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翌日。グレンの絶叫で宿屋が震える。
「おい、おい、おい、おいっ! お前! コラテメェ変なおじさん、なにやってんだコラ!」
身の危険を感じるように両手で身体を覆い、グレンはベッドに居座る人物を睨んだ。先ほどまでグースカと彼が寝ていたベッド。そこに、上半身裸で入り込んできていたらしい。やたらと巻き舌のコラが多いのは気にしないであげよう。
「ど、どうしたのですか?」
隣部屋のなっちゅが駆け込んできた。
「いや、それがなぜグレンが怒っているのか、私にはまったく分からないのだ。私はただ、寒かったから添い寝させてもらっただけなのだが」
「そっ、沿い」
ぶぷっ、と鼻血を撒き散らしてなっちゅが何故かダメージをくらっている。
「や、やるな、貴様。まさか、我に真昼間からそんな精神的な攻撃を与えてくるとは。グレンとエディの……。はぁ、はぁ」
「い、いや、いやいやいやいや、ちょ、ちょっと待て。普通は主人公補正とかそういうのがあるんだったら、美少女だろうが! なにが悲しくて三十代のオッサンと――」
「グレン? 起きてるんだったら、復元の館まで一緒に――」
かじっていたリンゴをゴトッと落とし、マリエッタの顔が固まった。
「……一晩でそういう関係になったの……?」
「ご、誤解だ!」
「五回もやったのだな、貴様。わ、わわわ、我は負けん。そういうダメージは我は慣れているが……はぁ、はぁ、……あはぁ。ふふ、変態だな、貴様」
「あぁ、もう! お前は黙ってろなっちゅ! ていうか、誰かエディの格好にツッコめよ!」
エディは、なぜか女性物のブラジャーを頭に被っていた。顎にホックをかけ、グレンの顔を見つめてくる。
「どうした。なにか変か?」
「『なにか変か』じゃねぇだろ! どうしたんだよ、こんな下着!」
グレンは下着を引きちぎり、床へ叩きつけた。
「あぁこれか。なぜか胸に着けていたから、頭に装備してみただけだ」
「いや胸で合ってるぞ!? 合ってるけど違うだろ!」
「二本角を守るための装備品ではないのか?」
「違ぇわ!」
「……そうか。では、こうか?」
「聞けよ! 胸だっつってんだろうが!」
拾って海賊の船長風に、眼帯っぽくスタイリッシュに被っている。
「正直に言え。誰のだ、これ」
失神して倒れているマリエッタの隣で、なっちゅが床に倒れてはぁはぁと悶絶している。
「私のだ」
だめだコイツ。ただの変態オヤジだ。
伝説のアマチュアプレイヤーは、伝説の変態だという事が判明した。




