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桃色美少女の初戦

ガスマスクの下が美人だったら、ものすごくギャップ萌を感じると思います。

『ガスマスク イラスト』で検索をかけると素晴らしいイラストがゴロゴロと転がっていて最高です。


今回の話からいよいよマンガー・オーブとの戦いが描かれます。

カッジェは無事にオーブを破壊することができるのか! お楽しみください!!

「うわっ!! いったい何なのだこの人混みは!!」

「今日は日曜日だからな。秋葉原の大通りは歩行者天国となって、どこもかしこも人でいっぱいになるのさ」

「何という事だ……。私の世界でもここまで人口が密集する町は中々ないぞ」

「東京でも珍しいぜ? 池袋・新宿・原宿・渋谷に次ぐ人口密集地帯だと俺は睨むね」


「ふむ、そうか。それはどうでもいいんだが、とにかくマンガー・オーブを探さないと」

「手がかりはあるのか?」

「今のところ無いな」

「じゃあいったいどうやって探すんだ?」


「マンガー・オーブはとてつもないマンガー・フォースを周囲に放つため、その周囲にいる人間はその波動に当てられて表現力に(かたよ)りが生じる」

「偏り?」

「うむ。他の人間に比べて言動が明らかにおかしいということだな」

「じゃあ挙動がおかしい人を探していくということだな?」

「そうなるな」

「……それは結構難しいかもしれないな」

「なぜだ?」


「秋葉原って挙動がおかしい人の割合も高いから」

「なん……だと……」


「メイドの滑降した人間があちこちにいるし、観光客は秋葉原の珍しさに常に視線をアチコチにやるし、M'sから出てきた人間はそそくさと足早になっているからな……」

「そうなると……ヨシタロウよ。この秋葉原の中で最も不審な動きをしても許容されるような場所はないか?」

「いったいどういう質問だよ、それは。そうだな、グーグル先生に聞いてみるか。え~っと……、OKグーグル。『秋葉原』ーー」




「さて、何だか不審な場所にやってきたが、いったいここは何をする場所なのだ?」

「メイドと楽しく遊ぶ場所……、のはず。グーグル先生に色々聞いたらここがいいって」

「"仮面メイド喫茶"って何なのだ? 仮面被ってるメイドなんて普通おらんだろ」

「不審過ぎるな」

「ああ、不審過ぎる」

「じゃあ入ってみるってことでいい?」

「よろしい」



「お帰りなさいませ、ご主人様!」 シュコー


「(仮面っていうよりガスマスクだ!!)」


「ふむ、これが仮面メイド喫茶か。よきにはからえ」

「それではご拠点までお供させていただきますでシュコ」


「(語尾が『シュコ』!?)」


「こちらでシュコ!」


「あ、ありがとうございます。何というか地下道に作った秘密基地のような場所ですね。コンクリっぽい壁紙にストリートアートが……、ステッカーに吐き捨てたガムまである!!」

「はい、ご主人様! ご主人様が裏社会のご拠点になさっている場所でシュコ! それと、メイドに敬語なんて使う必要なございませんシュコよ? この名札の通り、"ゲヘナ"と呼び捨てにしていただいてもよろしいのでシュコよ?」

「じゃあ、ゲ、ゲヘナ……ちゃん? メニューを見せてもらってもいい?」

「かしこまりましたご主人様! 今日ご用意しておりますオヤツはこちらでございまシュコ」

「え~っと、何々? "VXガス・シュークリーム"、"マスタード・ガス・ポップコーン"、"有機リン酸アセチルコリンエステラーゼ阻害剤ソーダー"……。ナニコレ、全部頼みたくないんだけど……」

「オヤツがお決まりになりましたら、お申しつけ下さいませ!! シュコー」 スタスタ



「どうしようかなー。カツジは何にしたい……?」

「……」

「どうした? そういえば店に入ってから大人しい気がしていたけれども」

「……うむ。感じるのだ……」

「感じる? 何を?」


「決まっておろう!! マンガー・フォース以外に何がある!!」


「なっ!? っていうことはここで大当たりってことか!?」

「そのようだな。しかしいったいどこからフォースが発生しているのかが……そうだな、皆目見当がつかない。よって私はこの店内を探索してくることにする。ヨシタロウはここで大人しくしているんだ」 ギュルルルッ

