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「……泣くな。あいつがゲームを続けていれば、このゲーム以外でも必ず会えるはずだ。進む時間の先でな。な?」



 次第に涙腺が緩んでいく。ボロボロと涙を流す女の子を皆で囲み、慰めている。



「行こう。ボクたちが、なっちゅを救うんだ」



 意を決し、女の子は堅牢なる門を開いた。


 * * * * * *


「――途中で引き返したんだと思います」


「引き返した?」



 思ってもみなかった返答に、思わずグレンはリピートする。



「はい。以前から計画の件は、私は聞かされてましたからね。魔王様への下剋上。おそらく、私を探しに行ったと思わせておいて、奇襲したのだと思います」


「……魔王って、どんな奴なんだ?」


「なんだか、色んな物語の中で妙に人気です」


「うん、それは知ってる。性格とか、中の人とか、色々あるだろ?」


「とてつもなく残忍性の高い人です。今まで素顔を見た人は、十神魔将の中でも誰もいません。噂では、世界を滅ぼそうとしているようです。これを見て下さい。未来を予知した賢者が作ったCGです」



 スマホを取り出し、ゲームのCGを見せてくる。


(これ、単なるストーリーの一環じゃないのか?)


 グレンもそれは見た事があった。『ようつべ』という動画サイトで人気を博している。


 地中から現れた四足の超巨大生命体が、腕を一振りしただけで地表をめくり、それが空高くまで舞って落ちてくるのだ。人間一人くらいありそうな岩などが、無数の隕石となって街を襲い、瞬く間に火の海と化す。そして、その傍らには悪しき口元をした魔王の姿。さすがに今まで誰も見た事がない魔王。ローブのフードを目深に被っているだけで顔は男性なのか女性なのかも分からない。


 魔王の召喚獣だ、魔王のペットだ、などと色々噂はあるが、結局のところ具体的な事は何一つ分かっていない。



「桃瀬、お前、なんでこんな天災級な奴と一緒にいるんだ?」


「……それは、秘密です」



 チャイムが鳴り、教室からマリエッタが出てきた。



「おっつー! 廊下警備ご苦労様!」



 元は彼女が官能小説とすり替えていて、この言われようである。男だったら一発ぶん殴っているだろう。


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