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 私、元トップアイドルで今は勇者様専属魔法使いマリル!




 マリル・ラナ・ローレイズ!




 勇者様の事が大・大・大好きな、ぴっちぴちの16歳!!




 この世界では、最近やっと成人したばっかりなんだ!




 成人の義は勇者様と一緒に旅をしてるから、出来てないんだけどね。




 ちょっぴりドジだし、魔法もたまに失敗しちゃうけど、アイドルなんてしてたからかな?


 何時どんな時でもメゲない所が取り柄なの!




 ただ私、本来は性格的に案外恥ずかしがり屋だし内向的だし引っ込み思案な方なのよね。




 勇者様と一緒に旅するなら色んな立場の方に会う機会があるだろうし、勇者様の隣に常に立つ為には、内気で引っ込み思案なままじゃ礼儀作法的にも駄目だと思ってはいるから、そういうマイナスになるような短所は早め早めに直さなくっちゃいけないよね。とは思っているの。




 こういったような勇者様と一緒に居る為の課題が実は他にも沢山あって困っちゃう。




 例えばね……。




 って、まだ話してる途中なのになに??


 アイドルだったってのもよく解んないけど、元トップアイドルって肩書きがついてるのってどういう事かって??


 それ、この話の後じゃ駄目?


 え?長くなりそうでめんどくさい??


 そんな事いわないで聞いてくれてもいいのに……。




 まぁ、いいや。あんまり面白い話でもないんだけど……。


 アイドルって最近グループが主流で、私みたいなソロアイドルってもう絶滅してるようなもんなんだよね……。

 

 うん?アイドルっていうのがなんなのかどんなのか分かんない??

 

 ……ううーん……。

 

 歌って踊って可愛くて人気者!みたいな職業だと思ってくれればいいよ。



 まぁそのアイドルって職業なんだけど、今一般的なのはグループに所属してる上でソロしてたり、グループと同プロジェクトの中でソロしてたりっていうのがここ最近の主流になるんだけど、よその事務所はともかく私の所属してた事務所はさ、アイドルなんて手がけてないから、アイドル自体が一人も居なくて、アイドルになったのもソロで売出したのも私が初なのよね。


 知識なんて全く0のまっさらな状態からアイドルし出したって訳なのよ。


 違うか。同じ事務所に私しかアイドルになりたい人が居なかったから、必然的にソロアイドルで知識なしになっちゃったのよね。が正しいのかしら?


 どっちだって、なんだっていいんだけど。




 っていうのもさ、うちの事務所でアイドルになりたいって私の我侭聞いてくれたのは、私のモデル時代からの専属マネージャーで、そのマネージャーが社長に掛け合ってくれたり色々してくれたのよ。




 『いけそうな気がするので掛け合ってみましょう!』




 って。前例がないから試行錯誤だった筈なのに、私なんかが物凄く売れたのは、マネージャーの売り出し方が素晴らしく良かったんだと思う。




 うちの事務所大きいのに家族経営っぽくて、上に気に入られないとお仕事に関しては全然優遇してもらえない超依怙贔屓な事務所なんだから!


 社長と会った事も無い私なんて、モデル程度ならともかく、アイドルになってもそこそこ小さなステージだけで終わって、大してテレビにも出れないままぽしゃんだろうなぁとか色々思ってたんだけど、まさかのマネージャーが敏腕だったりしちゃったからそれはもう……。


 そのマネージャーってのがさぁ……。




 ん?


 そこの説明はもういいからこっちに来るきっかけになった説明はまだか?って??


 なんか質問ばっかでめんどくさいなぁ。


 さっき元トップアイドルなのはどうしてなのかって聞きたいって言ってたのに、まさか説明途中でぶった切られるなんて。




うーん、その辺りは説明したくても長くなっちゃうから、さっきの話もちょびっと含めて出来るだけ割愛して簡単に話すね。




 私、地球っていう星の日本っていう国の愛知県ってとこの出身なんだよね。



 ちょっと事情があって中学から東京住んでたんだけど、その時有名プロダクションノスカウトマンに熱心にスカウトされて、モデルやってみて、なんだか人気になっちゃったから雑誌に載りまくってた時期があるんだ。




 その時に事務所がつけてくれたマネージャーが、そのままアイドルしてた頃のマネージャーになってくれた訳だけど。




そのマネージャーがアイドル目指す前、モデルとしてもっと大きく広く活躍する為に色々私にさせたくて社長に掛け合ったみたいでさ、事務所から某有名芸能人学校のトレイトコースを薦められたのよね。


そこまで通いたかった訳でもないけど、とりあえず祖父母に相談したら、紆余曲折あったもののOKだったから中学卒業後通ってみたんだ。




 それで芸能人のお友達もほどほど程度に出来て、

 なんとなく周りと同じように、学校外でもそれまで以上に毎日ダンスやらボイトレやらのレッスン受けまくって、

 アイドルって案外楽しそうだなぁと思いはじめて……。


 事務所に話す前に筋としてというかただ単に嫌でも顔合わせるからというかでマネージャーに、


 タレントよりアイドルやりたい!


