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第3章ー4

 さて多数説において、セファルディムの起こりが、スペインとされているとのことだが、このことが20世紀に入って、スペインにある法律をもたらした。

 1924年、時のスペイン国王アルフォンソ13世は、リビエラ法という法律を公布した。

 それは、セファルディムをスペイン人と同視して、在外スペイン人として保護するという法律だった。

 

 米英仏日伊等の連合国のハンガリーにいる外交官は、この法律に着目した。

 これを根拠にして、ハンガリーにいるユダヤ人を保護しようと考えたのである。

 そして、ハンガリーのスペイン大使館に、現地にいる連合国の外交官の一団が、その話を持って行ったところ、好意的な反応を得られた。

 本来ならスペイン政府にまずは話を持ちかけるところだが、ハンガリー情勢は急を告げており、現地の了解を、とまずは考えたのである。

 そして,スペイン本国政府に対して、本国政府を通じて話を持ち掛け、そして様々な紆余曲折の末に、事実上のお目付け役として、アラン・ダヴー大尉等がハンガリーに派遣されることになったのだった。

(だが、この時のダヴー大尉は知る由も無いが、このことから後で行き違いが生じることになる。)

 なお、連合国各国の働きかけにより、スウェーデン等もハンガリーのユダヤ人保護に奔走することになる。


 さて、この時のハンガリーの国内情勢だが。

 第一次世界大戦終結後、暫くの間、ハンガリーは様々な政治的危機に見舞われた。

 共産主義者のベラ・クーンによるソビエト共和国樹立、カール1世による王政復古運動等、ルーマニアやチェコスロバキア等といった周辺諸国まで巻き込んだ政治的混乱の果てに1921年末に、王国なのに国王不在で摂政による統治という、傍から見れば意味不明の国家としてハンガリーは安定した。


 この時の政治的混乱が、第二次世界大戦前に幻に終わった独伊日を中心とする防共協定締結の階になったという歴史学者もいる。

 ハンガリーは、ルーマニアやチェコスロヴァキアに対処するために独伊との連携を図ったし、また、ベラ・クーンによってもたらされた混乱から反共主義者の勢力も強かったからである。


 それなのに、最終的に第二次世界大戦において、ハンガリーが親独ソの中立国になってしまったのは,結局のところは第一次世界大戦の結果、ハンガリーにしてみればだが、正当な領土をルーマニアやチェコスロバキアの不当な要求によって失ったという憤懣が、ハンガリー国民の間に横溢しており,独ソと連携することで、一時的にではあるが一部の領土を回復できたというのがある。

(もっとも、独の敗北に伴い、取り返した領土全てをハンガリーはチェコスロヴァキアに無条件で返還するように求められるようになっていた。)


 少なからず話が先走ったが、ことここに至って、ハンガリー王国の摂政となって国内を安定させたのが、ホルティ提督だった。

 元オーストリア=ハンガリー二重帝国海軍総司令官だったホルティ提督は、第一次世界大戦後の混乱期にハンガリー国民軍を編制し、その武力を背景とする外交交渉の末に、ルーマニア軍等をハンガリー国内から撤退させることで、ハンガリー国民の英雄となった。


 そして、ハンガリーは共和国から立憲王国へ移行し、ハンガリー国民の一部は、ハプスブルク家の復活を望むまでに至ったが、欧州の政治情勢はハプスブルク家の復活を許さなかった。

 そのために政治的妥協の末に、ホルティ提督個人としてはハプスブルク家に忠誠を誓っていたが、結果的には摂政として、ハンガリーをホルティ提督は統治することになったのである。

 だが、それは綱渡りのような外交政策の連続を、戦間期のハンガリー政府に強いることになった。

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