも、僕の愛乃ヘの気持ちはまだ揺れ動いている。
原因は二つ。一つは吉田に対する恋心を切り捨てられないこと。なぜなら、吉田は僕の初恋の相手なので忘れられないから。
もう一つは僕が本当に愛乃を好きだということ。
この二つ、僕の心の中に矛盾が生じた。
そしてなぜ紗夜はあくまでもハーレムを作らなければならないと主張しているの?
僕はハーレム万歳じゃないけど……。
「あっ、あの、すみません、颯太様。颯太様は私のために部屋を準備していただきましたが、私はやっぱり颯太様と一緒に寝たいです。だっ、駄目ですか?」
「いっ、いいや……」
愛乃も一緒に寝るのを要求した。
「お兄様は拒否しませんでした。さあ、一緒に寝ましょう。いいですか、お兄様?」
って、僕の左手を抱きしめてきて甘える紗夜。
「もっ、もしかして颯太様は私と一緒に寝ることが嫌いですか?」
愛乃も来て僕の右手に抱きついた。
彼女たち二人のおっぱいが僕の腕に当たって、耳が熱を帯びた。
「わっ、わかった。一緒に寝よう」
「お兄様が大好き〜」
「わっ、私も颯太様が大好きです」
二人がもっときつく僕の両腕に抱きついてきた。
……まあいい、一緒に寝るのは悪くない。
床に就くと、彼女たちも僕の両側に横になったが、手は放さなかった。
「おやすみなさい、お兄様」
「おっ、おやすみなさい、颯太様」
「おやすみ、紗夜、愛乃」
お互いにおやすみと言って目を閉じた。
愛乃と紗夜は僕の手を抱いたまま、寝た。
しかし、一時間が過ぎた。
……やばい!眠れない!
疲れて眠りたいのに、どうして僕は眠れないのか?
両側に横たわっている愛乃と紗夜を見ると、二人はもうぐっすり眠っている。二人とも寝顔が可愛い。
……いいや、今は彼女たちの寝顔を褒めている場合じゃない。
どうしよう、僕は?
……あった!羊を数える。羊を数えると早く眠れるって聞いている。
じゃ、羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、羊が4匹、羊が5匹……羊が150匹、羊が151匹、羊が152匹、羊が153匹……。
数えたけど、役に立たなかった。
ああー、眠れないのは辛い!
と、心に叫んだ。
◇◆◇◆◇
夜が明け、目覚ましが鳴った。
目覚ましを止めて起きた。
昨夜はちっとも眠れなかった。
まだ眠い……。
両側を見ると愛乃と紗夜はいなかった。
彼女たちは早起きだね。
背伸びしてベッドから立ち上がり、布団を畳んだ。
パジャマを脱ぎ、学校の制服に着替えた。
そして、お風呂場に行って歯磨きと顔洗いをする。
お風呂場の戸を開けて入ろうとしたが、中で愛乃が制服を着替えている。
ピンクと白のボーダー模様があるブラジャーとパンツ。
僕の前に下着姿の愛乃。
「……えっ?」
と、気まずい空気になった。
僕は愛乃を見て、愛乃も僕を見た。
たちどころに赤面し、愛乃も顔を真っ赤にした。
「ごっ、ごめん!」
あわてて言ってすぐに戸を閉めた。
はっ、恥ずかしい。
愛乃が中で着替えているとは思わなかった。
恥ずかしくなって両手で顔を覆った。
間もなく愛乃は着替え終り、お風呂場を出たが、彼女の頬はまだ赤く染まっている。
愛乃を見て、少しすまない思いをした。
「ごめん!」
両手を合掌して頭を下げて再び愛乃に詫びた。
「いっ、いいえ、大丈夫です。お気になさらずにしてください、颯太様」
「よっ、よかった」
「でっ、でも、颯太様に見られてうれしいです……」
愛乃は小声で言った。
「なに?」
「いっ、いいえ、なんでもありません。わっ、私はこれから紗夜様と朝ごはんの準備をします」
って言うと、愛乃は落ち着かなく一階に下りて台所に行った。
どうしたのか、愛乃は?
僕は理解できない。
ちょっと気持ちを静めてお風呂場に入った。
鏡を見ると髮が少し乱れていたので、櫛で髪を梳かした。
僕の髮は黒いが、瞳は青い。
與座さんの話だと僕の黒い髪は父から遺伝し、青い瞳は母から遺伝したようだ。
できることなら、お父さんとお母さんに会いたい。
歯を磨き顔も洗って一階に行く。
にわかに、いい香りが台所から漂って鼻を打ってきた。
これはグラタンの香りだ。
今日の朝ごはんはどんな料理だ?
お腹はすでに空いていた。
ダイニングに入ってみると愛乃と紗夜がそこにいた。
「おはようございます、お兄様」
「おっ、おはようございます、颯太様」
「おはよう、紗夜、愛乃」
「朝ごはんの用意ができています」
「楽しみだね」
椅子に座った。
朝ごはんはグラタントースト、オムレツと紅茶だ。
愛乃と紗夜も座った。
それから、三人が「いただきます」と合掌した。
一口ですぐに美味しいと思った。
確かに愛乃と紗夜の料理の腕前はいい。
食事が終わり、学校へ歩いて向かう。
玄関で靴を履いた。
門を出てと……霧嶋先輩たちが僕の家の前に立っている。
なぜ先輩たちがここに?
びっくりした。
まさか僕に意趣返しをするのか?
愛乃は怖がり、僕の背後に隠れた。
「遅いな、兄貴。俺たちは長い間待たされたよ」
兄貴とは……僕のことか?
突然、先輩は僕を兄貴と呼んだ。
あっ!思い出した。昨日紗夜が先輩たちの記憶を改変したと言っていた。
なるほど、先輩たちの記憶の中で僕は彼らの兄貴になったようだ。
「お待たせ、すまん」
と、苦笑した。
「いえ、兄貴を待つのは当然だ。さっさと行こう、兄貴」
「うん、行こう」
僕は愛乃の頭を撫でて彼女の不安をなだめた。
それで、紗夜と愛乃は僕の両手を掴んで学校に行く……。
「とても面白い!」
「読み続けたい!」
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白皇 コスノ 拝啓




