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 魔王城の個室へ到着するなり、彼は一枚の写真立をつまみ上げる。幼き頃の魔王。その傍らには、一人の女性がいた。



「……レイチェル。もしお前がまだ生きているならば……」


「魔王様、早くミルク、温めてにゃ」


「あ、あぁ。そうだな」



 重くなりそうなのが分かったのだろう。またも割り込むおまる。というかぶっちゃけ、おまるにナメられているのではないだろうか。魔王が産まれてからずっと一緒にいるので、もう上下関係が出来上がっているのかもしれない。


 脇に挟めた牛乳瓶が、シュールな光景を生み出している。



「お師匠様が亡くなって、もう七年ににゃるんだにゃ……」



 ベッドに座り、写真立に写った二人と猫二匹の姿を見て、おまるは色々な事を思い出しているようだ。



「そうだな。あの頃は、本当に平和だった。国王軍が攻めてくるまでは……な」



 ララバスタの村は、全世界で唯一、本物の魔法が使える人たちがいた。現在魔術師という職が存在するものの、魔術師が使えるのは魔法ではない。魔術と魔法は似て非なる物。三次元で普段から炎を出したり風を起こすのが魔術師の出来る事であり、その魔術は四次元以上は存在出来ない。だがしかし、魔法は違う。魔法は、魔法使いと使い魔……魔王とおまるの絆の証であり、五次元まで存在出来る。


 我々人間は三次元に住んでいると言われている。次元とはなにか。


 零次元が点――方向がない世界――。


 一次元が線――二つの点を結ぶ縦か横か斜めの世界であり湾曲(わんきょく)はしない――。


 二次元が面――上下と前後の世界――。漫画やアニメ。


 三次元が立体――上下と前後と左右の世界――。我々の世界。


 四次元は、上下、前後、左右、そして他にも方向がある世界。もうお分かりいただけるだろうが、五次元は上下、前後、左右さらに二つ追加で方向がある世界となる。


 実は、我々人間は三次元の物が見えていない。網膜は二次元の面なので我々は網膜に投影されている二次元の物を見ているに過ぎない。網膜が二つあるので、擬似的に三次元っぽく見えているだけなのだ。3Dテレビなどもそうだ。浮き上がって立体的に感じるが、実際には触れれない。左右の目から二種類の映像を脳に取り込む事により三次元っぽく見せている。三次元の視覚は、サイコロで説明した場合、六つの面全てを一度に見る事が出来る視覚を言う。


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