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ガスマスク少女、奇策を講じる

お待たせしました!

先週末は更新できなかったので、今日更新です!

ちょっと長くなっちゃって……

お楽しみください!

「ドン・○ホーテでの買いものも済んだことだし、早速中に入ろうぜ」 スタスタスタ

「とりあえずゲームセンターには入ったけど……どう? カジェちゃん、やっぱりマンガー・オーブはここにありそう?」

「うむ……確実にあるな。1階には太鼓の鉄人なるものはなさそうだから、いるとすれば筐体が置いてある階だろう!」

「どれどれ、太鼓の鉄人は……カツジ、太鼓の鉄人は2階にあるようだぞ!!」

「うむ、分かった。よしっそれでは2階へと上がるぞ……ってどこに階段があるのだ?」

「ああ、分かりにくいんだが入り口から入って左側にエスカレーターがあるんだ」


「さて、2階にまで来たわけだが……やはりというべきか、ものすごい人口密度だな!!」

「というかカジェちゃん! これ何!? なんかお店の中が霧っぽいよっ!?」

「それに加えて凄まじいほどの汗臭さだ……って、じゃあこの霧ってもしかして――」


「――そうさ。ここで太鼓を叩き続けた『ドゴンだー』達がかいた汗の蒸気だよ」



「うげっ!! 汗の蒸気ってマジかよ!!」

「好太郎……私知らない人の汗の空気を吸ってるかと思うと気持ち悪くなってきたよ……」

「夏希っ!! 大丈夫か!?」

「……うむ? ところで今の声は……?」


「僕の存在を完全に無視とは肝が座ってるじゃないか……」


「っ!! ヨシタロウでも夏希でもない声の持ち主はおぬしか!! マンガー・オーブの所持者で間違いないなっ!?」


「そう!! この僕こそが『世界最高ドゴンだー』の最音帝(さいおんみかど)だ!!」


「『世界最高ドゴンだー』!? なんなのだそれは!!」

「『ドゴンだー』とは太鼓の鉄人のプレイヤーのことさ。その中でも僕は世界で一番の愛情を太鼓の鉄人に注いでいるという自負がある!」

「ただの自称ではないか!!」

「うるさい!! 今の今まで太鼓の鉄人のために僕ほど尽くした奴がいるか!? 昨日から今日にかけてここにいるドゴンだー達に寝る間も惜しませて太鼓を叩かせてプレイ数を爆上げさせてるんだからな!!」

「なんてことをっ!! 人々にゲームを強制させておいて何が世界最高だっ!! 貴様の自己満足で振り回しているだけであろうがっ!!」

「……何とでも言うがいいさ、僕はもう止まらない。まずはこの秋葉原にいる人間全てをドゴンだーにしてやるんだ。そして再びバンナイ・ダムコにアーケード筐体を量産してもらい、いずれ日本の全てのゲームセンターの音ゲーフロアから太鼓の鉄人以外を駆逐する!!」

「くだらないっ!!」

「ふん……僕の目的を理解してもらおうだなんて最初から思ってないさ。力づくで君たちにもドゴンだ―になってもらうよ」

「馬鹿め、そう簡単に物事が運ぶと思わぬことだ……!!」

「ふんっ! 馬鹿なのはお前たちの方だよ。ここに足を踏み入れた時点でお前たちの負けだ。おいっ! ドゴンだ―達よっ!! やってしまえっ!!」


ドゴドンッ  ドゴドンッ  ドゴドゴドンッ

   カラカッ  カラカッ カラカラカァンッ

ドゴドンッ  ドゴドンッ  ドゴドゴドンッ

   カラカッ  カラカッ カラカラカァンッ


「フフフッ!! どうだ、この単調な太鼓のリズムはっ!? 僕の作ったこの儀式場で、太鼓の鉄人の一定の音程を聞かされた人間は、どう足掻いても太鼓の鉄人をプレイしたくてしょうがなくなってしまうんだよっ!! これでお前たちも太鼓の鉄人の『廃パードゴンだ―』の一員だっ!!」

