表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/19

桃色美少女の変わらないこと

これで10万字は達成だぁー!!

頭から文字を絞り出すのって超つらいね……


モノホンのプロの小説家さんは締め切り前もっと辛いんだろうな……

「そうだろ、魔王・"ジバカリ・ネムクナール・ダールイ"の末裔、ニマケーズ家の跡継ぎカッジェ殿?」


と、まるでトドメでも刺すかのようにニヤニヤとしながら言ったクラシカの言葉がカッジェへと向けられる。

その言葉に視線を誘導されて好太郎がカッジェを見ると、カッジェは言い返したいのに言い返せないようなそんな苦悶の表情をして唇を噛み締めていた。


「いったい……どういうことなの……?」


夏希は訳が分からないといった様子でクラシカとカッジェを交互に見ながらそう呟いた。

それを聞き逃さなかったクラシカは、今度は好太郎と夏希の方を向いて言葉を続ける。


「つまりね、カッジェは数少ない血縁なんだよ。魔王のな」

「け、血縁……!? 魔王は人間なのかっ!?」


好太郎はどこかで魔王とは魔物や怪物といった人間からかけ離れた存在なのだと考えていた。

それは自分が知っているファンタジー系のRPGのラスボスがそうであったからだし、大体人間1人が世界をどうこうすることができるわけがないという先入観からだった。

そうして驚く好太郎を面白そうに眺めながらクラシカは己の言葉に補足をつける。


「そうだよ、人間さ。とは言っても人間からかなり規格がズレているけどね。なにせもう何百年も生きているらしい。そして人間なんだから魔王だって子を為したんだ。そしてその血縁は脈々と受け継がれ、その末端にいるのが――」


そこで言葉を区切って目線を横にずらし――


「――君だろう? カッジェ」


そう言ってカッジェを指差した。

カッジェは怒りかそれとも哀しみか分からない感情を持て余しているのか、体が震えている。

そうして、昂った感情を無理やり抑えたような低い声で、


「――ああ、その通りだ」


と一言漏らした。

魔王との血の繋がりを認めたその言葉にクラシカは口の端を歪めて低く嗤い、好太郎と夏希は何と言っていいのか分からずに固まる。

カッジェは周りの反応に構わずにクラシカに続けて言葉をぶつける。


「おぬしの言う通りだ。私は身内の恥を(そそ)ぐために1人で先んじてこの世界にやってきたのだ。それが何か悪いか? 私の事情はおぬしに関係のないものだ。放っておいてくれ」


しかし、クラシカはそれを聞いて笑う。


「いやいや、放ってはおけないさ。君が()()()()()()()単身で戦うなんていうのはね。一般の現地人も巻き込んでいるようだし、貴族として見逃すことはできないな」

「このままずっと……? クラシカ、それはいったいどういうことだ!? お兄様によれば近日中に援軍が送り込まれるハズだぞっ!?」


剣幕を立てて問い詰めるカッジェに、しかしクラシカは軽く笑って取り合おうとしない。


「おぬしっ!! お兄様に何をしたっ!? まさか100年前の出来事を繰り返そうなどと――」


今にも詰め寄らんばかりの気迫でまくし立てるカッジェに、「まぁまぁ落ち着いて」などと言って相変わらず軽い様子のクラシカはやっと説明する気になったのか口を開く。


「そんな物騒なことをするつもりなんて全くないよ。あの時は民衆の方がおかしくなっていたのさ。でもそれも仕方がないよな、伝承通りに世界の全てが奪われそうになったんだから。今回僕たちがしたのは援軍の派遣を止めたってだけさ。それ以上のことは何もしていない」

「な、何故援軍を止めるのだ……? 王は確かに複数人の魔術的素養のある貴族位の人間でマンガー・オーブの破壊とジバカリの抹殺を命じていたハズだ!!」

「それは簡単な事だろう」


クラシカは立てた親指を自分に向ける。


「僕という魔王に単身で勝つことができる存在が生まれたからさ」

「……おぬしなら魔王に勝てるから……?」

「ああ、伝承通りになるのさ。歴史上で今まで一度も発現したことのないこの力が目覚めたのもそのためだ。世界の理が僕に魔王を討てと言っている。僕たち一族の言葉を世界は無視できない。何せ伝承で一度救っているのだからね。だからこそ、むやみに援軍を送るのは止めて僕に任せて欲しいと王に直訴したのさ」


