引きこもり 死す
ピンポーンとチャイムがやかましく鳴り響く
『おーい高谷ーいないのかー』
良の唯一の友人 である 健康は彼が家に引きこもってる事を心配して時々様子を見に来る。
答える声はない
『家にいないんじゃねえか?』
連れの男がつぶやく
『いやそんなはずはない、あいつが外に出るなんて』
『まぁ、そうだよなぁ.....あいつは外に出ねえ男だしな、 寝てるんじゃねえのか?』
『いま何時だと思ってるんだ?』
『いまは深夜の1時だな』
『普通の人間なら寝てるだろう、しかしあいつはフクロウみたいなやつだからな』
『どういうことだ?』
『あいつは昼夜逆転してるってことだな』
『そういうことか、わかりづらい例え方するなよな』
『つまりこの時間には高谷は必ず家にいるのだ』
『まぁ、そうなるよな』
『鍵は開いてるのかな』
そう言って健康はドアノブに手をかけ開けようとするとドアがあっけなく開いた。
『入ってみるか』
『やめたほうがいいぜ』
『いや入る!』
『頑固なやつだな』
二人が家の中に入るのを散らばったゴミ達が歓迎しているかのように陳列されている
『あいつ掃除も出来ねえのかよ、汚ねえ部屋だな、おい』
連れの男が文句を言うと健康は呆れたような顔で
『あいつの眼中にはこの世界は無いんだろうよ』
と言った。
『オエッなんだこの匂いは、くせえ』
『変な匂いがするな...くさいな』
『健康、あれみろよ、あいつ机の上でゲームしてるぞ』
『久しぶりだな!高谷、お菓子買ってきたぞ』
(あいつは良くこんなふうに話しかけられるな、俺なんか拒絶反応を起こすぞ)
『寝てるのか?』
『やっぱ寝てるんじゃねえかよ』
『いや、こいつ寝てるんじゃなくて死んでるわ』