妖結婚 二十六
26―それから―
さて、これにて事件は解決した。
それからの事について少し語っておこう。
桂御園信太は少しマトモになった。前までの常識知らずさはなくなった。
キャラを演じて注目を集めるというスタンスをやめるのは彼の理念に反するらしい。
約束していた先輩との取材に応じる桂御園は怪我が痛々しいものの非常にいきいきしていた。
彼の生活は少しずつ変化し、前向きに向かっていっている。
……ついでに私の話もしておこう。一応だ。
事件解決後の私は今回の事件を振り返り少し落ち込んだ。
何も悪い事はしていないと思ってはいるが随分と回り道をしたと部屋の隅で考えていた。
それからユートピアの面子に作った借りの事を思い出してどうするかとも考えた。
能力のおかげか驚異的なスピードで傷は治っていくが、心は自分が傷つける。
流石にこれは空也にも注意されてしまった。
不味いと思い私は一つ生活を変化させることにした。
「少年マジにいいの?」
「いいよ別に」
「ふーん。そ、まぁ私は嬉しいけどさ」
私と空也は夏の夕日を背にして歩いている。
まだまだ夏は続いてくと言わんばかり自己主張をする太陽が少し恨めしい。じっとりと服が張り付く。
「頑張れよ、応援してるぜ」
「くっつくな、暑いし酒臭い」
空也に絡まれながら向かったのは一軒の居酒屋だ。中に入り店員と話せば個室に案内された。
「ご対面だ」
「大丈夫だよ。空也」
障子のような扉を開けて中に入る。
「さぁ、今日の主役だよぉみんな」
「今日からユートピアでお世話になることになりました。菊屋咲良です。未熟者ですがよろしくお願いします」
私はユートピアに加入した。
世の中にはもっと桂御園のような人がいるのかもしれない。
私はこの世界について知らないことばかりだ。そして私以上に知らない人間もいるだろう。
これだけの事があったのにそれは何だかもったいない気がしないでもない。
だから記録することにした。記録、それをスタンスに私はユートピアで活動することを決めたのだ。
「少年。入口で礼しないでぇ私入れないし。それにちょっと固いよ、緊張してるぅ?」
「ぐっ……」
とにかく私の生活も変化した。
これからどうなるか、それは私が決めることではない。
ただ頑張ろうという意思はある。
心の力は恐ろしい。妖を神に変えるほどだ。
私の心にある前向きな気持ちある限り私は前に進み続ける。
多分……いや、絶対に進み続ける……はずだ。
そんなこんなで私の人生は新たな友人が出来たなどの変化がありながらもあまり代わり映えせず進んでいく。
今日も明日も進んでいく。ゆっくりと変化しながら進んで行く。
諸君らに幸あれ、そして願わくば我々ガラパゴス人間達にも幸あれ。
それを願う。