「……ふんっ! だからそう簡単に物事が運ぶと思うなと行っておるであろう……?」

「なっ、なに!? 洗脳されていないだとっ!? お前たち、いったい何をしたっ!?」

「単純なことだ。少しばかり対精神干渉系の魔力を込めた耳栓をしているだけなのだからな!!」

「ぐっ!! 小癪な真似をっ!! あらかじめ僕の能力の予想をつけていたという事か!!」

「当たり前だ。これから敵陣に攻めるというのに、情報収集もしないわけがないだろうが」

「チィッ!!」


「……ところで貴様、ゲヘナはどこにいるのだ?」

「あ? ゲヘナだ?」

「メイド服姿にガスマスクを装着した女子(おなご)がここへ来たであろう!?」

「ああ、そういばそんな『前衛芸術の成れの果て』みたいな女が、昨日やたらグチグチといちゃもんをつけてきたっけなぁ……」

「貴様その女子をいったいどうした!?」

「ふっ、僕の後ろを見ればわかるだろう?」 クイッ

「貴様の後ろだと……っ?」


ドゴン ドゴン カラァン カラァン ドゴン ドゴン カラァン カラァン

ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴォンッ


『フルコンボだドゴン!!』 キラーンッ


「…………」 シュコー シュコー


「ゲッ、ゲヘナ!!」

「ゲヘナちゃんが太鼓の鉄人をプレイしているっ!?」


『もう一回遊べるドゴン』


ドゴォンッ


『難しさを選んでね』


カカカカカカカカカカラァンッ


『おにぃっ――』


ドゴォンッ


『おにで遊ぶドゴン!』


「ゲヘナちゃんが迷わず『おに』の難易度をっ!!」

「ふふん……昨日初めてバチを握らせたときは『ふつう』も覚束ない様子だったのに、少しは成長したようだな。まぁ、あの女には一睡もさせずにひたすら太鼓を叩かせているんだから、上達して当然ではあるがな」

「一睡も、だと!? なんて非道な事を!」

「ふん、そのシュコシュコとうるさいガスマスク女が悪いんだ。まるで何でも知っているかのような口の利き方で、『そんなやり方じゃ誰も救われないシュコ』だの『絶対に後悔することになるシュコ』だの的外れな事を言いやがって」

「ゲヘナが……」

「だからもう口がきけないようにと洗脳してやったが、あの女は何やら抵抗力があったようでやたらと時間が掛かったな。その理由もお前たちの仲間だったからと知れば納得がいく。第1と第2のオーブを破壊した人間どもとはお前たちのことだな?」

「ああ、その通りだとも! サッサと貴様の持つマンガー・オーブも壊して、ゲヘナとここにいる人々を解放させてもらう!!」

「ふふふ、そうか。やれるものならやってみるがいいさ」 ブワッ!

「うむっ!! マンガー・フォースを展開したな! 黒い靄があやつの周りに立ち込み始めた!!」

「さて、それじゃあ一方的になると思うけど戦いを始めようか!!」


「(……うん? 何だ? アイツ、ずいぶんと余裕そうだ……。俺たちがマンガー・オーブを2つ壊していることは知っているというのに。それだけの自信があるのか……?)」

「ねぇ、好太郎……」 クイッ クイッ

「どうした、夏希? 袖なんか引っ張って」

「あの男、ア○メイトの店長の時と違うよ……? マンガー・オーブを持っていないよ……!?」


「本当だ……っ!! カツジ!! アイツ、マンガー・オーブを持ってない!! オーブ無しで靄のようにマンガー・フォースを拡げられるものなのか!?」

「ありえん……!! マンガー・オーブはあくまでもマンガー・フォースという力を凝縮させた塊に過ぎん!! 使用するための媒体――つまり人間に触れていない限り、これほどまでの力を引き出すことはできないハズ!!」


「ふふん、マンガー・オーブを壊せるなら壊してみろよ。とは言っても、お前らにその姿を見ることはできないだろうがなぁっ!!」

「何だと!? まさか、それが貴様の持つマンガー・オーブの特性かっ!?」

「如何にも。僕の持つマンガー・オーブは儀式場の中において、その特性・『隠ぺい』を最大限に発揮する。そしてオーブの特性発現時、マンガー・フォースは持ち主である僕に委譲される!!」 ズォォォオオオ