「1人で大丈夫なのかよ? っていうか今なんか変な音が聞こえーー」


「ーー聞こえてない。あと、大丈夫だ。少なくとも私にはマンガー・オーブを破壊する手段があるが、お前にはあるまい? 一緒についてこられても守り切れるか分からないからな。大人しく"有機リン酸アセチルコリンエステラーゼ阻害剤ソーダー"でも飲んで吉報を待っておれ。あ、ちなみに私には"ヨード酢酸エチル"の五代目をロックで頼んでおいてくれ。それでは っ」 シュタッ ステステステ


「あっ! おい! まったく、何だよ……。ちょっとくらい頼ってくれても……。まぁ確かに、俺じゃ何もできないけどさ……。あっ、ゲヘナちゃん!! 注文いいかな?」

「はい、ご主人様!」

「えっと、"ヨード酢酸エチル"の五代目ロックが1つと、"有機リン酸アセチルコリンエステ"ーー」



ドゥーンッ!! ピコピコッ!! ドゥーンッ!!



「ーー何だ!? 急にドデカイ音が流れ始めた!! 音楽じゃない!! ただの複雑さを表現したいだけの電子音のような……ゲヘナちゃん、これっていったい……?」



「……」



「ゲヘナ、ちゃん……?」


「……」 スタスタスタ


「あれ!? ゲヘナちゃん!? どこに行……あれはステージ?」


ザッ ザッ ザッ


「……ゲヘナちゃんだけじゃない。他のメイドたちも全員あのステージに上っていく……。一体何が始まるっていうんだ?」


ーーヨロヨロヨロ


「うん? 何だ? 色んな部屋からゾンビみたいに足どり不確かなお兄さんたちがヨロヨロとでてステージの前に集まっていく……。前列が正座して中列が腰をかがめている、後列の人に配慮した理想的なポジショニングだな、訓練されている。そして、何かを叫び始めたぞ?」



「ゲ、ゲヘナたん!! 今日もずっごく可愛いぇ!!」

「あ゛~っ!! 今日もお勤めしていたでござるかゲヘナたん!! かぁいいよかぁいいよぉ!!」

「ゲヘナたん!! 一番輝いてるぅっ!! センターに燦然(さんぜん)と輝いてるぅぅぅううう!!」

ワイワイ ガヤガヤ



「なるほど常連たちか。これからライブが始まるようだな。いったいどんな曲を……ってもう踊り始めている!? 頭の上を走り抜ける山手線よりも目障りな電子音をBGMにして!! しかもあの踊りはいったい何だ!? まるで操り人形のようにカクカクとした動き……ガスマスクをしているから、さながら蜘蛛の巣に掛かったハエがもがくような有様になっている。こんなのがいいのか? ここの常連たちは」



「あ゛~~っっ!!!! じみるっ!! じみぅぅぅうううっっっ!!!!」

「あぼあぼあぼあぼあぼぉおおおうぅ!! もこぉぉぉおおおっっっ!!!!」

「エブシエブシエブシッ!! エブシエブシエブシエブシッ!! しすこぉぉぉおおおんっ!!!!」

「ヴァッイヴァッイ ギャヤァギャヤァ」



「常連たちが……発狂しているっ!? これはまさかーー」


「ーー間違いなくマンガー・オーブの力だろう」


「カツジ!!」


「トイレに行っている間に、こんなことになっているとはな」

「トイレに行ってたのか!! 狭い店内なのに中々帰ってこないと思っていたら!!」

「探索の一環だ」

「ホントか?」

「尻の穴が痛い」

「……さっきのカレーか!! お前かなり消化器弱いのな!! っていうか探索じゃなくてやっぱり純粋なる便意じゃないかっ!!」

「やめろ、うんこ恥じらう年頃の女子に便意とか言うんじゃない」

「全然恥じらってない!!」


「そんなことより!! 私はあれをどうにかする!! ヨシタロウはここで待っていろ!!」

「なっ!! 俺も行くぜ!! あの男たちの壁は1人じゃ突破できないだろう!?」

「いらん!! 正面突破はしない!! ふつうにステージサイドから上る!!」

「……わかった、気をつけろよ!!」

「……ふん。私を誰だと思っている。ニマケーズ家長女、そして表現力向上委員会委員長のカッジェ・ニマケーズだぞ!!」 タッタッタッ

「表現力向上委員会……? まぁよく分からんが、任せたぜっ!!」




スルスルスル

「おっ!! 人混みを上手く避けたようだな」

トテトテトテ

「無事ステージサイドを上がり切ったな。ここからどうするんだ? あれ? マイクなんていつの間に持っていたんだ? ステージ脇に置いてあったのかな」


「あー、テステス!! ん゛んぅっ!! おい貴様ら、私の名はカッジェ・ニマケーズ。お前らに言っても分からんと思うがニマケーズ家は歴史ある家系で貴族位を持っており、私の世界では"世界に最も影響を与える貴族ランキング"で150年連続で10位以内に入っているほど力のある貴族なのだ!! 私はその家の長女であり将来家督を継ぐもの!! つまり私の発言は全世界全次元に影響のあるものと知れっ!! 分かったかっ!? それなら問うぞ!! マンガー・オーブはどこにあるっ!? 繰り返すぞ、マンガー・オーブはどこにあるっ!!」


