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水晶の炎

 丘から聞こえてくる美しい歌に、娘はたきぎを集める手を止めました。



 太陽は西にかたむき、空はまっかに燃えています。丘の方から時おりひびくその歌を、町に住む人びとは魔物が歌っているのだと言い、聞こえてくるたびに耳をふさぎ、家にとじこもりました。


 けれど娘は、おそれませんでした。親切な妖精が歌っているのだと思っていたのです。


 みなしごである娘に町の人たちはつらく当たり、娘はよく、かくれてこっそりと泣きました。そんな時に聞こえてくる歌は、『元気を出して』と言っているようで、聞いていると、胸の奥があたたかくなり、いつしか涙もかわくのでした。


 今日も歌が終わった時、娘の胸ははればれとしていました。「ありがとう」とささやくと、娘は歩きだしました。


 町外れにある家にもどると、くずれそうな小屋の前に、町の人びとが立っています。もどってきた娘を、みんなはにらみつけました。



「魔物の歌を聞きに行ったんだな。丘の魔物に、わたしたちの悪口を言っていたのか」


「そんなこと、していません」


「ならどうして、家でじっとしていないんだ。おまえはいつだって、みんなとちがったことをする。みんなきちんとくらしているんだ。この町にふさわしくない者を、置いておくわけにはいかない。すぐに出て行くが良い」



 娘は町から追い出されました。涙があとからあとから流れて、道にぱたぱたと落ちました。たった一人でこれから、どうすれば良いのでしょう。


 もう夜です。あたりは暗くなり、どこからか、けものの吠える声がします。その時、丘から歌がひびき始めました。



「丘へ行こう。これからどうなるにしても、今までのお礼を妖精に言いたい」



 娘は丘を登りはじめました。月は足元をてらし、すんだ歌声は娘を勇気づけるように、やさしく力強くひびくのでした。


 ひと足ひと足進んで、やがてたどりついた丘の上で、娘はきらきら光る意志でできた洞窟を見つけました。そこには一人の少年がいて、星のようにかがやくひとみで娘を見つめていました。



「やっと来てくれたね」


「わたしを知っているの? あなたはだれ」


「ぼくはここで、水晶を育てている」



 少年は、洞窟の中に娘を案内しました。中は水晶でうめつくされ、まばゆくかがやいていました。石の中にはどれも、やわらかな炎がゆらめいています。



「この場所はだれでも知っている。けれど来る者は少ない。


 水晶をおそれずに見る者も。これは月と星と太陽のしずくから生まれる水晶。人の思いを集めて育つ。見る者はだから、自分の心を見ることになる」


「心?」


「みんなが持っていて、見たくないもの。きれいだと思いたがり、かくそうとするもの。ごらん。これは君の心が育てた水晶」



 少年はかべにある、ばら色の水晶をしめしました。娘がふれると水晶はぽろりと落ちて、手の中におさまりました。


 かがやきの中に、暗いかげりがありました。なげきやさけび、うらみの声が、するどい火のとげになって指をさし、娘はそのいたみに水晶を落としそうになりました。その時ふいに、やさしい歌がひびきました。底の方に沈んでいたそれは、お父さんの笑い声と、お母さんのキスでした。



「あなただったの。わたしが泣いていた時、歌ってくれたのは。


 だからさびしくなかったのね。


 歌の中に、お父さんとお母さんがいたんだわ。ずっとお礼が言いたかったの。ありがとう、水晶さん」



 いたみをこらえて娘が言うと、手の中の石がぱっともえあがって消えました。思わずあっとさけぶと、少年が言いました。



「消えてはいないよ。君の中で炎になった」



 娘は、歌が消えていないことに気がつきました。水晶は炎になり、胸のおくにともっいました。そうして歌は泉のようにそこからあふれ、娘を内がわからあたためていました。



「その炎は君をあたため、飢えやかわきから守るだろう。君がおそれずに胸にやどしたから。


 もしおそれて落としていたら、君も水晶も消えていたよ。


 さあ、これで君はもう、どこへでも行ける。でも今は、少しねむって」



 娘はそこで一晩をすごしました。朝になり、目をさますと、洞窟も少年も消えていて、娘は一人でした。けれども胸のおくに、炎はまだもえており、歌も続いているのでした。


 朝日が世界をてらしました。顔を上げると、娘は新しい一歩を踏み出しました。





*  *  *





『ルビーレッドのローズヒップジャム』


材料


ローズヒップ 50グラム

砂糖 30グラム

水 適量

レモン汁 1/2個分ぐらい



作り方


1.ローズヒップをひたひたの水に浸して一晩おく

2.砂糖を入れ弱火で柔らかく煮る

3.ときどきかき混ぜ、水気が減ってきたら水を足し調節する

4.柔らかくなったら水っぽいなと思うくらいで火を止める

5.レモン汁を加えてよく混ぜる


パンやクラッカーにぬるだけでなく、少量をお湯で溶かしてお茶にしても美味しい。


お茶として飲んだローズヒップの、飲み残しのやわらかくなっているものに、砂糖とレモン汁を加えてぐるぐる混ぜて、レンジでチンしても即席ジャムになります。



次に載せるのは、レシピを見せたら、妹にえらい怒られたスープ。


『愛と勇気のミネストローネ』


材料


マカロニかショートパスタ 気合いでつかめ!

野菜 にんじんや、たまねぎなど 適当に!

ホールトマト ごっそりと!

ベーコン それなりに!

塩、コショウ 雰囲気で!

オリーブオイル 重要です!

ニンニク ひとかけぐらい!



1.ベーコンを切る

2.野菜をみじん切り状態にざくざく切る

3.もちろん、にんにくもみじんぎり

4.オリーブオイルでベーコンをいため、続いて野菜をいためる

5.にんにくを入れていためる

6.水を鍋に入れ、煮る

7.マカロニをつかみ、鍋に放り込む

8.ホールトマトを放り込む

9.煮る。とにかく煮る。最後に塩、こしょう、あればパセリなどで味をととのえる


分量わからんわ〜! と叫ばれました。そこは気合で! と言ったらすんごい怒られた。

ちなみに、ベーコン、野菜、パスタからだしが出るので、コンソメやブイヨンなしです。

アクが浮いてきたら取ろう。

パルメザンチーズとか入れてもおいしい。


ドイツ風のスープ飲んだら、上のレシピのトマトをキャベツ、パスタをジャガイモに変えた感じのものに、思いきりコショウとクローブ? が入っていました。


※訂正


…調べてみたら、ドイツのスープ系に多いのは、ザウワークラウト(醗酵したキャベツの漬物)、ソーセージ、ジャガイモに、コショウ、ローリエ(月桂樹)、ジュニパーベリー(ネズ)でした。あの甘い香りは、クローブではなく、ジュニパーらしいです。










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