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「――とまぁ、これ以上言っても混乱させるだけだろうから言わないけど」



 写真を指で弾き、テーブルに漂着させた瞬間に四人前の料理が出てきている。どうやら『復元の館』というのは写真でもいいらしい。アツアツの料理が出てきている。



「おぉ! やりましたね、マリエッタ! ……要するに、私たちが元の世界に戻るには、この物体を元のメビウスの輪に戻す必要があるわけなのれふよ」



 ますます分からん、と言いたげなグレンが、一文字にした口と共に眼前のモジャモジャのぐちゃぐちゃから視線を外せないでいた。


 もぐもぐはふはふと食べているなっちゅ。実においしそうに頬張り、んんーっと悶えてパタパタと足を振る。この姿だけ見たら、やっぱり十神魔将の長には見えない。



「カメラ作戦、上手く行きましたね! このカメラをこっちの世界に持ち込んで、大量に売って大量に儲けましょうよ! 幸い、私たちは五次元空間を抜けれるのですから!」



 金持ちになれる。そして装備を整え、『魔王と戦う』……のは、なっちゅの性格からしてありえない。単に金が……レイズが欲しいのだろう。



「ただひとつ、問題があってさ……」


「はい?」


「とんでもない金額要求されたよ。六万レイズ飛んでいったし」


「ええええええ~!」



 頓狂な声で叫んでる。そして指を折りながら計算している。六万の、部屋代と乾燥機代。半分近くもレイズが持っていかれてしまった。


 これ以降、涙目になったマリエッタが写真を撮る事は無かった。


 写真一枚分が復元されるのはいいが、金額的に大きくマイナスになってしまう。これでは、売ろうにも売れない。あまりの完成度ゆえなのだろう。普段復元する物といえば折れてしまった簡単な剣や破けてしまった服などだ。写真を入れるなどという行為は、普通はしない。普通に考えると写真が復元され、出てくるだけなのだから。


 会話が途切れてしばらく。



「おい変なおじさん、お前一体なんて呼ばれてたんだ?」



 あらかた食べ終えて食器を片付けている変なおじさんに少年は尋ねた。



「ん、普通に『メル』だが。……なんだ、その目は。疑ってるのか?」


「メルって体格じゃねぇだろ。なんでこんなに長身なんだよ」


「……魔王の呪いだ」


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