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「緊急会議って聞いて来たんだけど、……そのオジサン誰?」
「私か? 私は、名もなき放浪者、ロイドだ」
「思いっきり名乗ってんじゃねーかよ!」
本当に記憶喪失なのか、コイツ。思わず疑ってしまうグレンとなっちゅ。
「だったらいいな、という話だ。ほら、カッコイイ名前だし、惚れてしまう」
「あ、そう。俺はホモに興味は無い」
冷たく言い放つグレンの隣で、マリエッタは目を委縮させていた。そして深々と頭を垂れている。
「どうした、マリエッタ。五百円玉でも見つけたのか?」
「バカ! そのネックレスの紋章が目に入らないの!? アルファテスト時代に唯一魔王と互角に渡り合って、国王に認められた時に受け継がれたネックレスを首から掛けてるんだよ!? プロゲーマーを差し置いて聖騎士団長の座を辞退した伝説の一般ゲーマー。それがこの人! このゲームで唯一無二のネックレス……! 私も見るのは初めて!」
『魔王と互角に渡り合った』。それだけで周囲のパーティの目が変なおじさん(ネックレス付き)に集まる。その変なおじさん(地黒)の胸元には、たしかにネックレスが飾られてあった。国王軍の紋章で、純金のような輝きを放っている。
「あぁ、これか。これは、私の大切なものだ。遠い昔に、誰かとなにかを約束したような気がする。それだけは、少しだけ覚えている」
懐かしい物を見るような目で、変なおじさん(ロマンチスト)は胸元のネックレスを指でつまんで見つめた。
「よし、売ろう」
「君……私の話を聞いていたか?」
意外と本音だったりするグレンの言葉を、冗談を言われたものだと思っているらしい。コホンと一つ咳払いをして、マリエッタに顔を向ける。
「それはそうと、すまない、頭を上げてもらえないだろうか」
「ですが……」
「正直言うと、窮屈なのだ。どうか、あなたの普段通りで接していただきたい」
それを言っちゃあオシマイだ。
「えっ、マジで? いやー、助かるわ! 仲間になったんでしょ? これからアンタを馬車馬のようにビシバシ働かせるから、そのつもりでね!」
「えっ、えっ……?」
あまりの豹変ぶりに、変なおじさん(混乱中)はクリームのついた口でグレンとなっちゅの顔を見つめてくる。そして、グレンらは視線を合わせるつもりは無いらしい。