「カツジっ!! アイツの背後に広がっていた黒い靄が束のように集中していくぞっ!! これはゲヘナちゃんと戦った時と同じ――」

「――ああ、呪鞭だっ!! ヨシタロウ、あやつが攻撃を仕掛けてくる前に、お前の力で洗脳されている者たちを解放できんか!?」

「試してみる! ……今やドゴンだーと化したお客のみんなっ!!――"聞け"!!」


「「「……」」」 ドゴドゴドゴドゴッ


「ダメだ、カツジ! 洗脳が解けないどころか太鼓を叩くのを止めすらしない!!」

「違うぞ、ヨシタロウ! この太鼓の鉄人のプレイ音にかき消されて、そもそもあやつらに声が聞こえていないのだっ!!」

「だったら先にプレイを止めないと……!!」


「それを僕が許すとでも思っているのか!?」 ズォォォオオオッ


「うおっ!? ――"守れ"!!」 ガキィンッ

「ヨシタロウ! ……呪鞭による攻撃は間一髪防ぐことができたようだな……」


「ふん! 僕がただ突っ立っているだけのカカシとでも思ったのかい?」


「ねぇ、どうしよう!? カジェちゃん! 何か手を打たないとどうにもできないよっ!?」

「うむ、今考えておるが……」


「ほら、もう一撃だっ!!」 ズォォォオオオッ

「――"守れ"っ!!」 ガキィンッ

「ふぅん、さっきより力を込めたが……思ったよりも固いんだな、それ」

「簡単に破られてたまるかよっ!! 人の意思ってものは、そう簡単に力に屈しない!!」

「……そうか、意思か。お前のそれはきっと強いものなんだろうな」

「……何が言いたいんだ?」

「お前の意思は確かに強い……しかし、それはたったお前1人分のものなんだろう?」

「それはいったいどういう――」

「ドゴンだーたちよ!! マンガー・フォースを用いてお前たちに強制する!! ゴーゴータイム、発動だぁっ!!」


「「「ウォォォオオオッ!!」」」


ドゴドンッ!!  ドゴドンッ!!  ドゴドゴドンッ!!

   カラカッ!!  カラカッ!! カラカラカァンッ!!

ドゴドンッ!!  ドゴドンッ!!  ドゴドゴドンッ!!

   カラカッ!!  カラカッ!! カラカラカァンッ!!


「なっ、なんだぁっ!? お客たち全員の目が火でもついたかのように赤く煌めいて、太鼓を叩いている者のプレイの気合は増し、バチを持っていない観戦客たちは手をグーに握って振り回し応援をしているっ!!」

「ふっ、これは『ゴーゴータイム』。ドゴンだーは『ゴーゴータイム』発動時、プレイ能力が飛躍的にアップする……そしてゲームスコアが上がれば上がるほど、ミスをせずに成功のコンボが繋がれば繋がるほどに僕の元に集まるマンガー・フォースは強いものとなる!!」 シュォォォオオオッ

「あれはっ!! 最音の頭上に、太鼓の鉄人の筐体の方から発生した黒い靄が集まって、まるで暗い雷雲でも作るように積もり、渦巻いていくっ!! そしてそれが次第に大きくなっていき、とうとうゲームセンター2階の天井を埋め尽くすほどになったぞっ!? これはマズいっ!!」

「そらっ!! 『ドゴンだ―』の執念の塊を、お前1人の意思とやらで止めてみやがれッ!!」 ズゾォォォオオオンッ!!

「なんとっ!! 天井からまるで巨大な氷柱が地上へと突き立つように襲ってくるッ!! ヨシタロウッ!! 早く言の葉をっ!!」

「分かってるッ!! ――"守れ"ぇぇぇェェェッ!!」 ガキィィィィィィンッ!!


ピシッ ピシッ


……パリィンッ!


「なっ! 破られ――」 ドゴォォォオオオンッ!!


