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「正直に言うとォ、私ィ、ものすごくあなたに興味があるんですよね、おじさん」



 夕刻。どこからが街でどこからがマップなのかが分からない境界線で、鈍子は冷酷に言い放つ。すぽーん、とグレンの手からすっぽ抜けた鈍子の身体は土埃を舞わせてフッ飛んでいく。ニコニコと笑い髪ゴムを返してもらいながら、幽霊のように空気と溶け合わせて視線を変なおじさんに向けている。



「……」


「なぁーんか、タイミングが良すぎるんですよねぇー。王女様が消え、そしてエディ様までもが消えました。そして、私たちの前に国王軍の紋章を持ったあなたが現れた。本当になにも覚えてないみたいですけどぉ、私ィ、あなたの正体分かっちゃいましたぁ」



 意味深な言葉を言い放ち、クスリと笑って姿を消している。



「ね、メルリアーヌ王女」



 空から聞こえるあどけない声。



「……私が、王女だと……?」


「――!! その褐色肌、銀髪……! どこかで見た事あると思ったら!」



 なっちゅが思い出したように顔を上げた。今までマリエッタと同様、面白くなさげにそっぽを向いていたが、鈍子の言葉で色々と思い当たる節があるようで顔を見つめている。



「私が……王女……」



 信じられないのだろうか。無理もない。今まで王女らしい事を一つもされず、国王にまで忘れられていたのだ。



「う、嘘でしょ……? まさか、王女様だったなんて……」



 衝撃を隠しきれないマリエッタ。



「王女様が男だったなんて!」


「そこかよ!」



 だがたしかに、変な話だ。どうしておじさんなのだろう。


 メルリアーヌと呼ばれた者は、眉をひそめてなにかを思い出すように一点だけを見つめている。そして、思い出したのだろうか。ふと顔を上げた。



「なるほど……な。すべてを思い出したぞ」


「もしよかったら、聞かせてくれない? そろそろ暗くなりそうだし、今日はもう宿に泊まろうよ」



 マリエッタの案をその場の全員が承諾し、四人で固まって動く。おそらく鈍子も一緒にくっついてきているのだろうが、その場の誰もが彼女の存在に気付く事は出来なかった。


 四人という事で部屋を借りれるのは有難い。一人分料金を浮かす事が出来るのだから。



「もっとレイズに余裕があれば……」



 マリエッタの言葉の続きは、おそらく『男女別で部屋を借りれるのに』だろう。


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