「なっげぇっ!! そしてストレート過ぎる!! そんな素直に教えてくれるヤツなんてーー」


「……ここにあるシュコよ」


「ーーいたっ!? あれは……!! ゲヘナちゃんっ!?」


「ふふっ、やっぱりな。お前を見て一目でおかしいと思ったわ」

「なんだって!? だからカツジはゲヘナちゃんに案内してもらっている時、大人しかったのか!!」

「そうでシュコか。参考までにどこがおかしかったか教えてくれませんシュコか?」


「簡単なことだ。何故ならばお前、語尾に"シュコ"が付いてるじゃないか!! そんなもの誰だっておかしいと思うに決まておろう!!」


「(えぇー!! それはただのキャラ作りだったんじゃ……!?)」


「それはただのキャラ作りシュコっ!!」


「(やっぱり!! ていうか自分でキャラとか言っちゃってるー!!)」


「……まぁいいでシュコ。もうこのガスマスクは要らないシュコ」 ポイッ


「(ガスマスクの下は普通に美人さんだった!! 切れ長の目に低めの鼻、薄い唇。この人、典型的な和美人だ!!)」


「近々、このオーブを壊しに来るということは知らされていたシュコよ。あなたがニマケーズ家の刺客シュコね」


「……ほう。私のことを知っているようだな」


「マンガー・オーブは私に全てを教えてくれたわ、でシュコ。その中にはあなたが追手としてくる可能性があるという情報も含まれていたシュコ。もちろんあなたが使うであろう武器"ドークショ・カンソーブーン"のことも……」


「くっ!!」


「ホラ、これがマンガー・オーブでシュコーー」 スイッ


「ーー壊せるものなら、壊してみるシュコ」


「あれがオーブ!! 紫色の丸い水晶玉のような形をしている!! 細かな白・赤・青などの輝きがチラチラと見えて、まるで宇宙を水晶玉の中に閉じ込めたかのような美しさだ!! そして同時に、その底知れない暗い色が全てを引き込みそうな不安を感じさせる!!」


「ふんっ! 言われなくても壊して見せる!! はぁぁぁあああッ!!」 ブォンッ


「あれはさっきカツジが見せてくれた指輪のチカラ!? でも形が違う!! 光の膜じゃなくて、カツジの右手にあるのは細い光の槍のようなものだ!! 指でつまむほどの細さのそれは、しかし頼りなさを一切感じさせない!! 触れただけで邪悪の全てを浄化するような聖なる輝きが辺りを照らしているっ!!」


「……ゲヘナ。それを手放すなら今の内だぞ。この"ドークショ・カンソーブーン"はマンガーの闇を晴らす聖なる槍(セイントランス)。この光の槍に貫かれたものは全て、マンガー・フォースを失うことになる。対象はオーブだけじゃない。人とて、微小ながらマンガー・フォースを宿している。それが完全になくなれば、お前は一生マンガを持つことができない体になる……」


「な、なんだって!? あの光の槍にはそれほどまでに恐ろしい力が宿っているのか!! ゲヘナちゃん!! 大人しくオーブを渡すんだ!! 君だって"HUNTER×HUNTER"や"BLACK LAGOON"などの新刊を今か今かと待っているだろう!? 君にとってそれらを失うリスクを背負ってまで、そのオーブを守りたい理由が果たしてあるのかっ!?」


「ふふふ、アリーナ後方が何やら五月蠅いシュコね。関係ないシュコよ、私が勝つんでシュコから」


「ならば、手加減はしないぞ?」


「望むところでシュコ」


「はぁぁぁあああっ!! 喰らえ!! "カダイトショ其ノ一(そのいち)ッ"ーー」


「槍がっ……高速回転をして中央に光が圧縮されていく……ッ!! 細く、細く、そしてとうとう線に……ッ!! あれが"ドークショ・カンソーブーン"の技の1つ!!」


「ーー"蜘蛛ノ糸(くものいと)"ッ!!」

"ドークショ・カンソーブーン"、夏休みの宿題の最終兵器でした。

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