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重大会議

ロマ法国、神殿にて――4人の法王が卓を囲って密談をしていた。


スキンヘッドの初老のヘンゼル、

眼鏡を掛けた長方形の輪郭のジャスティン、

冷静沈着な切れ長の瞳の男ユーカリ、

アリシアは紅一点の明るい茶髪の女性、この4人。


「裏切り者の彼であるけど、時が近いことを教えてあげたら自らがいくと言っていたわ。ヘンゼルが動く必要はなくなったね」

「そうか、もうすでに準備は整っていたのだが」


アリシアの言葉にヘンゼルが神妙な顔つきで言う。


「性格は反吐が出るやつだが、やつが動けば間違いないだろう。魔王国は終わったな」


ユーカリが言った。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


今日シャインはノエルや鬼斬たちと集まって重大な会議を行うために、魔王国城下町にある最上級の料亭の一室を借りている。


そこまでに至る経緯はこんな感じだ。シャインは自宅の砦にて転生してから初めての平穏の中にいた。

一番の心配のタネだった、アルフィリアのことをカイに打ち明けた。


「彼女が増えてしまうのは、やっぱ怒るよな?」


と言ったシャインに対して。


「お母さんからもそういうものだと聞いています」


とカイは容認した。

逆にあっさりしすぎてシャインは怖くなった。女性のこういう反応は怒っている時より怖いもの。

シャインは同時に「ずっとそばにいて欲しい」とも告白した。

頬を赤らめて「はい」と返事をされた。

もう完全にハッピーエンドの主人公である。


幸せの真っ只中。9割は一生この状態が続けばいいと思っている。残り1割はゲーマーとして少し、いやかなり寂しいという気持ちがあった。

世界でトップクラスの実力(自称)を持ってしまって、平穏を手に入れてしまったらもうやることがないじゃないかと。


そこでシャインはカイとノエルの育成を行うことにした。この二人だけではなくアルフィリア、ホルノ、クルたちも育成する方針だ。

自分が目を離した隙の弱点にならないように鍛え上げるつもりだ。

自分のことではないがそれを考えただけでもワクワクする。


王冠ティアラ鬼斬おにぎりたちも希望があれば育成しようと思っている。

最強の身内軍団を作るつもりだ。


そこでシャインは自分のギルドを立ち上げた。

名を『シャイニングロード』という。昔〈赤毛〉という名のギルドにいた時の自分の二つ名だ。ようはめちゃくちゃ攻略が早い奴みたいな感じの厨二なあだ名である。でもわりと気に入っているし、今の名前とリンクしているのもいいと思ったのでこれにした。


そしてここまでの段階になってノエルに言われたのが「とりあえず金」である。

我が家の財政は逼迫しているらしい。

そこで商売案を検討するために今日皆で集まったのだ。ちなみに執事と交渉し城下町の大通りの一軒を格安で借りれることになっている。



豪華な料理が運び込まれる中、ノエルの仕切りで会議が始まった。リリーナは拒否したがそれ以外は全員いる。


「やはり店を出すなら食べ物屋が安定な気がするけど、皆はどう思う?」


「郵便配達もありでは?」

「そっち方面もいいかもね。心音ちゃんえらいっ」


ノエルが褒めると渋谷心音が嬉しそうな顔をした。


「地球時代にあったもの、それならギャンブルは?」

「それは不味いと思うわ。色々とリスクが増えるだろうし」


鬼斬の意見に対してノエルが答えた。


「岩盤浴とか作ってダイエットや美容を名目にしたら集まるかもしれません」


また心音が案を出す。


「なるほど。こっちの世界ではヒールダイエットとかあるけど、庶民ができるのはいいかもね。てか心音ちゃんえーらいっ!」

「えへへ」


心音が照れた。


「あとは釣りをして魚売るとか?」

「海にはリザードマンや魔物がいるしなぁ。それはおいおい検討してみましょう」


自信があったのか、冷静に返されて鬼斬は少し肩を落とした。


「美容室はありですわ、あとインフラ整備」

「なーる。ティアラちゃん、頼りになーる!」


ノエルが褒める。

自分も何かいい意見を、そんな表情で鬼斬が頭をめぐらせる。


「キャバクラなんてどうでしょう? 風俗関係。あ、異世界でアイドル業も面白いかも」


それまで真剣に聞くに徹していたシャインの鼻がピクリと動いた。目が合った鬼斬に対して「でかした」とばかりに大きく頷く。


「「最低」」


と心音と王冠が声を揃えて言った。

鬼斬がムンクの叫び顔になった。助けを求めるようにシャインに顔を向ける。さっとシャインは視線を逸らした。


「実際悪くないかもしれないけど、そういうのは身を危険に晒すトラブルの元だからね。やめておきましょう」


ノエルの言葉で、鬼斬は肩を落としノックアウトした。

そんなやり取りをアルフィリアとホルノはほろ酔い加減で終始ニコニコ楽しそうに聞いていた。カイとクルはひたすら夢中で食べている。


ノエルがシャインに顔を向ける。


「シャインは何かないの?」


「うーん俺はあまり金儲けに興味がない。極端な話、ご飯が食べれて寝る場所があったらそれでいい。男は冒険をし狩りに出て女は家を守る。忙しない地球時代よりそんな自然と共にある生活に憧れるんだ」


心に染みるものがあったのか鬼斬が深く頷いた。


「はあ、イケイケドンドンで死なれたら残された女はどうなるのよ。先立つものは金よ。金があれば高価なマジックアイテムや回復薬も購入できるし、強さにも直結する。男ってなんでこうなのかしら。ねえ? 心音ちゃんもそう思わない?」

「え、ぁ、ぅ」


突然、ノエルに振られた心音があたふたと困惑する。さすがの心音もシャインを批判することは憚られた。


その後も薬草栽培、温泉開拓、病院、宗教など様々な意見が飛び交った。

そして会議は次第に宴会のノリに移行する。


シャインは酒を飲みながら皆と過ごす騒がしい夜を楽しんだ。

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