 って我侭言ったら、マネージャーが意外と乗り気で動いてくれたからアイドルになれちゃって、

 あれよあれよと言う間に物凄い人気出ちゃったんだよね。


 気がついたら歌とかオリコン常連になっちゃってたのはちょっとこれって色々とチョロすぎるんじゃあ……って正直思ったりもしたかなぁ。




 そこから物凄い忙しくて。




 ブレイク後すぐから、ずっと沢山の場所に出ずっぱりで、

 テレビ局に嫌という程呼ばれたり、CMに器用されて企業の主催イベント等に参加したり、レッスンとかも継続して続けてたからトレーニングや美容関係とかも含めてどう生活してたんだ?ってくらい忙しくしてた私だけど、今年ちょっとした伏目でさ、

 恒例の全国ツアーする事が決まった辺りからちょっと仕事セーブしはじめて、今まで忙しすぎたからツアー後は久しぶりにお休み貰ったらどうだって事務所から話があったのよ。




 うちの事務所、大手だけど有名になる為の手助け的な事はお気に入りか身内優先でも、売れてる売れてないに拘らず一人一人に体調面だけは色々気を使ってくれるところだけはちゃんとあって、なんだかんだで結構優しい事務所ではあったんだ。




 マネージャー曰く、


 『彼女の踏ん張りどころはもう通過したし、身体や心が壊れる前にしっかり休みも入れてリフレッシュ期間を設けてあげて。

 これからも頑張って欲しいから、不定期でも決まったお休みを作って良いし、寧ろしっかりと休みも取らせてやってくれ。

 と事務所が言い出し、年間この日数は休めるように仕事を調整する事を約束させられました。

 こういう仕事でこういった制限が出来てしまうのは正直迷惑です。』


って物凄く渋い顔して言ってたっけ。




 どんな大手事務所でも、結構所属してる人間を酷使するトコ多いし、そこつくとほんと使い物にならなくなるまで使い倒すって事をしないのは本気でありがたいなって思うんだけどね。




 ちなみに私の専属マネージャーが渋い顔してた理由は、専属マネージャーという仕事っていうのが、自分の管理する人間であるアイドル等の売り込み具合や、アイドルである私の仕事の成果なんかでお給料決まるっぽいって部分でなんだよね。




 とにかく自分の担当してる人間が今後どうなっていくのか先々の事も考えながら、新しいことにも挑戦しまくって貰って、色んな分野で仕事しまくって貰わないと自分の給料と評価に響くからね。




 私が働けば働くほど、自分が担当した人間を売り込めば売り込むほど、お給料はうなぎのぼりで評価もあがるから、休んでる暇があったら働いて欲しいって思ってるんだよね、マネージャーは。



 私にそうしてもらわなきゃいけなかったみたいだし。

 

 まぁ、そう直接言われたわけじゃないけど、その根拠に実家が色々と厳しい幼馴染と結婚したいから、なんとか今の仕事で認めてもらう為に、普通以上に仕事ぶりを認められて稼がないと、ときらりと光る眼鏡をクイクイ指で直しながら独り言で言ってたから。

 わざわざ独り言なんで聞かなくていいですがとか言いながらね!




 書くまでもないけど、芸能界やアイドル界等って結構シビアで厳しいトコだから、自分の担当してるアイドルの仕事が万が一売れなくなって廃れてしまっても給料に響くっていったじゃない?

 もし売れなくなった場合も他分野でなんとか売り込んで少しでも仕事取れる様に頑張らないと、マネージャーもろとも簡単に一連托生ですぐ給料も評価も下がってあっという間に簡単に干されて忘れられちゃうから、トップアイドルだという価値だけじゃ意味ないし、その後に続けられる何かをアイドルにやってもらわなきゃ何のビジョンもなくただ頑張るだけじゃ共倒れちゃうんだよね。




 アイドルなんて寿命短いし、出来れば女優にでもなってくれて、仕事があんまり来なくなっても大丈夫にしてくれないと本当にマネージャーまでもが死活問題みたい。




ただ私の専属マネージャー、結構強気だし、がめついし、媚び得るの上手だから私のマネージャーじゃなくたって誰かに取り入ってどんどん偉くなって、食いっぱぐれる事なんて絶対に無いと思うんだけどね。