クラシカがそう言い切るとカッジェはまた顔を下に向けてしまう。

援軍は来ず、王の遺物はもはやない。

カッジェ1人でこれ以上戦うことはできないと宣告されたも同然だったのだ。


「なぁカッジェ。もう一度言うぞ? 君は元の世界に帰った方がいい。ここにいたって足手まといになるだけだ。ああ、そうだ。万一にもそこの2人の現地人とそこで未だ転がっている2人の現地人をこれ以上巻き込むんじゃないぞ? それは貴族にとって許される行為ではないと君ならよく知っているはずだ」


クラシカの視線が急に侮蔑を込めた冷たいものとなって、カッジェを刺すように睨みつける。


「領地で働く民衆は貴族の宝だ。貴族はいざという時には何を後ろに置いてでも彼らを守る義務がある。そして僕たちのように異世界へと渡る手段がある人間はその世界の現地人に大きな影響を与えてはいけない。今、君はその2つに大きく違反している自覚はあるのか?」


その言葉に真っ先に反応したのは意外にも夏希だった。


「違う!! カジェちゃんは違反をしたわけじゃないっ!!」


クラシカが興味なさげにその冷たい眼差しを今度は夏希に向けるも、気圧されずにむしろそれを力強く見返して言葉を続ける。


「この世界の異変に巻き込まれて、マンガー・オーブの危険性を知った私たちが自分たちで何かをしたいって言って無理やりカジェちゃんをつき合わせてただけなんだから!! カジェちゃんはずっと一般人を巻き込みたくはないからダメだって言ってくれてたけど、私たちが退かなかっただけ!! 途中からやってきてカジェちゃんを悪く言うのは――」

「――夏希、もうよせ」


夏希の必死の反論は、しかしカッジェ自身によって止められる。


「カジェちゃん……どうして……?」

「私たちが行動を始める時に言ったであろう? 私の名において助勢を請うと。全ての責任は私にある――今ゲヘナが倒れてしまっていることを含めて、だ」

「そんな……」


カッジェと夏希のやり取りを興味なさげに眺めていたクラシカは、フンと鼻を鳴らすと何か小さなものを指でこちらに向かって弾いてから背を向けてゲームセンターの1階に繋がるエスカレーターに向かって歩き始めた。

その小さな物体は床に落ちるとカラン、と音を立ててカッジェの足元まで転がった。

カッジェが屈んでそれを手に取ると、金色の指輪であることが分かった。


「もうどうだっていいさ、そんなことは。その指輪を使えば一度だけ世界の壁を抜けることができる。この世界の"ジンボウチョウ"から指輪の力を使え。そうすれば元の世界に戻れる。そして後は静かに僕の凱旋を待っていればいい」


その言葉を最後に下りエスカレーターに乗ったクラシカの姿は見えなくなった。







好太郎はそこまで一気に話すと、乾いた口を潤すためグラスに入ったお茶を飲み干す。

そうして一呼吸吐くと話を続けた。


「それでクラシカが去ってすぐに最音がゲヘナが起きたと教えてくれたんだ。クラシカの登場ですっかりゲヘナちゃんに近寄れてなかった俺たちはすぐに駆け寄って――それからは覚えてるか?」

「大体は覚えているシュコ。そういえば最音はどうなったんでシュコか? 今の話からすると無事ではあるみたいでシュコが……」

「ああ、俺たちもタクシーを呼んでもらってそのまま別れちゃったからな。でも怪我してたり体調を悪くしてたりはしていなかったと思うぞ」

「そうでシュコか……それなら良かったでシュコ」


ゲヘナはそう言って胸をなで下ろした。


「よかったね、ゲヘナさん……最音さんを救えて」


しみじみとした口調でそう言う夏希にゲヘナは、


「そ、そんな救うなんて大袈裟シュコ……」


と照れたように反応する。

しかしそこに好太郎も加わって、夏希に便乗した。


「いや、全然大袈裟なんかじゃないよ。俺みたいに言の葉の力を借りたわけじゃないのに、1人で苦しんでいた最音さんを引っ張り上げることができるなんてすごいことだよ!!」