「「「うわぁぁぁぁぁあああああっ!!」」」


「ぐぅっ! 間一髪、直撃は避けたが衝撃波が体に叩きつけられたっ!! 夏希っ!! カツジっ!! 大丈夫かっ!?」

「う……うんっ! 私は何とか大丈夫ッ!! カジェちゃんはっ!?」

「私も大丈夫だ! しかし、どうしたものかっ!! ヨシタロウの力でも防げないとなると、まずはあの『ゴーゴータイム』を止める必要があるが――」


「まぁ、僕がそれを許すわけがないよねッ!!」 ズゾォォォオオオンッ!!


「ッ!! 好太郎ッ!! 上だよッ!! また天井から黒い柱が突き立ってくる!!」

「うぉぉぉおおおッ!! ――"滑れ"ッ!!」 ツルッ


ズガァァァンッ


「うわっ!! 柱が地面に衝突した瞬間に、また衝撃波がっ!!」

「それ自体の威力は低いが、何度も受けてしまうとダメージが蓄積してしまうッ!! 対処法を考えねばッ!! ヨシタロウ、相手の攻撃を私たちにも地面にも当たらないように逸らすことはできんのか!?」

「ダメだッ!! 天上がそれほど高くないから、逸らすには距離が足りないんだっ!!」

「なにっ!?」


「ふっ、もう手詰まりかい? あれほど息巻いていたのにずいぶんと呆気ないじゃないか。よし、トドメに僕の最大の一撃を喰らわしてあげよう」 ゾゾゾゾゾッ


「あやつ、マンガー・フォースを一点に集め始めおった! このままではっ……!!」

「な、何か方法はないかなっ!?」

「クソぉ!! 何でもいいから、この状況を打破することのできるキッカケを作らないとっ。ポケットに何か入ってないか!?」 ゴソゴソっ


カツンッ


「ん……?」 ヒョイッ

「どうした、ヨシタロウ? こんな時にゲヘナのガスマスクの吸収缶などを取り出して」

「……なぁ、カツジ。そもそも何で吸収缶がゲームセンターの脇に置いてあったんだと思う……?」

「おぬし、何を今さら……? 『このゲームセンター内に自分が居る』という手掛かりを私たちに残すためだろう?」

「カツジ、考えてもみてくれ。俺たちはゲヘナちゃんの同僚に聞くまで吸収缶とは何かすら知らなかったんだぞ? そんなものを俺たちが見れば分かると思って表に置いておくか?」

「……つまり、この吸収缶は手掛かりを残すためにゲヘナが置いていったものではないということか?」

「多分な。ゲヘナちゃんは何か特別なことをするために、吸収缶を置いていったんだ。そしてそれは、恐らく最音が大人しく説得に応じなかった時のための保険として用意していったものに違いない」

「ヨシタロウ、そういえばあの最音とやらが言っていたな。『あの女は何やら抵抗力があったようで洗脳にやたらと時間が掛かった』と。ならば、もしかすると――」

「――ああ、今まさに太鼓の鉄人を狂ったようにプレイしているゲヘナちゃんの意識は、実は浅いところで眠っているだけかもしれない!!」


「さぁて、充填完了だ。お前たちを滅ぼしてこの世の中をドゴンだーだらけにしてやるぞ! ゆくゆくは全てが太鼓の鉄人で完結する世界にするのだっ! 世界No.1ゲームは太鼓の鉄人、通信機器も太鼓の鉄人型、インターネットだって太鼓の鉄人から発せられる音波を基盤としたワールドワイドウェブにしてみせるっ!!」


「カツジっ!! 夏希っ!! ゴニョゴニョ……」

「うむ、分かった!」

「うん! 頑張るよ!」

「よーしっ! じゃあ頼むぜ2人ともっ!」 ゴソゴソ


「お前ら1度ならず2度までも僕を無視しやがってっ!! 押しつぶしてやる!!」

「させるかっ!! 喰らえっ!! "勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)新古今(シンコキン)"!!」

「短冊が僕の四方へとっ!! しかし……問題ない!! マンガー・オーブからもらった情報にあったぞ。短冊に囲われた中にいると短歌のルールに沿って掛け声を行わない限り攻撃が無効化されてしまうという能力のハズ!! これは確か、この内側から出てしまえば何の問題も無いっ!!」ヒョイッ

