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幼馴染の清き心

最近お仕事が忙しい・・・・・・

お昼休みに書き進めたいんだけど体力がなぁ・・・・・・


そんな近況は置いておき、2章3部です。

夏希ちゃんの本領発揮、な回です。

以降まだ少し2章が続きますん。

「アニメイト店長の背中に黒い(もや)が集中していく……!! そして次第に複数本の束となり、一本一本が生きた蛇のように蠢いている……!!」


「すまないな、少年。なるべくケガはさせたくなかったのだが、マンガー・オーブを一度でも破壊した君の存在は危険だ。まず戦闘不能にしてから、その後でマンガ中毒にさせてもらうよ」


「くっ……、負けるものか! そんな訳の分からん目的のために夏希は利用させない!! 第一、マンガ中毒っていったいどういった状態なんだ!!」


「ふふふ、私は油断はしない性格なんだ。君がどういった手段を用いて戦うかは分からないが、遠距離からチクチク攻撃して確実な勝利を収めさせてもらうよ。私はひ弱だからね。そして、マンガ中毒についてだったか? マンガ中毒とは定期的に新しいマンガを買わずにはいられなくなる中毒さ。買わないと、発作的にお気に入りのマンガの格言を叫び始めてしまうという恐ろしく恥ずかしい思いをすることになる」


「マンガを買うことを強制するの中毒だと……!? だが、それだとア○メイトで買う必要はないから、直接的なア○メイト秋葉原店舗の利益には結びつき辛いじゃないか!!」


「ああ、1つ付け足し忘れていたよ。マンガの購入は、私が張り巡らすマンガー・フォースの内側で行わなくてはならないんだ! 私は365日この店内に常駐している!!」


「さ、さんびゃく……休みは、休みはないと言うのかっ!?」


「休みなどないし、いらない……。これは誰に強制されるでもなく、私自身が自発的に行なっていること。ある日は店長として、ある日は客として、ある日は納入業者として、私は毎日アニメイト秋葉原店舗に通い詰めている!!」


「こ、こいつ……化け物か……!?」


「化け物ではない……俺は戦士だ。ア○メイト秋葉原店舗という王国を守るため、この身を剣として振るい続ける王戦士(ベオウルフ)さ」


「何が王戦士(ベオウルフ)だカッコつけやがって! 大体どんなに取り(つくろ)たって、あんたがやろうとしていることはただのマンガの押し売りだ! 自分たちの売り上げのためにお客を犠牲にするなんて間違ってる!! お客が魂の抜け切った顔で買い物をしていく姿が、あんたが望んだ光景なのかっ!?」


「ふむ……、君の言葉は心に良く響くな……」

「ならっ!!」


「ーーしかし、その葛藤(かっとう)はすでに振り切っているのだよ」


「そんな……いったいなぜだ!?」


「ーー私は決めたんだ。私たちの利益を最優先すると。私が、スタッフが、幸せに過ごせるア○メイト秋葉原店にするのだとっ!!」


「くそっ、なんて強固な意志を持った瞳をしているんだ……!!」


「お喋りが過ぎたようだ……。そろそろ戦いを始めよう……とは言っても、これから始まるのは一方的な蹂躙(じゅうりん)だがねっ!!」 ズォォォオオオッ


「くっ!! ゲヘナちゃんの時と同じ、束になった黒い靄が鞭のようにしなって襲いかかってくる!! ーー守れっ!!」 ガキィンッ


「ほほう、君の力は放たれた言葉を現実にするのか。であれば遠距離から攻めても、攻撃が当たる前に防御されてしまうな。それではこういった手段を取らせてもらおう」 グイッ


「お前!! 夏希を自分の前に引き寄せて何をするつもりだっ!!」


「ある程度想像はつくんじゃないかな? ーー君が次、私の攻撃に合わせて言葉を発したら、私はこの女の子を攻撃する」


「っ!! 卑怯だぞ!!」


「目標の達成のためには何でもする。やると決めたことには躊躇(ちゅうちょ)しない。例えそれが卑怯であり、世間から悪だと非難されようとも!!」


「くそっ、いったいどうすれば!!」


「ふははははははぁっ!!! 悩み苦しむがいい少年よぉっ!! 私の言うことを聞かなければ彼女は傷つくぞ!! だが彼女が傷つかない道を選んだとしても、結局マンガ中毒にはされるのだ!! 君にはその二者択一しか与えられていないっ!!」


「ぐぅ……!!」


「さぁ決めろ!! 私は悪を遂行するっ!! 集まれ我がマンガーフォースよっ!! この少年に最大最強の一撃をお見舞いするのだぁっ!!」 シュォォォォォオ!!


「くそっ、マンガー・フォースが店長の頭の上にかざした手のひらの中心に渦巻くように集まって高速回転をしている!! 俺だけじゃないっ!! あれは夏希までをも巻き込んでしまうっ!!」


「ははぁっ!! 凝縮だぁっ!! さらに威力を高めるのだぁっ!!」 ギュロロロロッ!!


「夏希っ!! "目を覚ましてくれ"!!」


「 ……ピクッ」


「無駄だぁっ!! このオーブがある限り、洗脳は解けはしないっ!! この一撃をくらい、お前もマンガ中毒になるがいいっ!!」 ズォォォオオオッ!




「――"目を覚ませ"っ!! 夏希ぃーっ!!」




「はははぁっ!! 無駄な叫びだ――



「せィヤァァァアッ!!!」 スパァァァンッ!!!



 ――ぶふぉおぅっ!?」




「夏希が……ハイキックをっ!?」




「あィヤァァァアっ!!」 ドドドドドドッ!!