手に力を入れて褒めちぎる2人にゲヘナはとうとう後ろを向き、


「そこまで言われると本当に照れるのでやめて欲しいシュコ、こっち見るなでシュコ」


そう言って顔を隠してしまう。


「やばいシュコ、今絶対に顔が真っ赤でシュコよ」

「……いや、真っ赤も何もガスマスク被ってるからこっちからは分からないんだけどね」


そうやって2人でやり取りをしていると、横で夏希が空になったグラスにお茶を注ぎ足してくれる。


「あ、夏希ありがとう!」

「うん、別にいいよー。自分のも注ぐついでだったしね。ゲヘナさんもいる?」

「いるシュコ。今急速に顔を冷ます水分が必要な感じがするシュコ」


そうして注がれたお茶を勢いよくストローで吸って飲み干し、そして話を元の軌道に戻した。


「それで、2人ともカッジェとはその後何も話せていないんでシュコね? 今はどこにいるでシュコか?」

「私は昨日別れてからは何も話していないから……」

「……俺も何も訊けてないんだ。今日は朝起きてから顔を合わせるのが何だか気まずくて会っていないんだよ」


その返事を聞いてゲヘナが腕を組んで唸る。


「……もしかして何も言わずに神保町から元の世界に帰ったりしてないシュコよね……?」


その言葉に好太郎と夏希はギョッとしたような表情を作る。


「いやまさか! さすがにそんな急に、しかも何も言わないで帰るなんてことはカツジはしない……ハズだ……」

「そ、そうだよ! 大丈夫だよ! きっと多分……どこかで……」


2人は自分に言い聞かせるようにして言うが、しかしその声は尻つぼみになっていく。


「ね、ねぇ……好太郎。どうしよう、もしこのままカジェちゃんがこの家に帰って来なかったりしたら……」

「あ、あぁ……それは、困る。何というか……ともかく、このままお別れなんていうのは俺は絶対にイヤだぞ!」

「なら、探しに行こうよ! カジェちゃんが土地勘のある場所なんて多くないんだから、きっと神保町か秋葉原付近にいるはずだよっ!!」

「……そうだなっ!! よし! 外に出よう!!」


そうして腰を浮かせる好太郎たちだったが、


「待つシュコ」


自分の座った場所から少しも動かずに、ゲヘナがそれを制止した。


「ゲヘナちゃん……? どうして……? 早く探しに行かないとカツジが帰っちゃうかもしれないんだぞ?」


焦りを顔に浮かべて好太郎がゲヘナに問いかける。

しかし、ゲヘナはガスマスクの下の表情を微塵も変えていないだろう冷静な声で2人をなだめる。


「きっと大丈夫シュコ。カッジェと長い付き合いがある訳じゃないシュコし、それにカッジェの性格をしっかり押さえている訳でもないシュコが、それでも何も言わずに帰るような薄情者ではないことくらいは分かっているシュコよ」

「え……? いやいや!! 『帰るかも』なんて言い出したのはゲヘナちゃんじゃないか、さっきと言っていること矛盾してないか!?」

「分かってて言ったんでシュコよ。言葉にしてその可能性を挙げなければ、気まずさを言い訳にして2人はカッジェを探すために足を動かさなそうだったでシュコから」


ゲヘナの少し棘のある口ぶりに好太郎も夏希も「うっ」と押し黙ってしまう。

実際その通りで、落ち込むカッジェに対していったいどう声をかけたらいいのか2人は見当がついていなかった。

ゲヘナが何も言えずに表情を曇らせる2人に対して言葉を続けて問いかける。


「でも、実際なんでヨシタロウと夏希はカッジェに対して気まずくなっているんでシュコか?」

「そ、それは……カツジが魔王の末裔だかなんだかで、それを俺たちに伏せていたことに対して負い目を感じているみたいで……それだけなら俺たちは全然気にしないんだけど……」


