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「ミリア、見張りじゃ。ついていけ」
「は、なに!? この鈍子ちゃんも来るのか!?」
「嫌ですぅ。私は国王様と一緒に国が滅ぶ所を見たいんですー」
言ったよコイツ。国が滅ぶ所、って自ら負けを認めてるよ。
「帰ってきたらたっぷり褒美をくれてやる。それでは駄目か?」
鈍子はしばらく黙りこみ、
「約束ですよ~?」
満面の笑みで溜め息を吐いた。
「ですけど私は~、あなたたちに興味がありませーん。なので尾行だけしますねー?」
そう言って、目の前から煙のようにフッと消えてしまった。
(こ、ここ、怖かった。すンげぇ怖かった)
涙目になっているグレン。野生の本能というやつなのだろうか。
一体なぜ、どうやって目の前から姿を消す事が出来たのかが不思議でならない様子。
「無駄じゃ。ミリアは余にしか見えぬ」
とてとてとエディの背後へ回り、国王は単なる空間へと頭を撫でるように振った。
「こやつ、凄まじく影が薄くての」
「おい、影が薄すぎてまったく見えないんだけど」
「なにやってるんですかー! 早くしないと置いて行っちゃいますよ~?」
謁見の間の門前で、姿がゆらめいている。
「「「「……」」」」
「と、いう感じに頭を撫でてやるとミリアは喜ぶぞ……」
たしかに、なっちゅの言う通り間抜けらしい。顔を真っ赤にして視線を落として恥ずかしがっている。
早速化けの皮が剥がれてきた。緊張の糸が解けた四人は自然体で謁見の間から抜け出していく。
こうして、王女と伝説の勇者、エディを探す五人旅が始まるのだった。
「まずはー、魔王城に行きましょう!」
「ちょっと待てコラ鈍子テメェ! 真正面から行って勝てるワケねーだろ! だいたい魔王討伐は『ついで』だろ『ついで』! 引率の先生みたいに言うなし! だいたい尾行だけするんじゃなかったのかよ!」
ポン、と両手のひらを叩き合わせ、ニコっている鈍子の髪を掴んで振りまわすグレン。ぶるんぶるん、と遠心力でホットパンツが下がっていくがそれでも笑顔を崩さない。ツッコミ所満載な彼女を、誰も迎え入れようとしていないようだ。やっぱり第一印象はすごく大事らしい。