「ゲゲゲゲゲゲゲフゥッ!!」


「さらにボディを連打するっ!!」


「っぜぇぇぇいっ!!」 スドォォォンッ!!

「アガァッ!!」 フワッ


「たまらず店長が後ろによろめき上を向いたアゴを、下から後ろ上段蹴りで突き上げたっ!! 店長が空中に浮いている!!」


「ッラーイッ!!」 スパァァァンッ

「ヒエッィ」 グラッ


「着地寸前の店長の足を下段回し蹴りで払った!! 2本の脚という支えを失った店長はもはや地面に倒れるしかないっ!!」


「スィッ――」


「っ!! 頭の上まで脚を振り上げピタリと止まるあの構えはっ――」


「っしゃぁぁぁあいっ!!」 ――ッドガァァァンッ!!


「ーーかかと落としだぁっ!!!」




「オッス!!!」


「店長はもうピクリともしないっ!! 死んだのかっ!?」

「――大丈夫、手加減はしたからっ!」

「あれでっ!? でも、本当に良かった、夏希が洗脳から目を覚ましてくれて……」

「洗脳……? うーん、何だかよく分からないけど……」

「そうだっ! ケガはないのかっ!?」 ニギッ

「わっ! う、うん、多分大丈夫」

「そっかそっか、本当に良かったっ!!」 ニギニギ フリフリッ

「ちょ、ちょっと好太郎! 子どもじゃないんだから、そんなに手を上下に振るなって!」




「――我を放置してイチャコラとは、随分と低く見られたものだな――」


「わっ!? 今度は何っ!?」

「この声はっ! マンガー・オーブだなっ!?」


「――その通り、我のことを一瞬で看破するとは、本当に貴様が我が同胞を屠った人間で間違いないようだな――」


「何あれっ!? 丸くて黒い球が宙に浮いてる!」

「気を付けて夏希!」


「――ふんっ! 遅いっ!――」 スィッ


「うわっ! 黒い球がくっついてくる!」


「――我が特性は洗脳。先程は外からの雑な洗脳だったがこんかいは違う! この夏希とやらの心の闇につけ入り、内部からより深い洗脳を施してやる!――」


「くそっ!! 夏希から離れろっ!!」


「――貴様はそこで指でも咥えて見ているがいい! この女が我が下僕としてこの街を荒らし回す姿をなぁっ!!――」


「やめろぉぉぉっ!!!」




「えっ、えっと、なにっ? 何か起こってるの?」




「えっ?」


「――何故だ……――」


「「えっ?」」


「――誰にでもあるはずの闇がこの女には無い! いったいどういうことだっ!!――」


「えっと……どういうことだ?」


「――普通人間には自分と誰かを比較していく内に、妬みやコンプレックスなどが生まれ、それが心の中の闇を生み出していくものなのだ! なのに、この女にはその闇がない! まさか1つとしてネガティブな感情を持っていないとでも言うのか!! こんなに恐ろしい顔をしておきながら、自分の顔を平均以上だとでも思っているのk――」 ガシィッ


「――ねぇ、好太郎。この丸いのって壊してもいいんだよね?」

「え、あ、うん」




「ッチェストォォォおおおっ!!!!」 ――パキィンッ!!


「――ばかなぁぁぁぁぁぁぁぁああああああっ……――」


 ――シュンッ





 2つに割れたオーブが床へと落ちる。

 その音は、息を飲んだような静寂に包まれているア○メイト店内1階に響き渡った。


 シャッターの降ろされたそのフロアで起こった出来事はあまりにも現実離れしており、誰もがたった今目にした光景を、夢か現かの心境で受け止めていた。

 しかし現実に、目の前には床にめり込むように倒れふす店長、その店長と対峙していた少年、そして暴虐の風を吹き荒らした少女が存在しており、自然と視線はこの3人を行ったり来たりしている。


 そんな注目を集める内の1人、夏希は、割れたオーブへ酷く冷たい目線を向けて「フゥー……」と威嚇をする猫を思わせるような、あるいは歴戦の猛者の息吹を思わせるような、低く長い声を残して殺気立っていた。


「な、夏希……? 大丈夫……?」

「あ゛? あぁうん。大丈夫だよ? なんで?」


 なんで? という言葉に答える勇気のなかった好太郎は、お茶を濁す選択をする。


「い、いや別に……。もういい時間になるし、帰ろうか?」

「あー、うん……うん。そうだね、そうしよっか」


 夏希は納得したような、してないような表情を見せたが、好太郎の提案に乗る。


「シャッターは? 私壊そうか?」

「いやいやいや、普通に開けようっ!?」


 2人はシャッターを開けて、静かなア○メイト秋葉原店から出る。

 好太郎は、これから店長がどうなるのか、ア○メイト秋葉原店がどうなるのか、店長を散々叩きのめした夏希がどう扱われるのかといったところからは、今現在目を背けることにする。

 もし後日警察なんかが家に来たら、その時に全力で正当防衛を主張すればいいや、と半ば疲れ気味な判断を下した。







 電車での帰り途中、思い出したように夏希は尋ねた。


「ところで好太郎はあの丸いのが何か知ってたみたいだけど、あれって何なの?」

「んーと、あれは……」

「あれは?」

「……家に着いてから話すよ。だから、ちょっとだけ寄ってもらっていい?」


 好太郎は、カッジェに特に口止めはされていないものの、うまく説明できる気もしなかったためそう返す。しかしそう返事をしてから、今日の出来事をカッジェに説明するのも大変そうだな、と好太郎は少しだけ気を重くしたのだった。

夏希ちゃんは強い子だったんです!!

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