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「……い、家に帰った記憶なんてありません。私が変なのでしょうか、グレン!」


「お、おおお、落ち着け、なっちゅ。こ、ここ、こういう時は焦ったら負けだ」


「と言っている君が一番焦っているように見えるのは私だけか? 目が泳ぎまくっているぞ」



 変なおじさん(33)が冷静にチョコレートパフェを食べている。


 今までこういう事は一度もなかった。意味が分からず、グレンも試しに宿屋まで行き、ログアウトしてみる。


 * * * * * * 


 そして、彼はゾクリと冷水を浴びた。先ほどまで確かにカフェにいたはず。なのに今は、勉強机にて携帯ゲーム機を持っていたのだ。もう夕刻はとっくに過ぎ、母が作る晩御飯の匂いが二階のこの部屋にも漂ってきている。


(なんなんだ、これは! 俺、悪い夢でも見てるのか!?)


 瞬きが出来ない。冷や汗がただただ流れる。手が汗ばみ、喉はカラカラに乾いていく。脈が尋常じゃない程までに早くなり、息が荒くなるのを彼は自分で感じ取っていた。


 弾かれたように思い出し、彼はコンセントへと電話をかけた。コンセントは生徒会長。連絡網のためクラス全員の電話番号を知っている。



『もしもし?』


「コンセント、ちょっと悪いけど、桃瀬と溝口先生のスマホ番号教えてくれ!」


『どうした? それはダメだな。個人情報保護法による――』


「そんな事言ってる場合じゃないんだよ! なぁ、コンセント、人が三人死ぬかもしれないんだ。法律と命、どっちが大切なんだ? それともコンセントプラグの方が大切か!?」


『い、いや、ちょっと待ってくれないか。人が死ぬ? どういう事なんだい? それを聞いてからじゃ遅いのか?』


「あぁ、遅い! ちなみにコンセント、お前……今日の記憶全部あるか? 居眠り時間を除いて全部!」


『まぁ、あるにはあるが……』


「……そうか」



 どうやら、プレイヤーだけ、こういう妙な事に巻き込まれてるようだ。マリエッタの様子を見てみないと何とも言えないが。



『どうやら、人に言えない事があるようだな。……いいか、言うぞ。ちゃんとメモ取れよ?』


「あぁ。悪いな。恩に着るぜ」



 もし、もしだ。こっちの世界でスマホを鳴らした場合……それはどうなるのだろうか。もちろん、こっちの世界にマリエッタとなっちゅはスマホを置いているに違いない。物質をゲームの世界に持って行くのは理論上不可能なのである。


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