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「誰だ、テメェ?」


「わ、私だよ! ほら、溝口真理恵!」


「ぁン?」



 ジジジ、と口にくわえた煙草の音が聞こえる。まじまじ、まじまじ、と見つめて、細い剛腕はポイとマリエッタを捨てた。



「シラネ。誰の妹か知らねぇけど、勝手に連れてくんじゃねぇよ」



 いつにも増して酷い態度に腹を立て、掴みかかろうとしたグレンだったが、



「ねぇ奈津、ちょっとツラ貸してくんない? 一発ぶん殴りたいのよね」



 横やりが入る。おさげで、赤いフレーム眼鏡の真面目そうな生徒が、奈津と呼ばれた教師の顔面に飛び膝を繰り出している。骨の軋むような音を立てながら当たり前のように防御している姿を見て『なるほど、これが醤油キックの対義語か』とグレンは感じた。



「またか、夏那美。いいぜ、相手になってやんよ」


「す、すすす、好きだぁぁ! 夏那美さぁぁ――」


「えぇい邪魔だコンセントぉ!」


「――ぎゃふん!」



 思いっきり抱きつこうとして思いっきり殴り飛ばされている生徒会長。コンセントは、こちらの世界でもコンセントらしい。


 嵐のような人物達が去った後、マリエッタは脹れっ面をして立ち上がる。



「なにか悪い事でもしたのか? あいつに。あんなに仲良かったじゃねぇかよ」


「……なにも。ぜんぜん身に覚えがないよ!」



 ぷりぷり怒りながらも校舎内へ。勇者集団(内一人屑)が、まさか校舎へ入るなんて夢にも思ってなかったのだろう。周囲の生徒からは後ろ指を差されたりもしている。そして、校長室へ。



「聞いてよ! なっちゃんって、ひどいんだよ!?」



 ノックもせずにバァンと開け放つ。彼女にとっては、いつもの光景なのだろう。そういえばマリエッタの親戚が校長をやっていると聞いた。慣れた口調で校長にずんずん詰め寄って、グレンらは二人して校長室の外で待機している。



「あら。あらあらあら。どうしたの? 大丈夫? 怪我してるじゃない」


「そう! なっちゃんにぶん投げられてさぁ」


「お譲ちゃん、中学生?」


「えっ……?」



 思ってもみなかった言葉だったのか、マリエッタは校長へと視線を向ける。その視線を合わせるように校長。



「あら、不思議ね。あなた、真理恵ちゃんにそっくりだわ」


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