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第6章ー1 ソ連欧州本土侵攻作戦発動準備

 1942年1月早々、ワルシャワ近郊に建設を完了した幾つもの飛行場に、日本空軍の戦闘機部隊が、続々と展開していた。

 本来なら、もう少し早く日本から欧州に、日本空軍の諸部隊は駆けつけるべきだったかもしれないが、何しろ極東戦線という存在がある。

 極東戦線がある程度は落ち着くまで、日本空軍の主力は欧州に向かう訳には行かなかったのだ。


 しかし、1941年秋、ハバロフスク、ウラジオストク等が日米満韓連合軍の攻撃の前に陥落する一方で、更に欧州でも英仏米日伊等の連合軍の攻撃により、ベルリンが陥落して、ワルシャワにはポーランド政府が帰還するという事態が起こった。

 こうしたことから、ソ連空軍の主力は欧州に集結して、英仏米日伊等の航空戦力に対処せざるを得なくなる一方で、極東方面では、ほぼソ連空軍が存在しなくなるという事態が招来された。

 こうした状況に鑑み、日本空軍も主力を欧州に向ける余裕が生じた。


 とは言え、共産中国という存在が極東戦線では健在である以上、戦略爆撃機部隊を軽々しく欧州に向けることは、日本空軍にはできなかった。

 共産中国に対して、(外見上は、そんなに効果を上げていないようにしか見えなかったが)戦略爆撃を継続する必要がある以上、日本空軍は戦略爆撃機部隊を極東戦線に残置せざるを得なかった。

 だが、その一方で、共産中国にはまともな戦闘機部隊が、当時、存在しないといっても過言ではない状況に陥っており、日本空軍は戦闘機部隊については、多大な余力が生じるようになっていた。

 そして、その戦闘機部隊の欧州派遣を、米英等は要望する事態が起こっていた。


 米英は、半ば言うまでもないことながら、当時、世界で一、二を争う戦略爆撃機部隊の保有国だった。

 だが、米英の戦略爆撃機部隊には、大きな泣き所があった。

 この1942年1月当時、長距離の戦略爆撃を援護するまともな戦闘機が、米英には無かったのだ。

 それに対し、日本は99式戦闘機という単座戦闘機としては、桁外れとしか言いようのない戦闘機を、当時保有していたのである。


 99式戦闘機の航続距離、というか航続時間は、そもそも艦上戦闘機として要求されたものだった。

 艦上戦闘機である以上、少しでも長く航続時間を確保して、空母機動部隊(最もより正確に言えば、99式戦闘機が開発を命ぜられた1937年当時には、空母機動部隊を編制していた国は、世界どこにも無かったが)の上空に止まれる方が有利である、というコンセプトから開発されたとされる。

 だが、三菱重工の堀越二郎技師の暴走(?)の結果、俗に航続時間12時間という代物となり、結果的にだが、おおよそ半径900キロ圏内なら随伴可能という、この当時としてはだが、破格の航続距離を誇る長距離単座戦闘機として99式戦闘機は開発されることになったのだ。


 さすがにワルシャワ近郊の基地からだとモスクワやレニングラードを空襲するのには、少々航続距離が足りないが、それでもタリン、スモレンスク、キエフ等のバルト三国やペラルーシ、西部ウクライナの主要都市に対する空襲ならば、悠々と99式戦闘機はB-17やB-24の護衛という任務を十二分に果たすことが出来た。


 これはソ連空軍や祖国を失い、亡命してきた独空軍の戦闘機乗りにしてみれば、厄介極まりない話を突き付けられたとしか、言いようが無かった。

 何しろB-24はともかくとして、B-17は「空の要塞」と謳われた程、頑丈極まりない上に防御用の機関銃も大量に装備した戦略爆撃機だった。

 そんな落としにくい戦略爆撃機を、(しかも自分達と同等以上の性能の)戦闘機が護衛して戦略爆撃を仕掛けてくるのだ。

 本当に厄介極まりない話だった。

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