そこで好太郎は一旦言葉を区切って横にいる夏希を窺うようにする。

夏希は好太郎と同じ気持ちなのか目線を受けて軽く頷き、その二の句を継いだ。


「でも、カジェちゃん自身が隠したそうにしていたことだったから……。それをクラシカとかいうあの男に無理やりにバラされちゃって、すごく悔しそうにしてたの……。だから私たちもむやみにそのことに触れちゃいけないんじゃないかって思って。でもその話題にあからさまに触れないのも違和感があって、それで……」

「それで、カッジェと言葉を交わすのを避けてしまっていたんでシュコね……」


好太郎と夏希は深く頷いた。

ゲヘナは腕組みをしながら少し考えるようにした後、2人に対して問いかける。


「クラシカの語った内容を聞いて、2人はどう思ったシュコか?」

「「え……?」」


好太郎と夏希の声が重なる。

目線で譲られて、好太郎がその問いかけに対して意味を問う。


「どう思った、っていうのはどういうことだ……?」

「そのまんまの意味シュコ。クラシカから"カッジェはこの世界の異変を引き起こしている魔王の末裔"だと聞かされてどう思ったんでシュコか? それによってヨシタロウたちの中のカッジェの評価はどのように変わったんでシュコか?」


評価がどう変わったか、それを聞いた好太郎は反射的に


「そんなの変わるわけないじゃないか」


と答えていた。

夏希もコクコクとその答えに同意を示す。


「そうでシュコか。なら私たちがわざわざ色眼鏡を掛けてカッジェを見る必要なんてないシュコよ。どう考えても2人は要らない負担を抱えているシュコ。カッジェが隠したくて話したがらない血縁の話ならしなければいいだけでシュコし、万が一カッジェが勝手に私たちに対して隠していことを負い目に感じていたとしても私たちが堂々と受け止めてあげればいいだけの話でシュコ」


そう言って2人に視線を送る。


「そう……だよな。例え違和感が出ちゃったとしても、本当に気にしてないんだからその話をしなければいいだけだったんだ」

「そうだね……私たちがそんなことを意識しちゃったせいで、カジェちゃんを気まずくさせちゃったのかも……」


自分の言動を悔やみ始めた好太郎と夏希に、ゲヘナは言葉を付け足す。


「多分でシュコけど、2人はそんなに悪い事はしてないと思うシュコよ。カッジェは責任感の強い性格をしているでシュコから、自分と血縁のあるご先祖が世界を揺るがすような悪事を働いていることに引け目を感じているだけなんだと思うシュコ」

「そうなのかな……だとしてもそれをカッジェ自身に気にするなって言うのは難しくないか?」


どんなに仲が良くなっていたとしても他人の家の事情に対して何も考えずに『気にするな』なんて言葉を使うことに、好太郎と夏希はためらいを覚えてしまう。

親しき中にも礼儀あり、とはまた違うが、どんなに良好な間柄にも踏み込んではいけない一定のスペースがあるのではないかと常識的に考えていた。

しかし、


「そんなに難しいことでシュコか?」


とゲヘナはあっけらかんとした様子で口にする。


「いや、でも……」


それに対しておずおずと好太郎が口を開く。


「さすがに人の家――というか血縁に口を出すのはどうなのかなって思わないか……?」


好太郎のその言葉に対してゲヘナの答えは明快だった。


「思うシュコよ」


なんだかチグハグなゲヘナの受け答えに好太郎は少し顔をしかめる。


「ゲヘナちゃんさっきと言ってること違くないか……? カッジェに対して血縁なんて気にするなって伝えるスタンスだったんじゃないの……?」

「全然違うシュコよ……。私が言いたいのは――」


一呼吸を置いてから好太郎と夏希の2人をしっかりと見据えて、ゲヘナが言葉を続ける。


「――もしカッジェ自身が自分の血縁にコンプレックスを感じて私たちから離れようとするならこう言ってやればいいだけってことなんでシュコ。『人の家庭環境やら血縁やらを責めたり憐れんだりすることをイチイチ考えるなんて馬鹿らしいでシュコよ。少なくとも私たちは気にしないでシュコ。あなたが自分の境遇をどう考えていようと、私たちの目の前にいるのはカッジェ・ニマケーズというただの異世界出身で貴族気質な同世代の、私たちが仲良くしたいと思っている普通の女の子なんでシュコから』ってね」

