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「……十三歳、ですよね?」


「「はい?」」



 グレンとなっちゅの声が同時に響いた。マリエッタが店員と目を合わせようとしない。鳴らせもしない口笛で誤魔化そうとしている。



「ど、どういう事なのですか、グレン。私には、なにがなんだか……」


「いや、俺も知らねぇよ」



 つまり、あれだ。グレンやなっちゅは、年下から授業を教えてもらっていたらしい。十三歳にしては大人びた顔立ちだ。



「あっ、えーと、オレンジジュース下さい。あと、保険証返して下さい」



 何事も無かったかのように注文している。一文字に口を閉じ、二人は行動を見守った。


 適当に空いているテーブル席に座り、携帯ゲーム機を取り出して、



「グレン、桃瀬さん、こっちこっち!」


「こっちこっち、じゃねぇだろ! おいコラ、ロリビッチ、説明してもらうぞ。なんで年齢誤魔化してんだ? どういう事なんだよ? 俺たちを騙してたのか?」



 注文していたオレンジジュースが届くなり吸いつき、んんーッと声を出している。



「グレンも、早くログインしてよー」


「聞けよ!」


「ま、まぁまぁ、そんなに目くじら立てないでください、グレン。普通の女の子なら泣いてますよ。きっとワケありなんです」



 なっちゅを一瞥し、一呼吸おいてグレンは再度尋ねた。他人の目もある事なので、ここは素直に彼女の言う事を聞いていた方が無難なのだろう。


 そして、出来るだけ優しく、やさしぃく、青筋を浮かべて聞いてみる。



「なぁ、溝口先生。どういう事なんですか?」


「大丈夫です。誰にも言いませんから」



 ちゅうちゅう、と吸っていたストローから口を離し、普段のおちゃらけた雰囲気から一変した。凛とした瞳でグレンたちを見つめてくる。



「課金って、十五歳からじゃないと出来ないじゃん。十五歳で登録したとしても、ヘンな奴が寄ってくるから、わざわざオバサンとして設定しただけ。本当にそれだけだよ」


(ダメだこいつ。ネトゲ中毒過ぎるだろ)


「十三歳で教師ですか。聞いた事ないです」


「私は七歳で高校を卒業して、十一歳で大学を卒業した。そして、アメリカから日本に戻ってきた。戻ってきた直後に私の大嫌いな両親は別居。施設に行くのは嫌だったから、親戚が校長をやってるこの桧原村第一高校で働いてる。時間が、全てを忘れさせてくれるはず。ずっとそう言い聞かせて、私はプレイしてただけ。ごめんね、騙すつもりは無かったよ」


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