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「おら団長、前金の前金、寄越せよ、ほら」



 そんな団長に、ゲス顔で手のひらを差し出した。



「だ、団長……本当にこのような者が伝説の勇者殿なのですか?」


「えっ? あっ、うぅん。じ、自信なくなってきた」



 白い袋から一万レイズを取り出した団長。それを奪い、グレンは走り去っていく。



「ちょ、グレン!」


「……」



 さすがにマリエッタも落胆の色を隠せない。なっちゅは無言の圧力を開放し、目を据わらせている。


 しばらくピリピリした空気が漂う中、小さな背中たちにエディが元気付かせようと話しかけるも、チッと盛大な舌打ちで距離を置かれている。彼にとっては、一体なぜ嫌われているのか分からないのだろう。可哀想に。


 とそんな時、二人の頭になにかが投げられた。



「早く用意しろ。金が……じゃない。国王が待っておられるぜ」



 服だった。オーバーオールと、中二的な衣装。



「あれ……乾いてる?」


「グレン、もしかして、遊びに行ったのではなく乾かしてきてくれたのですか?」


「あぁ。こっちの世界の乾燥機って妙に高いんだな。金、もう無くなっちまった」


「それならそうと言ってくれればよかったんですけど……」



 比較的暖かい別室に干していた二人の衣服。水が滴るくらいまでにぐちょぐちょに濡れていたが、もう安心のようだ。二人して着替えに行っている。そこで気付いたらしい。



「あ、あれ? 私の下着は?」


「あっ、私の一つ目も無いです!」


「あぁ、忘れてた。そういうのは俺のポケットに……」



 両手で持ってこれる量というのは決まっている。なので彼はポケットに入れようとしたのだろう。だがしかし落としてしまったようだ。持ってない。



「むぅ、これはなんというか、なかなか頭が圧迫される包帯だな。こっちの柔らかな包帯とはまた違う。なっちゅよ、君は、これでよく前が見えるな」


「「「なに晒しとんじゃい!」」」



 なっちゅの真空飛び膝、マリエッタの浮かせ踵蹴り、その後グレンの空中投げの三人技でトドメを刺されてしまった。『ヘヴン!』という変な鳴き声を上げ、脳天から煙をあげて倒れている。


 今までグレンで溜めていた怒りが変態の所に集中しているようだ。どさくさに紛れて、なぜかグレンまで一緒に謎の一体感を醸し出している。だが、それもまぁ仕方がないのかもしれない。包帯と称して、みんなの前で堂々とマリエッタのショーツ&目隠しを頭に被っていたのだ。公然猥褻罪もいいところである。


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