12.料理
ドアを開けて入り、玄関で靴を脱いだ。
愛乃の方をちらっと見ると、彼女は非常に緊張しているように見えた。正直、彼女と同居することを想像し僕はとてもドキドキしている。
「しっ、失礼いたします」
「寛いでね、愛乃」
「はっ、はい」
僕は愛乃と恋人関係にあるけど、恋人との同居か……恥ずかしい。
紗夜とリビングに入ったが、愛乃はまだ玄関に立っている。
「早くあがって、愛乃」
「はっ、はい」
愛乃は我に返って僕のそばに走ってきた。
僕はカバンをソファーの上に投げだし、時計を見ると今は夜七時半だ。もう腹減った。
「もう七時半ですね。わたくしは晚ごはんを作りに行かなければなりません」
「確かにお腹が空いた」
「でっ、では紗夜様、私も晚ごはんを手伝ってもよろしいですか?」
「愛乃様が手伝ってくださるのですか?いいですよ」
紗夜と愛乃が協力して晚ごはんを作るなんて楽しみだ。彼女たちは台所に行ってエプロンを掛け準備にかかった。二人のエプロン姿がすごく可愛く見えた。
僕は食卓に向かって座り、紗夜と愛乃が晚ごはんを作り終えるのを待っている。
紗夜は冷蔵庫から食材を取り出し、愛乃とどんな料理を作るか話し合いした後、晚ごはんを作り始めた。
がぜん喉が渇いた。僕が台所に行ってコップに水を注いで飲もうとした時、愛乃が「あっ!」と叫んだ。
「どっ、どうしたの、愛乃?!」
「いっ、いいえ、なんでもありません、颯太様」
愛乃の左手の人差し指から血が出ている。彼女は包丁で指を切ってしまったようだ。すぐに止血しないと。
臆することなく愛乃の手をつかみ、指を口にくわえて止血させる。
次の瞬間、愛乃は顔を赤らめた。
数秒をくわえた後に、愛乃の指からの出血が止まったのを見て安心した。
「これでいい」
「あっ、ありがとうございます、颯太様」
「やっぱりお兄様は愛乃様に対して優しいですね」
「そりゃ当たり前だろう?愛乃は僕の彼女だからね」
「そうですよね」
コップを取って水を注いで飲んだ。
紗夜は能力を使って愛乃の傷を治した。
「あっ、ありがとうございます、紗夜様」
「どういたしまして、愛乃様。どころで、先ほどのお兄様は本当に大胆でしたね」
紗夜がこう言うと、愛乃の顔はいっそう赤くなった。
僕も愛乃の指を口にくわえたことを思い出して、顔が赤くなった。
そうか!愛乃が指を切ったことは紗夜がわざと計らったことだ。
「ぼっ、僕はただ愛乃を心配しただけだよ……。ところで、今日の晩ごはんはなに?」
「愛乃様とわたくしの十八番の料理です、お兄様」
「そうなんだ。それは楽しみだな」
紗夜と愛乃の十八番の料理はなんだかわからないが、ワクワクする。
椅子に座って紗夜と愛乃が料理を作るのを見ながら彼女たちと話をしていると、家には愉快な雰囲気が満ちてくる。僕たち三人はきっと幸せに打ち解けて一緒に暮らせると信じている。
◇◆◇◆◇
「お待たせ致しました、お兄様」
紗夜と愛乃は料理を食卓に載せた。晚ごはんは親子丼と肉じゃが、さらに味噌汁もある。彼女たちはエプロンを脱いで僕の両側に座った。
いい匂い、どれもおいしそうだ。
「お兄様、どう思いますか?」
「見るだけで食欲がそそられる。じゃ、いただきます」
合掌しながら言った。
「どっ、どうぞお召し上がりください」
丼と箸を取り、親子丼を一口食べた。
「うまい!」
ごはんは歯ごたえがあり、鶏肉と卵の味も口に広がった。僕は幸せな顔をした。
この親子丼は美味すぎて箸が止まらない。
「お兄様の楽しそうな様子を見て心が浮き立ちます」
「まさかこの親子丼は紗夜が作ったのか?」
「はい、わたくしが作ったのです」
「すごくうまい」
「ありがとうございます、お兄様」
この時、愛乃は僕の袖を引っ張った。
「んっ?」
「そっ、その、颯太様、私が作った肉じゃがも食べてみてください」
「もちろん食べるよ」
箸でひとかたまりの肉をはさんで食べた。うまい!愛乃が作った肉ジャガもうまい。
やはり愛乃も料理が上手だ。
愛乃は期待のまなざしで僕を見ている。
「どっ、どうですか、颯太様?」
「肉ジャガもうまい。好きになった」
「ほっ、本当ですか?」
愛乃にうなずいた。
「よっ、よかったです。颯太様に褒められて嬉しいです」
親子丼も肉ジャガも、どれだけ食べても飽きない。癖になる。
お椀を取って味噌汁を一口飲んだ。やはり味噌汁もうまい。
「なら、わたくしたちもいただきます」
「いっ、いただきます」
紗夜と愛乃も合掌しながら言った。
僕も楽しく晚ごはんを食べた……。
◇◆◇◆◇
紗夜と愛乃が作った料理がおいしすぎて腹一杯になった。彼女たちがこれからも僕においしい晚ごはんを作ってくれるように。
ご飯を食べた後はお風呂に入る時間だ。
紗夜が昨日のようにいきなり浴室に飛び込むのを防ぐためにドアをロックしてから、浴槽に身を浸し自分をリラックスさせた。
今日は復讐計画を執行する初日だ。いままでのところ、計画はまあまあ成功した。
しかし、ちゃんと考えてみて、紗夜が提出したハーレム計画の意味は僕が必ずハーレムを作ることだ。つまり、僕はただ愛乃だけを愛することで、満足してはならない。はては、数多くの女性たちと結婚する。
僕にとって愛乃は気立てがよく優しい彼女だ。愛乃だけで満足だ。
ハーレムを作るなんて……なんとなく愛乃に対してすまないと思う。そして家業を継がなければならないことを考えると、相当プレッシャーを感じた。
「人生は難しい」
庶民の家に生まれたらよかったなぁ。
忽然、浴室が開かれて足音が響いた。
まじで、嘘……。と、僕は悪い予感がした。
「お兄様、宜しければ、わたくしに背中をスポンジで擦らせてください」
「わっ、私も颯太様の背中をスポンジで擦らせてほしいです」
そう、紗夜と愛乃が入ってきた。一瞬にして、僕は顔を赤らめた。
なっ、なっ、なっ、なにぃぃぃぃぃ!?
「とても面白い!」
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白皇 コスノ 拝啓




