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口は災いの元でも俺は声を出す  作者: 黒川悠史
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プロローグ

 40年ほど前、『石油に変わる新たなエネルギー開発に成功』というニュースが世界中を驚かせ、第四次エネルギー革命が起こった。


 そのエネルギーは『奇力エネルギー』と名付けられ、奇力エネルギーによって人類は飛躍的な発展を遂げることができた。


 しかし、奇力エネルギーについては未だ不明な点が多く、どうやって開発されたかという根本的なことすら誰もわかっていない。

 何もわかっていないが無くならないから使おうくらいの気持ちで使っている。


 開発した人すらどうやって作ったかわかっていないなんて馬鹿な話だが、いろいろ奇妙な点が多いから『奇力エネルギー』なんてオカルトチックな名前になったのだろう。


 そして奇力エネルギーの開発から10年後、SNS上に『奇力者』と名乗る一人の男が現れた。

 彼は奇力エネルギーを血液中に取り込むことで超能力を得たと投稿、実際にトラックを浮かせるという超能力を使う動画も投稿した。


 初めこそみんな嘘だと言ったが、動画投稿の広告収入で生計をたてる職業の方々が体を張って検証し、真実だったと証明。ちなみに小学生のなりたい職業ランキング第一位。


 それから奇力者になりたいという人が後を絶たなくなり、「奇力者になりたい?それならまずは!お医者さんに〜そ〜うだ〜んだ♪」というCMが大流行、病院にいけば誰でも奇力エネルギーを注射器で入れてもらえるようになった。


 奇力者同士の子どもには親の奇力エネルギーが遺伝し、生まれつき奇力者の子どもも現れた。


 そんな感じで人類は手軽に超能力を使えるようになり、スマホと超能力持ってない奴はいないような、そんな時代。


 白井洸希は高校生3度目の夏休みを迎え、テレビを見ながら朝食のトーストをモサモサと頬張っていた。


「7月31日、朝のニュースです!

 まずはコチラのニュースから参りましょう!」


 朝の顔の女性アナウンサーのコールでテレビ画面に見出しが大きく表示される。


「奇力者!世界人口の10割に到達!

 もはや奇力を使えない人間なんていないですねぇー!」


 そのニュースを見て、洸希は大きなため息をついた。


「……俺は世界人口に含まれていないのか。

 残念だ。」




 白井洸希は今の時代に珍しい、奇力を持たない『無奇力者』である。

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