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肝試し。  作者: ハル
6/6

警察。



 大石は今日もいつも通りの日常を終えて、最近では警察内部でも肩身が狭くなってきている喫煙所にいた。

「あの子の様子はどうだったかい・・・」

 そうしているうちに誰かが警察署内部でも奥まったところにある滅多に喫煙者以外来ないところに、あのもう一人の生存者を担当していた同僚が喫煙所の中に入ってきて、大石にその子の様子を聞いてきた。

「あぁ・・・倉部さん、最近ではこちらに笑いかけてくれるようになってくるくらいに回復してきていますよ」

 そう言いながら、大石は倉部にタバコを一本手渡して、ライターを手渡し、火をつけて吸うように促した。

「いや・・・最近嫁が健康とかでうるさくてね・・・一本だけだよ」

 そう苦笑いを浮かべながら、大石から火をもらい、一服した。

「やっぱりどれだけ調べてもあの子は自殺だったんですかい?」

 一本を吸い終えてから、大石はもう一人の死んだ被害者のことについて尋ねてくる。

「あぁ・・・自分で首を掻き毟って死んだってよ・・・それが原因で出血性ショック死。間違いなく自分の爪で自殺しただとよ・・・」

 そういう倉部は・・・ありえないという現実を受け入れてたのか・・・いや、受け入れてないだろう。

「利き腕は骨折していて、やせ細って全身ボロボロの状態の被害者がだぞ?・・・そんなことはありえない、やろうとすれば痛みで脳が止めるはずだ。・・・正常な状態であればというのがつくってのが、鑑識の爺さんが言っていたが。だが・・・」

 結果としてA子は死んだ。

 そういった事情から、C奈が起きるときには警察官がすぐに駆け付けられるように、病院のほうでもプイバシーだのなんだの言う前に患者の命が大切だったのか、それとも唯一の生き残りを死なせたくない警察が病院側に圧力をかけたのか、C奈の病室では起きるまで、起きてからも落ち着いたとその病院の先生が判断するまでは、24時間監視体制をしかれていたのだ。

「仏さんからは薬物の反応も、なにもなし・・・だけど、俺は不可解なんだよな・・・」

 そう居た堪れない表情で倉部は大石に語っていた。

 暴行の様子もなく、ただ被害者が自分で自分の喉を掻き毟って自殺。そんな与太話を現実で信じろと受け入れろを言うのが到底無理な話だ。現実で起きて居なければ・・・。

 遺体からは検出されない毒の可能性も考慮して、病院に出入りしていた業者。他の患者を見舞いに来ていたお見舞いの人。それにないと考えてはいるが、病院の関係者。

 だが、どれだけ調べてみても・・・真っ白だった。

 そして、その間にも、A子は自殺ということで処理された。

「でも・・・これで事件も終わりですよ・・・」

 大石のほうは・・・連続誘拐殺人の事件の犯人だと思われる人物を発見して、今部下に監視させていた。

「だが・・・俺のほうでも見たが・・・こいつ、俺の担当になってたやつが起きる3日間はここら周辺にすらいなかったんだよな・・・」

 やはりまだその死に方に納得できないのか、その決断に難色を示す倉部。

「いや、まぁ・・・自殺ってことで処理されちまったけどな・・・」

「えぇ・・・でも、こいつにはちゃんと罪を償わせるのが警察の私らの使命ですからね」

「男女6人を普通に拉致できた人間だ。ちゃんと上に無理言ってでも武装許可とって、万全の状態で行けよ」

 そう言い残し、倉部は喫煙室を後にした。


 夏が終わり、蝉の声もしなくなったころに、大石ら15名の警官が連続誘拐殺人の容疑者を逮捕した。


 犠牲者老若男女合わせて計15名。平成最悪の事件だった。

 だが、犯人と思われる者は不可解な点を数多く残しながら・・・自殺した。

 だが、その自宅からは数多くの被害者の無残な姿の写真などが見つかり、この事件は締めくくられた。

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