「えぇいっ!」 ポイッ

「なんだ!? 茶髪の髪をした女が筐体に向かって何かを投げたぞっ!? しかし短冊に囲われた中から抜け出した僕はもうマンガー・フォースを使える!! その程度の物体を打ち落とすのは訳ないぞっ!!」 ズォォォオオオッ パシィンッ


――シュッ


「うん? 何か今僕の足元をすり抜けたような気が……」


「フフッ」 ニヤリ

「何を笑っている、ピンク髪の女……」

「貴様が宙で撃ち落としたのはガスマスクの少女、ゲヘナの持ち物である吸収缶だ。しかし、私たちが本当に届けたかったものはそれではないっ!!」


『――ゲヘナちゃんっ!! "目を覚ましてくれ"ッ!!』


「なっ!? 後ろから男の声がっ!! いやっ、男は今まさに僕の目の前に、上体を低くしてボウリングの玉を投げ終わったような姿勢で存在しているぞっ!? ……まさか、先ほど足元をすり抜けていったのはっ!!」

「そう、ドン・〇ホーテであらかじめ買ってあったボイスレコーダーだよ。この距離からじゃ声は届かないかもしれないが、最大音量で再生するように設定したボイスレコーダーをゲヘナちゃんの目の前まで滑らせれば、流石に聞こえるだろう!!」

「クゥゥゥウッ!! 小癪なぁっ!! しかし、その程度で完全に解けるほど、僕の洗脳は甘くは――」


ドゴドンッ!!  ドゴンッ!!  ドゴドゴドンッ!!

   カラカカッ!!  カラカッ!! カラカラカァンッ!!

ドゴンッドゴドンッ!!  ドゴドゴドンッ!!

   カカッ!!  カラカラカラカァンッ!!

ドゴンドゴドゴドゴドゴドゴッ!!

カラカラカラカカカカカカカッカァン!!


「なっ!? ドゴンだ―達の演奏が乱れて……っ!! 違う、あのガスマスク女が乱している……!?」


『しっぱぁ~いっ!! もう少し頑張るドゴンっ!!』


「し、失敗だとっ!! ゴ、ゴーゴータイムが切れてしまった!! ちくしょう、この僕の目の前で捨てゲーしやがって!! マナーも何もなっちゃいな――」


「――ようやく目が覚めたシュコ……感謝するでシュコよ、みんな」 シュコー シュコー

「ゲヘナちゃんっ!! 良かった!! 無事かっ!?」

「物凄く疲れているシュコが、何とか無事シュコよ! 迷惑かけたシュコ」

「ま、まさか本当にあんな一言で理性を取り戻したというのか……っ!? あれほど念入りに太鼓を叩かせて洗脳したというのに……!!」

「私だって何の策も無しに飛び込むほど無茶なことはしないシュコ……とはいっても結局捕まってしまっていたシュコから、偉そうなことは言えないシュコけどね……」 パカッ カチャカチャ

「ゲヘナちゃん……っ!? ガスマスクを外していったい何を……?」

「ふぅ……丸1日ガスマスクを被っていると流石に蒸れるわ……っと。それだけじゃなくて、私は吸収缶の代わりに、ガスマスクに仕込んでいたこれを取りたかったのよ」 ピラッ

「それは……何かの、紙?」

「いや、違うぞヨシタロウ。あれは――"詩"だっ!!」

「えぇっ!? 詩ぃっ!?」

「そう。これはウチの店長が無造作にデスクの上に放ってあった詩集とやらから1枚千切って拝借してきた詩。高度な文学作品をガスマスクの内側に入れて、呼吸と共に体内に入るマンガー・フォースを中和していたのよ!!」

「そんなことできるのかよっ!?」

「うむ……あるいは……」

「えぇいっ!! バカバカしいっ!! こうなったらガスマスクのお前を排除して、もう一度儀式場を再編する――」


「――『私の耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ』」

ここまでお読みいただきありがとうございます。


最後の詩ですが、ジャン・コクトーか堀口大學で検索すれば出てきますよっ!!

一目惚れした詩だったので、ぜひ作品内で使いたいと思ってました!


物語は次回に続きます、お楽しみください!


少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ブクマ・更新通知設定などよろしくお願いいたします(`・∀・´)


それでは!

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