 それに、見捨てることはしないだろうけど、私が潰れても違う人間の担当や仕事も片手間に手伝う程度、今のうちになっておけば大丈夫だろうし、

 いや、それ以前に私が消えても実際私の代わりなんていっぱいいるだろうし本当は困らないはずんだけどそこは打算もあるわよね……。

 


 そういうふてぶてしい性格に加えて、担当した人間をある程度見捨てない姿勢というか一蓮托生精神も多少なきゃ、芸能界なんて世界、アイドルに限らずマネージャー側も生き抜けてけないから。




 簡単に担当した相手を捨てれる人なんて、ただでさえ信用のないこの世界でなおさら信用失うだけだから。


 そこにあるのは打算でも何でもいいんだよね。



 あのマネージャー、ホントこの仕事合ってるわ。



 芸能人学校で確かに友達出来たけど、どんなに友達だと思ってたって親友にはなれない人たちの集まりだったり、好敵手ライバルは沢山できるけど、心許せる人なんて色んな意味でまず作っちゃいけないし、普段の生活面なんてプライベートも殆ど無いようなもんだし、なんだかんだで華やかに見える割に蹴落とし合いも凄まじいから精神的負担半端ない仕事じゃない?


 身近にいるマネージャーは同じ事務所で同じ同志な訳よ。

 

 どこのだれも信用できなくてもマネージャーは色んな意味を含めて信用できるって訳だけどアイドル以上にアイドルに仕事を与えるマネージャーは、まともな精神じゃやってけないわよ。




 つまりはマネージャーも私もどっかまともじゃないって訳。


 

 うん、話せば話す程やっぱ向いてる。




 でまぁ、そんなことはどうでもいいんだけど、仕事の忙しかった私は丁度纏まった休みが出来たから、どこに行こうと思案してた訳。


 でもさぁ、よく考えなくてもココロ許せる友達はいないんだから行くとこなんてないし、

 事務所は女優になって欲しいみたいだけど、私には興味ないお話だから大御所や大手テレビ局のとこに挨拶まわりとかしたくないし、しないつもりでいたし、

 仕事の休みに仕事関連の人に会いたくもないし、

 しょうがないから愛知県の実家につかの間の里帰りする事にしたんだ。




 さっきも話したけどアイドルって寿命あるし、女優に進むなりなんなりしなくちゃ辞めた時仕事探すのも、有名になっちゃってる分難しいのは解ってるんだけどね。




 それでも、それが解ってても、今は次のステップに行きたくないし、何かを始めるつもりもないし、アイドル以外の仕事をやりたくなかったんだ。


 ポジションが空いてたところで、モデルに戻るのもなんだしね……。




 この時の私って本気でめまぐるしく数年は忙しかったし。親に会うのも地元に帰るのも久しぶり過ぎて、そんな先々の事を考えるより、やたらと懐かしい気持ちが溢れまくっちゃってたのよね。 




 帰った当日も有名な分あれこれ気にしてずーっと家に篭ってたらもう我慢できなくなってきて、限界が来た頃に出歩きたくなったのが遅くってさ。

 



 帰宅後深夜三時ごろだったのよ。




 帰宅が夜10時だったから全然我慢してないって思うでしょ?




 でもさ、私みたいにじっとしてない人がよくもったよ!


 うじうじ悩むのも大嫌いなのに。


 そもそも昼夜関係なくずっと忙しかった私には、朝とか夜とか関係ないし、元々の性分も相まって起きてるのに篭りきりは無理なのよ。




 そんなこんなで、トップアイドルが一人で外出っていう危険度を差し引いても深夜三時とかうら若い女性が一人歩きって時点で、アイドル関係なく十分危険じゃない?


 こんな田舎じゃ、そんな心配する必要もないかも知んないけどさ。




 そうじゃなくたって普段から尾行やらなんやらも怖いし、もし頭のおかしいファンがどこかで屯って居座ってても怖いから、、なんとなく狭い裏口からこっそり家を出て、サングラスして真っ黒なフード被って顔をしっかり隠して、護身用のスタンガン持って、近所にある小学校の真横の神社の通りの楠木見に行ったのよ。




 何故、楠木を見に行くのかって?




 私昔から思い立ったら行動しないと気が済まないタイプなの。


 出かけたい!と思ったら出かけたいし、仕事したい!と思ったら仕事したいし、アイドルやりたいって思ったらアイドルやりたいの!


