救い。
たぶん、1日か2日ばかり、何もない時間が過ぎていったと思う。
その時に重そうな鉄の扉が何かの音を立ててから、重くその扉を開いた。
みんな音をしたほうを咄嗟に凝視していたわ・・・だって、助けかもしれない。B男はないか・・・A男やC男が助けに来たって!警察が私達を探し出してくれた!ってそんな希望を打ち砕くようにその中から現れたのは・・・A子やB美が話していたと思われる黒ずくめの仮面のその人だった。
男とも女ともその格好の人は私達に何かを放り投げてきた。
「・・・食え」
中世的な声がして、そして、そのドアはガチャという音ととも閉められた。
「・・・中みない?」
そう私が言うと、隅にいた二人が恐る恐るという感じでその袋に寄ってきた。
その中を確認すると、3つのハンバーガーとペットボトルの水が3本入っていた。
それを1人1つずつに分けて、その日は久しぶりに胃に食料が入っている感覚と喉が潤ってる感覚で眠ることができた。それを一日一日少しずつ食べた。
そのたぶん3日後にまた扉が開かれて、だけど、最後にガチャという音がせずにいた。
それを訝しんで、逃げるチャンスだと私は思っただけど・・・怖かった。もしかしたら罠かもしれない。無様に足掻くさまを見て楽しんでいるかもしれない。開けたらその先は・・・先も真っ暗な人生の終わりかもしれないと・・・そう思わずにはいられなかった。
だけど、その扉をB美だけはギラギラとした瞳で見つめていた。
そして、私達二人が寝ている隙に・・・B美はこの部屋から姿を消していた。
でも、その時私はこう思ってしまった。先に犠牲になりに行ってくれたと・・・すぐにそのことを頭から消して、B美がきっと助けを呼んでくれると・・・信じて待つことにした。
それから2日後にまた黒ずくめの仮面の人がやってきた。そしてB美がいないことを確認すると私たちが気絶するまで殴り続けた。
食料も1つ分とペットボトル1本になって、それをA子と分け合った。
でも、これまでと違って仮面の人はそれから1日おきに私達を殴りに来た。きちんとガチャという閉める音も毎回した。
ほんの少しの食料も踏みつぶされ、ボロボロになって土の味がした。だけど・・・私は生き残るためにそれを口の痛みを我慢して、食べ続けて、いつか来るはずだと信じている救助を・・・B美が呼んできてくれると信じて、耐えて耐えて耐えて耐えた。
そして、5日続いた仮面が突然こなくなった。
そして、今日で三日目・・・ほとんどの食料はなくなって、ただ・・・天井を眺めて、ただじっとしていた。だけど、そんなとき。
B美呼んでいる気がした。
「こっちにおいで・・・こっちにおいでと」
私はこの極限状態だからこそ、幻聴が聞こえた。
私はあの扉の取っ手に痛む手をかけ、全体重を乗せ、開いた。
あれだけもう開かないと思っていた扉がいとも簡単に開いてしまった。
出れる。私は生きられる。そんな希望を抱くのも当然だった。
だが、次に見た景色は私の描く希望とは程遠い地獄のっものだった。
一面に広がる赤。赤。赤。
豆電球一つ薄暗い部屋の中の暗闇に慣れてしまったため、私はその光景を暗闇の中、その眼球に鮮明に焼き付けてしまった。
鉄臭い錆の匂いの正体はこれだった。視界一杯に広がる赤色。バクバクと私の心臓はその動きを早くしていく。
これはペンキだ。これはただの鉄臭い鉄骨があるだけだ。
彼女は心を守るために、そんな戯言で心を満たそうとしていた。
だけども、目を下に伏せた私にそれは映った。
両目を抉られているその頭が・・・いや、その髪を、その鼻を、その口を私は知っている。
それはB美だったモノ。
B美の頭部だけこちらの方向を向いて、そこに落ちていた。
『助けて』
絶望にも似た表情をしている彼女の頭からそんな言葉が私の頭をリピートする。
「あ・・・・ああ‥‥ああああああ・ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
叫び尽くした彼女の意識はそこで暗転した。