「ゲヘナちゃん、それって――」

「別に血縁にも家庭環境にも私たちは直接踏み込まないし、気にするつもりもないシュコ。ただ自分で勝手にそれを引け目に感じて私たちから離れようとするのは気に食わないってことを言いたいだけなんでシュコ!」


その言葉を聞いて、今まで黙って好太郎とゲヘナのやり取りを見ていた夏希が口を開く。


「なんか……私、ゲヘナさんのその考えすごくしっくりきたよ。私もカジェちゃんの血縁なんてどうだっていいんだもん。ただ普通に話して仲良くしていたいだけだったんだよ。でもあんなことをクラシカに言われちゃって、それを聞いて落ち込んで壁を作ったようになっていたカジェちゃんに自分の気持ちをどうやって伝えたらいいのか分からなくなってた……」


そう言った夏希の目にはいつの間にか大粒の涙が溜まっていた。

それは友人に対して何もすることができなかった自分の不甲斐なさと、ようやく掛ける言葉が見つかったことによる安堵から自然にあふれ出していたものだった。

好太郎も夏希の言うことに頷き、


「俺もゲヘナちゃんの言いたいこと伝わったよ。俺もそう思ってる。あいつはどんな危ない状況でも周りを第一に考えるすごいやつなんだ。実際ゲヘナちゃんと戦っていた時も、俺よりもダメージを受けているのにそれでも立って俺を庇おうとしてくれた強くて優しいやつなんだ。あいつが誰の末裔だとかそんなことは関係ない。『俺たちにとってカツジがカツジであることは変わらないんだ』って、カツジにもちゃんとこの気持ちを伝えたい」


と手を固く握り締める。

ゲヘナはそんな2人の言葉を聞いて満足げな表情を浮かべた。


「さあ、カッジェに言いたいことができたなら早速探しに行くシュコよ!! どうせ1人でいじけて街をふらついているに違いないシュコ!!」


ゲヘナは勢いよく立って2人に発破をかける。

そんなゲヘナを夏希は涙で少し濡れている瞳でジッと見つめて、


「ありがとう、ゲヘナさん」


とお礼を言った。


「私は何にもしていないシュコよ?」

「ううん、したの。私たちがやみくもにカジェちゃんを探しに行こうとした時、止めてくれたじゃない。それで深く考える時間をくれた。そのおかげでまた気まずくなっちゃうかもなって心配をしないで、カジェちゃんを迎えに行けるんだから」


夏希はそう言ってニッコリとゲヘナに微笑みを向ける。

その邪気の欠片もない表情に、ゲヘナはガスマスクの下でグッと息を呑む。


「なんていい子なんでシュコ……ヨシタロウにはもったいなさすぎるでシュコ……」

「な、なんか俺の名前が聞こえた気がするんだが……」

「何も言ってないシュコ! それよりも早く準備をしてカッジェを迎えに行くシュコよ!!」


3人はそれぞれ荷物を持って部屋を出る。

その足取りは軽く、もはや表情には一点の曇りもなかった。






==============================================

【1:37】朝起きたら黒くて丸いものが目の前を浮遊しているんだがwwwwww


1 名前:名無しさん@無職:20xx/06/24(月) 05:11:56.21 ID:zLLvbNeEt

この黒いタマタマ『一緒に世界征服しようぜ』とか抜かしおるんだが

 俺の頭がおかしくなってんのかな?

 昨日アニメのゲロロ准尉を一気見したからかな?


36 名前:名無しさん@無職:20xx/07/13(木) 16:09:33.96 ID:zLLvbNeEt

まだこの黒いタマタマがおるんやが、話す言葉が

 『一緒に世界征服しようぜ』

 から

 『いい加減外に出なさい』

 になってきやがった。

 

 妄想までオカンにシフトチェンジしてくるとは・・・・・・・

 死にたい・・・・・・


37 名前:名無しさん@無職:20xx/07/13(木) 20:11:34.51 ID:iAmdQnHdT

そんなことより>>1のIDがニートな件


==============================================

最後の部分はコピペミスとかではないです。

次回への伏線です。

ちょっとまた変わった形式の話にするつもりですが、お付き合いいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