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「……そして、今は一人暮らしというわけか」
「そうそう。ねっ、ねっ、それよりグレン、早くログインしてよー」
「これは……マリエッタさんは、化けるタイプですね」
「ン? 化ける?」
なっちゅの言った言葉に、グレンは反応する。ログインしようとした手が止まった。
「はい、実は、プロゲーマーの大半は、とてつもなく知能が高いんです。……そんな目で見ないで下さい。べ、別に自画自賛してるワケじゃ……と、とにかく、全ての事を覚えたら、マリエッタさんはプロゲーマーに匹敵すると思いますよ」
ぽかーん、とマリエッタはなっちゅを見つめる。
「桃瀬さん、なんでそんなに詳しいの?」
「一応、私はプロゲーマーですからね。なっちゅです。今後とも、よろしくお願いします」
「桃瀬さん、あんまり他人の名前、使わない方がいいよ?」
「……あの、本当なんですが……」
信じてもらえてない。
「まぁ、あれだ。うん、気にするな」
* * * * * *
ログインすると、身体感覚までキャラと一体化してしまう。そこがこのゲームの不思議でもある。
グレイスの街。煉瓦造りの家が立ち並び、ひび割れた地面の隙間からは草花が顔を覗かせている。鳥たちが歌を歌い、眩しい日光を手で防ぐ。いつもと変わりない風景。風景なのだが、今日はなんか変だ。人っ子一人いない。
地面には複数枚に渡って紙が落ちていた。
「なに、これ」
マリエッタがふと拾い上げた紙を見てみる。どうやら号外のようなものらしい。そこには、『十神魔将、聖騎士団、共に魔王に惨敗』の文字が。
「えっ……?」
なっちゅが目隠しの下から、同じ紙を拾い、覗き見る。
「なになに? 『○月×日、全十神魔将がメルフィスに向け進軍中、この機を逃さず聖騎士団の三名が魔王城へと進軍した。どういう事か、メルフィスに向かっていた十神魔将の数名も魔王城へと赴く。そこでバッタリと鉢合わせになった両軍だったが、その場で戦ったところで事でお互いのメリットは何もない。どうやら、十神魔将は謀反を起こす計画を立てていた様子だ。共に手を取り合って魔王と戦おうとした両軍だったが、たった一人に十人がかりで手も足も出ず。そのまま敗走する形となってしまった。全員奇跡的に命に別状はなかったが、精神的な苦痛を味わった様子である。今もなお治療中ではあるが、絶対安静には変わりない』……か。どんだけ強ぇんだよ、魔王」




