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断切  作者: 池田 ヒロ
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アシェドの日記②(八日目~十日目)

 早速、カワダさんから教えてもらった対策方法をしてみた。これでわかったことは、肥料はやり過ぎても病気になってしまうということだ。そこに気をつけなければ。その対策方法をキリにも手伝ってもらった。俺自身も聞いただけだから、確信はないが、キリはきちんと教えてあげれば、理解ができる子だ。もちろん、この日の夜に母親と共に謝罪に来たあの子たちだって。本当に反省は見せているようであり、これを機に落とし穴を作らないでもらいたいものだ。

 ちなみにだが、お詫びとしてもらったのはお酒だった。そのことをエナに言うと、お酒に飲まれないようにね、と上手いことを言われてしまった。そんなに俺が信用ならないのだろうか。そうだとするならば、ちょっと悲しいな。


     ◆


 キリの悪癖はまだ治りそうにない。またしても、自分たちの目を離した隙にやってしまったようだ。注意されて、こちらを窺う表情は「頭の中ではわかっているのに」だ。だが、ザイツさんのところの子どもと違って、すぐに自分の非を認めている時点でまだマシだと思う。それで思うことは、あそこの長男坊はまた落とし穴を作るに違いない。それが楽しいということが刷り込まれているから。あの子もキリと同じような悪癖があるようなものだろうか。

 午後は、俺は下の町の方に用(草刈り機の修理)があったから本屋にも寄り、農業に関する本を購入した。家にも数冊あるのだが、どうもカワダさんから教えてもらった方法が載っていなかったからということもある。それでも、購入した本にその方法は載っていなかったのだが。一体、カワダさんはその方法をどこで知ったのだろうか。気になって仕方がない。

 それと、キリにお土産として絵本を買ってあげた。言葉の勉強に役に立ちそうな絵本だ。それをもらったあいつはとても嬉しそうな顔をしていた。こういうとき、どうするのかも教えてあげた。「ありがとう」というのは誰もが使う言葉。キリだって、知っては損しないはずだ。それに、その内悪癖はしなくなるはず。俺もエナもそれを信じている。


     ◆


 今日、村長さんの奥さんがやってきた。奥さん曰く、村内にある車道の傍らに生える木の剪定の当番を決めたそうだ。こういうのをいつの間にか決められているものだから、たまったものじゃない。第一、俺は剪定をしたことがない。その道具すらもない。俺たちが作っているのは果樹でもない。かといって、林業をしているわけでもない。剪定道具がない、と言おうとしたところでよろしく、と一方的に言われてしまった。道具がないから、カワダさんに借りるしかないのか。確かに、そうしなければ、どうすることもできないのだが。そう何度も頼ったところでカワダさんはいい顔をしないはずだ。貸してはもらえても、の話。

 落ち着いたときに下の町にでも行って、一式でも購入しようかな。幸い、王都にいた頃に稼いだお金はまだまだある。だとしても、キリのためにもいくらかは残してあげたい。悩ましいところだ。

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