 人生は一度きりなんだからどうせ後悔するなら行動起こして後悔したいのよね。


 だから楠木みたい!って思ったら思った瞬間に楠木見に行きたいわけ。


 だから見に行くの。




 まぁ、こんくらい行動力あったりしないとアイドルなんて職業はやってられないんだけどね。




 アイドルって、やりたくて出来る職業じゃないんだけど、私の場合は内気で引っ込み思案な割りに案外行動力だけは人並みにあったし、東京上京して結構運が良くモデルになって学校にも通えてアイドルになれた上に、更にトップまで来れちゃったわけだから勢いも人並みにあるんだろうし、動こうと思う気持ちって大切だと思うんですよ。



 ひとつ困る事があるとしたら、深夜っていうとコンビニくらいしか開いてないじゃない?


 ましてやうちなんて、名古屋に近い癖に田んぼが広がってるわバスも朝2回、昼1回、夜2回しか通ってないような辺鄙な場所だしで、どこ行くって神社か寺か田んぼの畦道しか無い訳よ。




 コンビニも一応近所には出来たけど、万が一こんな場所まで追っかけてきてるファンや記者がいるとして、どっちに出くわしてもメンドクサイだろうし、オフの日くらい気を使いたくないじゃない?




 いや、記者はともかくファンは大事だし大好きよ?




 でも危ない人やおかしい人も居て、おかしな行動されたり危ない目にもあった事も何度もあるから、いずれにしてもこんな場所まで着いて来るって事は一応警戒した方がいいと思って妥当だと思ってるんだよね。




 だからって訳じゃないけど、ちょっと特殊な道を通って子供の頃よく遊んだ神社に行く事にしたんだよね。


 特殊っていうか普通の道歩くんじゃなくて、池のギリギリ歩ける道を抜けて竹やぶ越えて補正されてない木が生い茂ったクモの巣の張ったような道じゃない道通っていくだけなんだけどね。




 東京のアイドル仲間がクモの巣まみれの私見たら驚くだろうな。


 皆綺麗好きだもの。


 私は昆虫や、草花と幼少期過ごしてきてるから全っ然キニシナイ!




  問題の楠木はうちからそう遠くない小学校の真横に御神木として祭られてるの。




 小学校の真横に平行するように安産水の井戸があって道の奥には神社があるんだけど結構誰も来ないのよね。


 私、子供の頃から、この神社の御神木になってる楠木が大好きで、何か嫌な事があったり困った事があったり悲しいことがある度にこの楠木を見に来てたんだ。




なんでも相談できるし、どんな話だって話せる場所で話せる木で、木なのに私の一番の心の拠り所である意味人間以外だけど一番の親友。




 楠木のある場所に到着すると、安産水の奥のフェンスのない場所を通って中に入って、楠木にそっともたれかかったの。


本来この木には触れてもだめだし、中に入っちゃってもダメなんだけどね。




 でもね、私は昔からこの木が好きすぎて、大好きすぎて、不謹慎とわかっていながらも登って遠くを眺めたり、それを見た知らないおじさんに叱られまくったり、入るだけで罰当たりと怒られたりしてたんだ。


 美術の自由絵画の時間なんていつもこの木を描いてたんだよ。


 何もかも全てを包み込むように大きなこの木が、なんだかとても身近で、どこに居ても私を見守っていてくれてる気がして、その親愛を少しでも返したくて、そんな思い込みで心を込めて書描いてたっけ。




 大人になって登ったり葉っぱ取ったりフェンス越えたりはしなくなって、ただ網目にあるフェンスの外側からしか眺めなくなったけど、どうしても触れて落ち着きたい衝動に駆られる事は何度もあったのをいつも我慢してたなぁ。




 今日、私がフェンスの中に入ったのは、言い訳かもしれないけどアイドルになってトップまで登りつめた上に今まで頑張ってきたんだし、今は深夜で本当の意味で誰も見てないだろうし、童心に帰ったと思ってちょっとくらいいいよね?と心の中で色々言い訳を考えているうちに、気がつくと中に入っちゃってたの。




 入っちゃったもんは開き直ろうと思うのは、たまには悪い事じゃないと思う。


 いや、悪い事なんだけどね。




 私はしんみりとした気持ちになって、この木に東京に出てからトップアイドルになるまでの話をぽつりぽつりと楠木に話してみたんだ。




 沢山話して、めまぐるしく過ごした日々を思い出して、何故か段々涙が込み上げてきて、止まらなくなった頃に楠木の葉っぱからどんどん光がこぼれ出して、そして気がついたらこの世界に来てたんだ。




 なに?ここ??どこなの??状態だったからホントびっくりしたわ。しかもなんか身体も小さく軽くなってるし、年齢だって解らない状態だったけどどうも若返ってるみたいで。




 何にせよ実際若返ってた私は、この世界でも紆余曲折日本に居た頃の年齢に着々と近づいてきてるって訳なのよね。




そうそう、すっかり自分の話しばっかりしてたけどさっき冒頭で話した勇者様についても話さなくちゃね。




 勇者様っていうのはね、アルディ・リオ・クライン様19歳の事。




王国の伝説の聖剣に選ばれて魔王討伐に向かう、夕闇色の髪と瞳のとってもとってもとーーーーってもカッコ良い、私の、私だけの愛しの勇者様なの!




