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「ところでさぁ、緊急会議ってなんなの?」
グレンの正面にどかっと座り、尋ねてくるマリエッタ。ようやく本題に入れるらしい。
「安全面の事を考えて、俺はもうゲームをやめようと思う。なっちゅも怯えてる。なんか、おかしいんだ、このゲーム」
変なおじさん(所帯持ち?)の質問には答えない様子だ。とっとと消え去りたい一心なのだろう。
「あぁ、リアルの世界でトランス状態になってる、って事だよね」
「知ってたのか!?」
知っているのだったら話は早い。
「うん、もうログアウト出来なくなってるけどさ」
「「――!?」」
グレンとなっちゅは、同時に耳を疑い、同時に顔を見合わせ、ログアウトしようと我先にと宿屋へと向かう。
「や、やめて下さい。押さないで。私が先にログアウトするのです!」
「いいや、俺が先だ!」
押し合いへし合い、宿屋に向かって全力疾走する二人。
「あちょー!」
競り合う中、突然足を掛けられたグレンは猛烈に派手に転んでいく。
「ごめんなさい! 足が滑りました!」
「お前、今『あちょー』って言っただろ!」
なっちゅは、なにげにあざとい様子。暗くなりかけ、松明の火がつけられた街で、グレンは息切れと共に一人寂しく立ち上がる。そして宿屋に転がり込んだ。ログアウトする機械の前に立ち、茫然としているなっちゅ。占い師が使うような丸い水晶から普段ログアウトするのだが、いつもと違って輝いていない。カーソルで選べない文字のように灰色に沈んでいる。
「……ログアウト出来ないのか?」
グレンの言葉に、無言でコクリと小さな頭を縦に揺らした。
「こうなったら、強制ログアウトで……」
「やっ、やめて! やめて下さい! それだけはダメです!」
「なんでだよ?」
「この世界は二次元のように思えて三次元です。もちろん、私たちのいた世界も三次元なのですが、強制的に元の……リアルの世界に戻ろうとすると、もしかしたらグレンの存在自体、消えてしまうかもしれません!」
なっちゅが急に哲学的な話をし始めた。




