プロローグ.少女紗夜
「吉田さん、君が好きだ。付き合ってください!」
やっと告白することができた。
学校の屋上で告白した。
最大限の敬意を示し、正直に彼女に告白した。
僕の心を真摯に受け取って欲しい。
「ごめんなさい」それが彼女の答えだった。
見事に僕は振られた。
◇◆◇◆◇
僕の名前は松岡 颯太、十六歳、高校二年生。
私立清水高校へ通う。
振られてから、勉強する気力が湧かなくなった。
僕の心はどん底まで落ちてしまった。
そのまま放課後までずっとこの状態だった。
「どうした、颯太?」
男の声だ。僕は振り返った。
話かけてきたのは、僕の友人だ。
彼の名前は水場 空。
空は僕と同じクラスで、中学校からの知り合いだ。
そのために、空とは友人関係にある。
「空か。僕は振られた」
とても悲しい気持ちで白状した。
「振られた、誰に?」
「吉田さん」
「ああ、彼女か」
吉田さん、本名は吉田 理沙。
吉田さんはすごい人だ。成績も、スポーツも、ゲーム等々も、とても優秀だ。
それに、あの子は綺麗だから、多くのクラスの男に告白されている。
彼女は綺麗な青色の瞳と、金糸を編んだような金髪をしていた。
けど、僕とはちょっと違う。
僕は成績では吉田さんと同レベルだが、女子に人気がない。
「なるほど、お前が振られた原因、俺は分かるけど……」
空は苦笑した。
「まあいいよ、お前にはすぐに彼女ができるさ」
「そうだといいんだけどな」
僕はカバンを取って、肩にかけた。
僕たちは学校を出て家の方向に歩いた。
空の家と同じ方向なので、一緒に歩いて家に帰った。
家に着いたら、門を開けて入った。
この屋敷には僕だけが住んでいる。両親は米国で働いているから。
生まれて以来、両親には何回か会ったことがあるが、それはもう随分前のことで、彼らの印象は少しづつ薄れている。
和風の古い建物、広い庭。
こんな大きな屋敷に一人で住むのは、とても面倒だ。
「そうだ、今日は棚の片付けをしよう」
それ故に倉庫に行った。
倉庫は木造の小屋だ。
久しく整理しないでいたので、もうぼろぼろに見えた。
カバンを床に置いて、倉庫のドアを開けた。
「わぁ!」
ほこりが僕に向かって飛んできた。
「ったく!」
そでで口と鼻を押さえて入った。
中の木箱を一箱ずつ倉庫の外に運び出した。
それと倉庫の中で小さな木箱を見つけた。
「小さな木箱だな……」
急に中に何が入っているのか気になった。
箱を開けた。
中に指輪がある。
その指輪は黒くて綺麗に見えた。ダイヤが嵌め込まれている。
「綺麗……」
指輪を手に取って突然、指輪が強烈な光を放った。
まぶしいと目を開けられずに直視できない。
「なに!?」
指輪が空中に浮かび上がり少女となった。
綺麗な黒色の長い髮、三つ編みにして、下駄ときれいな巫女服を着ている。
目を開けると、瞳は琥珀色だ。
「美しい……」
いや、今は彼女の美しさに感嘆する場合じゃない!
小説のような場面が僕の前に現れたなんて。
いったい何が起こっているのか??
彼女は誰だ?
目の前の状況に僕は呆気にとられた。
「こんばんは、ご主人様」
彼女はしずかに床の上に降り礼をしながら挨拶をした。
「ん、うん、こんばんは……」
彼女に挨拶した。
いや、今はのんきに挨拶する場合じゃない。
そして彼女は僕をご主人様と呼んだ!!
「おっ、お前は誰だ?!」
「はい、わたくしは黒魔の指輪に封印された精霊です、ご主人様」
「黒魔の指輪……あの指輪が?」
「はい、そうです」
黒魔の指輪……初めて聞く。
それに彼女は指輪に封印された精霊……。
「どうしてお前は僕をご主人様って呼ぶのだ?」
「だって、ご主人様はわたくしを召喚しました。だからご主人様と呼びます」
なんてこった!
僕は彼女を召喚したのか……。
彼女は自分を精霊と言った。どうやら僕は変なものを召喚したようだ。
「ところで、お前の名前は?」
「わたくしの名前は紗夜です。ではご主人様のお名前は?」
「松岡 颯太だ」
「ご主人様の名前は松岡 颯太様ですね。いいお名前ですね」
今日は何の日だ?
朝に振られて、夜にこんなことに遭遇するとは。
泣きたいよ、僕は。
「ご主人様、大丈夫ですか?」
「朝は吉田さんに振られて、今はおかしいことに遭遇している」
「ご主人様が振られたのですか?」
「お前は僕を笑いたいのか?」
「誤解しないで、わたくしはそういう意味で申し上げたのではありません、ご主人様」
「では、どんな意味だ?」
涙を流しながら紗夜に聞いた。
「わたくしはご主人様に召喚された以上、わたくしはご主人様に永遠に奉仕する義務があります。どうしてご主人様を笑うことができましょう!それにご主人様はこんなにかっこいいのに」
紗夜は真顔で言った。
「そうか……」
紗夜の言葉を聞いて、恥ずかしいと感じた。
「ですから、ご主人様、復讐しましょう!」
「復讐……か?」
「はい、ご主人様を振る女の子に復讐しましょう。彼女にご主人様の魅力を発見させて、彼女にご主人様を振ったことを後悔させます」
吉田さんに復讐?
この提案はとてもよいと感じた。
吉田、僕は君に後悔させてやる。
突然、「グー」という音がした。
僕の顔は赤くなった。
「ご提案は良いけど、お腹が空いた」
「では、わたくしがご主人様に料理の腕をお見せします」
「う、うん……」
こうして、僕と精霊紗夜の物語が始まった。
「とても面白い!」
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「更新を期待です!」
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白皇 コスノ 拝啓