 なんと、1000年前に猛威を振るった古いにしえの魔王を倒しにいくんですって!


 今も猛威を振るってるかどうかなんて全く知らないけどそんな些細な事どうだっていいわよね!




 最初はどこの中二病だよって心の中で突っ込んでたけど、顔立ちも雰囲気も性格も私の()に流れ込んできてすっかり好きになってしまったの。




 流れ込んできたのは私の能力のひとつなんだけど、そのうち話すことになりそうだし省略するわ!




 勇者様についてなんだけど、薄茶のマントがこんなに似合う人も少ないと思うの!


 というか恐らくシンプルな落ち着いた色のマントならこの人以上に似合う人って会った事無いかも。


 赤や白、青も似合いそうだからマント全般似合うっていっても過言ではないわね!




 容姿も喋り方も今まで共演したり知り合ったりした男性の中で抜きん出て私の好みなのが、またたまんない。


 程よく筋肉質なスラリと長い手足に、涼やかで円らな瞳。


 童顔な顔に甘い微笑を見てると心に桜が舞い散る様な気持ちにさせられるし、剣を操って魔物を倒している姿はまるで剣舞を見ているようで、手や指先なんて男性と思えないほど繊細で、ほのかに清潔な香りがするし、肌なんて滑らかなカスタードのようなんだよ!無駄毛なんてどこにも見当たらないのは何故なの!?




 勇者様自身、色白とはいえないけれど、黄色人種にしては色白なんじゃないかなぁ?と思う。




 無口だけど気配り上手で優しいし、キラキラした純粋な瞳で見つめられると変な声が出ちゃうし、何よりドキドキが止まらなくなっちゃう!!雰囲気が不思議で何考えてるか解んないとこがますます魅力的!




 私、マリルは勇者様の話なら四六時中語り明かせるレベルで誰とでもお話できるしお話したい程好きです!


 アイドル好きのファンの方の気持ちって少し謎だったけど、今なら物凄く、痛いくらい解るわ!


 ヤバいの。


 もうほんと、なんでもいいから尽くしたいし応援したいの!


 側にいて、なんでもかんでも支えてあげたいの!!


 望むなら何でも出来るし何でもしてあげたい。させて欲しい。寧ろさせてくれ。っていうか頼まれなくても勝手にやる!って思いまくらされるの!!!




 もうほんと暇さえあれば、どれ程私が勇者様を敬愛しているのか人に聞いてもらいたいし、勇者様の魅力を喋り倒したいし、勇者様が今日一日どうしてたのかお話したい!!


 

 考えたら収まり聞かなくなってきた…




 ほんとどっかに落ちてないかしら!私の勇者様愛を延々と聞き続けてくれるようなお友達!魔法使いマリルは、そんな素敵な友達募集してます!




 え?そんな友達ができて、その友達が勇者様と仲良くなったら嫉妬しないかって?




 しますよ!!!


 そりゃします!


 しまくりですよ!!!


 なんなら殺意が芽生えるかもですよ!!




 けどでも、それでもこの溢れんばかりの気持ちを共有したいし、勇者様を大好きだと言う方に悪い人なんて、絶対絶対いないと断言できます!!!!




 っていうか、私達のラブラブになる予定の冒険のお話、出来れば沢山の人に知ってもらいたいな!!と思ってる頃合いだし、同士も仲間も大大大募集し出しちゃおうかしら……。




 勇者様と行動するようになってから、何故か仲間だった人たちがどんどん居なくなっちゃったからほんと話せる人がいないのよね。


 だからって新しい仲間がどんなに仲良くなったって私の勇者様は誰にもあげられないけどね!!




 今日はどんなお姿を私に見せてくれるのかしら。


 私は今日も勇者様にメロメロメロリンキュンキュンキュンです!




 見ているだけで幸せだから、好きになってもらおうとか好きになって欲しいなんてこれっぽっちも思ってないけど、望んでもいいならいつか私の事を好きにになりますように。




願わくばいつかラブラブに!!!


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